健康な体づくり

けん玉で、楽しく、健やか、みんなが笑顔

むかし懐かしい玩具「けん玉」が、再び注目を集めています。以前から、集中力やバランス力を養う効果があると、教育現場に取り入れられる例もありましたが、いま、生涯スポーツとして、脳の活性化と健康維持を目的にシニア世代、高齢者の愛好家が増えているようです。

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イメージ/撮影:弓削ヒズミ

けん玉は手軽にできる全身運動

今回、取材させていただいた「シニアけん玉教室」は、日本シニアけん玉連盟が主催する中高年(40歳以上)が対象の教室。参加されたのは、幅広い世代の男女40人ほどで、毎回、通っている常連の人、初めて参加する人など、さまざまでした。

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シニアけん玉教室では、実力ごとに人数を分けて、それぞれのレベルに合った技術指導が行われるので、初心者でも安心して参加することができる/撮影:弓削ヒズミ

昨年2016年、設立25周年を迎えた日本シニアけん玉連盟には、およそ120〜130人の会員が登録しています。1〜2カ月に1回、都内で教室を開催しているほか、けん玉大会や懇親会などの活動を行っています。「シニアけん玉教室」について、同連盟の米澤静雄会長にお話を聴いてみました。

「けん玉教室には、常時、30〜40人が参加していて、皆さん、都内だけでなく、埼玉、神奈川、千葉など、各地から集まってきます。平均年齢は60代後半ぐらいで、最高齢は96歳の人がいらっしゃいます」

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けん玉は、公益社団法人 日本けん玉協会によって「けん玉道」として認定試技が行われ、10級〜1級、準初段、初段〜6段がある。この日も最後に認定試験が行われた/撮影:弓削ヒズミ

けん玉は、一見、手先だけで行っているように見えますが、身体全体を使って行います。実際に、米澤会長の指導のもと、けん玉の大皿、中皿に乗せる技をレクチャーしていただきましたが、たしかに足、腿あたりの筋肉が使われているのを実感しました。

「けん玉のコツは膝の使い方で、膝をうまく曲げ・伸ばすことで技が決まります。けん玉は、手軽に出来る全身運動です。雨が降っても部屋の中でもできますし、いつでも、どこでも、誰でも、出来る。それが魅力の一つです。また、技が成功した時の喜びが、脳に刺激を与えたり、けん玉を握っているから指の運動にもなり、認知症予防の効果もあります」

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級・段位の認定を受けるには、協会認定競技用けん玉を使用する/撮影:弓削ヒズミ

けん玉の技に「もしかめ」というのがあり、玉を大皿〜中皿と往復させ、繰り返します。「もしもしかめよ……」と歌いながら行うことから「もしかめ」という名付けられたそうです。この「もしかめ」を連続1分間行っただけでも、結構な運動になります。けん玉の健康効果は高いように思いました。

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教室のはじまりはウォーミングアップの「もしかめ」。最近は、けん玉を操作しながら、足でステップを踏む「けん玉健康ダンス」を練習中/撮影:弓削ヒズミ

衰えるなら、なだらかに衰えたい

実際に参加されている人からもお話を聴いてみました。まずはシニアけん玉教室で最高齢のKさんです。大正10年生まれ、今年で8回目の年男となる96歳。教室に通い始めたのが75歳からで、21年のキャリアを持つ大ベテランです。

毎朝、ラジオ体操の会場に早めに行き、体操が始まるまでの5〜10分ほど、けん玉の練習を欠かさず行っているKさん。

「96歳だと、毎日練習しないと、けん玉が入らなくなる。もう上り坂じゃないからね、昔、出来たことがだんだん出来なくなるの。これまで10回中8回出来たものが、5回しかできなくなっちゃう。歳をとるとロクなことがない(笑)」と、笑いながら話してくれました。しかし、いまでも、新しい技にも挑戦していて、「新しい技が出来ると気持ちいい」と言います。

「けん玉をやるなら、70〜80歳ぐらいまでだね。96まで行くと老化ですよ。でも、その衰えが、ぐっと一気にくるか、なだらかにくるか、僕は、なだらかにしたい。そのためには家に居てもロクなことがないので、こうして外に出かけます。人から刺激を受け、仲間をもつこと。それが大事。家に閉じこもっちゃダメです」と、これからシニアになる人へのアドバイスをいただきました。

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日本シニアけん玉連盟では、「シニアけん玉教室」のほか、70歳以上を対象とした「【グランド】シニアけん玉教室」も開催している/撮影:弓削ヒズミ

子どもたちに教えるのが、参加のきっかけ

お話を聴いたもう1人、75歳のTさんは、2007年から、シニアけん玉教室に参加しました。近隣の小学校で「むかし遊び」として、けん玉を教えることになったのが、きっかけだと言います。Tさん以外にも、地元で、けん玉を教えている参加者はいて、皆さん、それぞれに向上心を持って、けん玉に取り組んでいます。

「自分が小学生だった時分は、学校のカバンに、けん玉を引っ掛けて登校していました。休み時間になれば、仲間たちが集まり、天下取りのようなことをやっていました。自分で考えた新しい技を持っていって、出題して、勝った負けたを競っていました」と、Tさんは少年時代を振り返ります。

いま、Tさんは、「子どもたちに、けん玉のことを好きになってもらい、少しでも理解してもらえれば嬉しい」と思いながら、放課後こども教室で、けん玉を教えているそうです。

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けん玉の技は3万種類あると言われている。その数ある技の中から、教室の指導員による技の披露が行われた。近年、けん玉が世界的なブームとなり、海外の愛好者たちの間では、ジャグリング要素を加えた技が流行っているという/撮影:弓削ヒズミ

「けん玉」なんて子どもの遊び、なんて思っていたら大間違い。手軽にできる運動用具であり、世代を越えたコミュニケーション・ツールでもあるのです。家の押し入れに仕舞い込んだ、けん玉を探して、ぜひ、チャレンジしてみましょう。けん玉の技を、自分の孫や、近所の子どもたちの前で、華麗に決められたら、きっと尊敬されるはずです。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2017年7月取材


《協力》
日本シニアけん玉連盟

1〜2カ月に1回(日曜または祝日 13:00〜)、東京都内にて「シニアけん玉教室」を開催。中高年者(40歳以上)であれば、誰でも歓迎とのこと。

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