趣味や愉しみ

歳をとるのも悪くない
岡部睦のオトナの品格①

年齢を重ねていくと、知らぬ間に背筋が曲がっていたり、動きが緩慢になっていたりと、自分が老いたと思う瞬間があると思います。身体の衰えは仕方がないにせよ、気持ちだけでも、オトナとしての品格を保っていたいものです。1970年代に男性モデルとして活躍していた岡部睦さんに、年齢を感じさせない仕草や、シニアのファッションのポイントについてレクチャーしていただきました。

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撮影:弓削ヒズミ

すべては朝起きたところから始まる

男性モデルの草分け的な存在として活躍し、その後も大手プロダクションでモデル育成に尽力した岡部睦さん。モデル時代から「粋」であることを大事にし、ファッション、仕草、遊び方など、シニアとなった現在でも岡部流美学を貫いています。

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トップモデルとして活躍していたころの岡部さん。60年代後半だと思われるアタッシュケースの広告/資料提供:岡部 睦

やはり歳をとっていくなら、常に気持ちは若く、自分なりの品格を併せ持ちたいのではないでしょうか。そうしたオトナとしての品格の保ち方を岡部さんに聴いてみました。

「自分で老けたなと感じる時というのは、朝起きた時の鏡なんですよ。鏡に映る自分が、老けていないか確認することが第一歩です。もしも顔に疲れが残っているようなら、きっちりと支度するだけで気分が違います。髪がボサボサなんていけません。自分の気持ちを盛り上げていく。それが絶対に必要ですね」

1日のスタートだからこそ、意識しながら、今日も楽しく生きていこうと、「気持ち」のもち方を変えていくのが「朝」の重要なところだそうです。

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きっちりと髪をブラッシングすることで気持ちも磨かれる/撮影:弓削ヒズミ

目的や行き先でファッションを変えてみる

年齢を重ねていくと、どうしても見た目が丸まってきます。丸まっていると老いた感じが出て、特に後ろ姿に現れやすいようです。いくつになっても背筋がピシッとして、立ち姿が美しくいられるには、どうすればいいのでしょうか。

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漠然とテレビを見るのではなく、同年代の俳優やタレントのファッションを参考にしてみるのも勉強になるはず/撮影:弓削ヒズミ

「お洒落の基本は、常に見られている意識をもつことです。他人を不愉快にさせないことはもちろん、楽な格好ばかりではなく、緊張感のある服を着ることも大切。たまには、現役時代に着ていたお気に入りのスーツを着てみてください。洋服というのは『肩』で着るものですから、肩が丸まっていたら、シワができて、全体的に貧相な姿になってしまいます。それには姿勢を正すしかないんですよ」

また、岡部さんは目的によってファッションを変えることを推奨。散歩する時、食事に行く時、友人と会う時、それぞれに合ったファッションを選ぶことで、気分が変わり、老け込むことがないといいます。

「行きつけのお店にお洒落をして行ってみる。そうすれば馴染みの店員から『素敵ですね』なんて言われると思いますよ。そういうことをするだけでも、気持ちって若くなりますよ。昔の僕は、仕事と飲みに行く時のファッションを変えていました。仕事が終わったら一度帰って、今日はどこの店に行こうと考え、あの店だったら、このファッションだなと、とにかく、まるっきり気分を変えていきました(笑)」

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いい店を探すには、店の名前を見ること。名前のいい店にハズレは少ない/撮影:弓削ヒズミ

岡部さんがモデルだった時代は、芸能界が最も華やかだった時代ということもあり、当時の飲み方は、とても豪快だったそうです。当時の夜遊び事情のお話は、たいへんおもしろかったのですが、そのお話は機会を改めて。次回は歩き方についてのお話をご紹介します。

岡部睦のオトナの品格?に続く

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2017年2月取材

■ Profile ■
岡部睦(おかべ・むつみ)
静岡県浜松市出身。トップモデルとして多くの雑誌、新聞、テレビCMに出演するかたわら、株式会社オスカープロモーションの新人教育を長年担当し、後進の育成・指導にあたる。1990年に独立し、ブラッシュアップスタジオを開設。自ら媒体への出演も行いながら、ショーの演出や講演活動など幅広く活動を行っている。

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