趣味や愉しみ

《シニア・シネマ・レポート Vol.08》
団塊世代のライターが見た映画『パリ、嘘つきな恋』

今回は試写会に応募してくれた団塊世代のライター土肥慎一郎さんと一緒にマスコミ試写会に行き試写後に感想を語ってもらいました。 これは「シニアのための素敵な童話だ」と言われ、主人公を務めたデュポスクを評して、「彼は現代のチャップリンだ!」と大絶賛!さて、どんな所に、そう感じられたのか?!インタビューをお楽しみください。

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映画『パリ、嘘つきな恋』は2019年5月24日(金)より新宿ピカデリー他全国公開/©2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

本国フランスNO.1大ヒット!
新たな「最強のふたり」にフランス全土が恋をした、
笑いと感動のラブストーリー!!

今回、ご紹介する映画は、『パリ、嘘つきな恋』です。

監督・脚本・主演を務めるのは本作で監督デビューを果たしたフランスで??気のコメディアン、フランク・デュボスク。?椅??活ながらも?動?とユーモア、優しさに溢れた魅?的な?性・フロランスを演じるのは、アカデミー賞俳優ジャン・デュジャルダンの元妻、アレクサンドラ・ラミー。

「愛をもって相?を?れば、差異に対する偏?は消える」ことを伝えたかったというフランク・デュボスクの?葉通り、?た?誰もが軽やかで幸せな気持ちになれる、??のための極上のフレンチ・ラブストーリーが誕?しました!誰もが憧れるパリの華やかな?景や、プラハの美しい景?なども必?です。

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◆Story◆

ジョスラン(フランク・デュボスク)は、パリの大手シューズ代理店で働くビジネスマン。イケメンでお金持ちの彼は女性にモテるが、恋愛に求めるのは一時的な楽しさだけ、という軽薄な男。ある日、ひょんなことからジョスランが車椅子に座っていると、偶然美しい女性ジュリー(キャロライン・アングラード)と遭遇。彼女の気を引くために「自分は車椅子生活だ」と、とっさに嘘をついてしまう。すっかり信じたジュリーが彼に紹介したのが、姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)。フロランスは以前事故に遭い車椅子生活を送りながらも、ヴァイオリニストとして世界中を飛び回る、快活でユーモア溢れる魅力的な女性だった。親友マックス(ジェラール・ダルモン)には興味無いと言いつつも、ジョスランはフロランスが出場する車椅子テニスの試合を観戦したり、彼女が演奏するコンサートを観に、わざわざプラハを訪れる。そして会うたびに新しい一面を見せてくれるフロランスに、本気で恋に落ちる。

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映画『パリ、嘘つきな恋』のシーンより/© 2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

2人はデートを重ね距離を縮めていくが、ジョスランはまだ本当のことを言えずに、車椅子に乗ったままだった。そんな時、ついに妹ジュリーに車椅子の嘘がばれてしまう!「48時間以内にフロランスに本当のことを言わないと、ただじゃ済まさない」と言われたジョスランは、マックスや秘書のマリー(エルザ・ジルベルスタイン)を巻き込んで、嘘を切り抜けるために奇想天外な計画を立てる。しかし一方、実はフロランスにも彼に隠し事があるようで…? 果たして、トンデモナイ嘘から始まった恋の行方は!?

 

映画『パリ、嘘つきな恋』予告編/© 2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

団塊世代のライターが見た映画『パリ、嘘つきな恋』

今回は試写会に応募してくれた団塊世代のライター土肥慎一郎さんと一緒にマスコミ試写会に行き試写後に感想を語ってもらいました。

これは「シニアのための素敵な童話だ」と言われ、主人公を務めたデュポスクを評して、「彼は現代のチャップリンだ!」と大絶賛!さて、どんな所に、そう感じられたのか?!インタビューをお楽しみください。

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団塊世代のライター土肥慎一郎さん/編集部事務所にて

まずは、映画を見ての感想をお聞かせいただきたいのですが。

土肥 嘘はつき放題、女性とみれば口説くというちょいワルおやじの主人公ジョスラン。車椅子生活者と嘘をついたことがもとでヒロインジュリーと知り合います。嘘から始まった恋だが、彼女の車椅子テニスの試合を見に行ったり、オーケストラでバイオリンを演奏する姿を見ているうちに、主人公の内面がせつないくらい変化し、こちらもだんだん彼に感情移入していきました。げらげら笑いながらも最後は嘘がいつばれるかハラハラしながら見てましたが、ラストにいたる仕掛けが感動的で涙ぐみそうになりました。本当に心に残る映画でした。

●印象的だったシーンやセリフはありましたか?

土肥 ありすぎましたね!ヒロインに会うときは健常者とばれないように、ポルシェで車椅子を運んだり、ホテルで手配してもらったりして、車椅子を用意するバタバタぶりが笑えましたね。さすが喜劇俳優の面目躍如ですね。真正面から障害をあつかうのでなく、違う視点から表現して、私たちには考えさせるべきところはくっきりと打ち出しています。

●確かに、ラブコメディーではあるのですが、場面によっては、こちらの姿勢が正されるような、そんな気持ちにもなりました・・・。

土肥 ヒロインのセリフで「ふつうの女は出合った恋が続く事を期待する。でも私にはその出会いがない」というのが印象的でしたね。障害のある人は、いろいろなチャンスの芽を摘み取られることが多いのではないか?ということへの監督の悲しみを感じましたね。ハンディにしても、たとえばテニスでは車椅子を競技に合わせて、素早く操作しなければならないですよね。そういうことを感じさせてくれるセリフでしたね。
作品全体に笑いとペーソスが両立して監督兼主役のデュボスクに現代のチャップリンを感じました。

●今回の主役はお金も地位もある設定ですが、同じ男性としてどうですか。

土肥 最初は鼻持ちならない男だな、金も地位もあってしかも女性にだらしないところが自分には「天敵」だなんて感じでしたね(笑)。でもそれが最後に感動させてくれて、愛と希望の「点滴」注射をしてもらった感じになりました。最初はこんな友達は持ちたくないと思ったのが、最後は親友になりたいと思うほどでしたね。

●脇役の人たちも魅力的でしたよね、それぞれがスパイスをふりまきながら映画を進行させていく感じでした。

土肥 そうですよね!主役の主治医で親友の男性とか、会社の秘書とか、ヒロインの妹とかのキャラクターがいいし、主人公を温かい目で見てるんですよね。ついついこれを日本映画で製作するなら誰がぴったりくるかな?!なんて考えるほどでしたね。

●今回は50歳の男性とほぼ同じ年齢女性の恋愛ですが、この映画のテーマとしてシニアの恋というものがあると思います。

土肥 この前テレビ見てたら、施設に入っていた認知症やおしめ使用という状況の男女が恋をして、2人で施設を出て暮らし始めたら症状が改善した!というんですね。恋の力って素晴らしいなあ?と思いました。この映画を見てて、私ももう少し若ければ、頑張ってみたいなあなんて思いましたね。

●この監督兼主役のいちばん伝えたいテーマは、愛を持って相手を見れば偏見は消えるということだというんです。これは障害の問題というだけでなく若い世代とシニア層ということにも通じるのではないかと・・・。

土肥  私は年下の人たちとアイドルのライブを見に行きますが、同じ活動をする仲間であっても炎天下のライブとかには私を誘わないとか「思いやり」を持って接してくれるんですね。老いることへのいたわりがあると関係性も変わってくるのではと思います。

●アイドルのライブというのが凄い!土肥さんは現役ですね。

土肥 世代に対しては自分の経験などを伝えて役立ててもらうことが大事だと思いますね。ただ、そこで上から目線で見て押し付けがましいことを言うのはNGだと思います。それは若い人の人生観とかを理解していないんじゃないかと思います。アイドルだけでなく、齢は違っても鉄道、釣り、将棋等々の趣味を本当に楽しんでいれば仲間になれますよ。
この映画は社会というのは障害者も健常者含めて成り立っているんだということを改めて教えてくれましたね。主人公が車椅子を使ってホテルで移動したりするうちに、その大変さを経験し、見ている私たちにも、ふだん気づかないことを気づかせてくれました。『人はお互いに理解し思いあうことが大事』だということを、映画を見ているうちにしみこませてくれましたね。
こんな面白くて愛に満ちて、しかもずっしりした作品を作るこの監督にはしてやられましたね。

コミカルだがハートフルな恋愛映画であり、シニアのための素敵な童話という面もあります。とにかく見終って心が満たされ人に優しくしたくなる作品ですね。

 

?インタビューを終えて?

世代に対しては自分の経験などを伝えて役立ててもらう
土肥さんのお話で、一番印象的だったのは、「シニアのための素敵な童話だ」という、お言葉でした。さすがお仕事がライターだけあり、その語彙も一般の映画ファンの方とは、また違うなあ。と感心したりしました。
アイドルのライブを見に行く中で、若い世代の方達とのコミュニケーションの在り方についても、非常に熱心にお話され、ご自身もシニアという立場で、感じるところが沢山あるご様子なのも印象的でした。ぜひ土肥さんには、シニアのライターとして、同世代はもちろんですが、幅広い世代の方を繋ぐ、ハブのような役割をして欲しいな。と感じもしました。
これからの土肥さんのご活躍を期待しております。
この映画、本当にオススメです。私も映画館でまた見に行く予定です。
映画『パリ、嘘つきな恋』は、2019年5月24日(金)より新宿ピカデリー他全国公開です。ぜひ、映画館に足を運んでみてください。
編集部:三好 浩之

 

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映画『パリ、嘘つきな恋』/© 2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

文=三好 浩之(編集部)2019年5月16日取材


映画『パリ、嘘つきな恋』

監督・脚本:フランク・デュボスク 出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー
原題:Tout le Monde Debout 2018年/フランス/仏語/108分/シネスコ/日本語字幕:星加久実
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 配給:松竹
2019年5月24日(金) 新宿ピカデリー、東劇、渋谷シネクイントほか全国公開!

■シニア・シネマ・レポート バックナンバー
《Vol.01》『輝ける人生』《Vol.02》『ガンジスに還る』《Vol.03》『十年 Ten Years Japan』《Vol.04》『葡萄畑に帰ろう』《Vol.05》『天才作家の妻』《Vol.06》『バイス』《Vol.07》『僕たちのラストステージ』

 

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