• トップページに戻る
  • 趣味や愉しみ
  • 《シニア・シネマ・レポート Vol.09》 美しい島から届いた大人のためのイタリアン・コメディ映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』

趣味や愉しみ

《シニア・シネマ・レポート Vol.09》
美しい島から届いた大人のためのイタリアン・コメディ映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』

いま、シニア世代をテーマにした映画が増えています。そこで、実際にシニア世代の人と一緒に鑑賞し、その作品の感想を語ってもらおうという企画です。同世代にしか語れない、シニア視点のちょっと変わった映画紹介コーナー《シニア・シネマ・レポート》。今回、本国で動員150万人を超える大ヒット作『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動(原題:A casa tutti bene)』の一般試写会&トークイベントに、団塊世代の村田さんと一緒に行ってまいりました。

vol.09.salute_topbannar

映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』は2019年6月21日(金)より Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!/©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment

世界共通のドタバタ家族模様に拍手喝采!

世界屈指の美しさを誇るイスキア島に暮らすピエトロ&アルバ夫妻の結婚50周年を祝うために、親戚一同19名が集まった。教会で金婚式を挙げ、自宅の屋敷でパーティも開催される。久しぶりに再会したファミリーの楽しい宴もお開きとなる頃、天候不良でフェリーが欠航に!思いがけず、二晩を同じ屋根の下で過ごさなければならなくなった、それぞれの家族たち。今まで抑えていた本音が見え隠れし始め、次々と秘密が暴露されていく―――果たして、この嵐の結末は?

STEFANO ACCORSI, CAROLINA CRESCENTINI, ELENA CUCCI, PIERFRANCESCO FAVINO, CLAUDIA GERINI, MASSIMO GHINI, SABRINA IMPACCIATORE, IVANO MARESCOTTI, GIULIA MICHELINI, SANDRA MILO, GIAMPAOLO MORELLI, STEFANIA SANDRELLI, VALERIA SOLARINO, GIANMARCO TOGNAZZI,

映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』のシーンより/©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment

浮気、借金、嫉妬・・・ワケありの大人たち。家族だからこそのストレートな感情のぶつけ合いに「私の親戚にもいる!」と、誰もが笑って泣いて共感せずにはいられない、人間賛歌が完成した。

映画『家族にサルーテ! イスキア島は大騒動』予告編/©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment

これはドラマティックなイタリア版『マンマ・ミーア!』だ

6月11日、映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』全国公開に先立ち、ユーロライブにて、一般試写会が行われ、終了後にはイタリアのナポリ出身のパンツェッタ・ジローラモさんを迎え、トークイベントが行われました。トークイベントの模様を少しご紹介いたします。

ジローラモさんが登壇すると、早速軽快なトークが始まり、イスキア島について語られました。イスキア島はジローラモさんも実際に幼少のころ行かれていたそうなんですが、「映画を観ていても分からなかった。後で見たらイスキア島だった。」そして最後に「まぁ一応キレイな島です。」と締めたところで、「すいません、勝手に話してしまって」とジローラモさんが謝ると観客席から笑いが。MCから「お座り頂いて・・」と促されると「座るとじっと出来ないんです」と言いながら着席され、会場が笑いに包まれながらトークイベントが始まりました。

STEFANO ACCORSI, CAROLINA CRESCENTINI, ELENA CUCCI, PIERFRANCESCO FAVINO, CLAUDIA GERINI, MASSIMO GHINI, SABRINA IMPACCIATORE, IVANO MARESCOTTI, GIULIA MICHELINI, SANDRA MILO, GIAMPAOLO MORELLI, STEFANIA SANDRELLI, VALERIA SOLARINO, GIANMARCO TOGNAZZI,

軽快なトークで会場を笑わすジローラモさん

コメントフライヤーに書かれているジローラモさんの「これはドラマティックなイタリア版『マンマ・ミーア!』だ」というコメントについて聞かれると、「まぁそうです。『マンマ・ミーア!』はサクセスストーリーじゃないですか。それでイタリア版『マンマ・ミーア!』だと思ったんですね。『マンマ・ミーア!』はミュージカルで、アメリカの映画は結構お金かけてますけど、イタリアの映画はお金かけてないので、ただイタリア映画は場所がキレイなので場所を活かせるんですね、それがイタリア映画の特徴です。と、イタリア映画はお金をかけない、と強調しつつも国の綺麗さをアピールしました。

そしてMCの、「この映画はイスキア島でキャストの方たちが合宿のように撮影期間中ずっと滞在されて、自分のシーンがないときとかも、島にいたりロケ地に行ったりと皆さん和気あいあいと撮影していたそうですが。」という話には、「あの島は本当にきれいですね。夏休みは人が多くて原宿のようになっちゃう。車も制限されちゃう。でも5.6.9月とかは人がいない。温泉も有名で日本とは違い、イタリアでは治癒のために利用するんですが、ドイツのメンケル首相も訪れた。アラン・ドロンが出ている映画『太陽がいっぱい』にもでていた場所があり、映画の中にも少しでているんですよ。」

「あとイル・ポスティーノの映画の舞台になったプロ―チダ島という小さな島もあり、そこに出てくる家は夏になったら借りれるんですが、私が1週間泊まったら超面倒臭かった。皆写真撮りにきて(笑)。隣に青の洞窟で有名なカプリ島があり、その目の前にナポリがあったりと景色が綺麗です。」と島の魅力を存分に語りました。因みにイスキア島の食文化としてはウサギ料理、白ワインがお勧めだそうです。

イタリア人にとって家族とはどういうものですか?という質問には、「映画に出てくるピエトロとアルバの2人のような70、80歳くらいの、この時代の夫婦は離婚しない。私のお母さんも一緒で離婚しない。昔の人は我慢するんですね」といい、ジローラモさん自身のお母様の話を持ち出し、「(若いころに亡くなった)お前のお父さんは本当に悪かった!よく遊んでて。。でも、家に帰ると家族の面倒をずっと見ていた。やっぱり男はハンターだね」と息子のジローラモさんに言い、その言葉にジローラモさんもびっくりしたそうで「映画の中のお父さんお母さんも一緒、今の若い人たちは我慢できないから離婚するか、結婚しない。やっぱりいい生活したいから。大きな家族はない。核家族。」と、ジローラモさん自身の体験談も踏まえ、イタリアの今と昔の家族について語りました。

印象に残ったシーンについて聞かれると、「皆帰った後に夫婦で「あ?やっと帰った!」と言って元の生活に戻るところ」。そのコメントに会場も大爆笑。そして客と魚は3日経てば臭くなる、というイタリアの諺のように、客であろうと長居は迷惑、ということを力説しました。

また映画のみどころについては、「イタリアの家族をこんな風にみた事ないと思うので、この映画を通してイタリアの家族に少し入ってすぐ出る。あまり長くいると映画(イタリアの諺)のように腐ってしまうので(笑)。それを経験できることですね。この映画はイタリア映画らしいので、お金使わず、人の個性活かして、ハッピーエンドになる。」「 映画をみると「イスキアに行ってみたいな、と思うかもしれません。」そう語りつつもジローラモさん自身は「アメリカ映画を沢山見てしまう、お金がかかっているから」という事でした。

最後に、夫婦円満の秘訣は? と聞かれると、1番大事なのは「波がありますが、歳を取れば甘くなり、人は丸くなる、ありがたい気持ちがあれば年月が経つと愛を超える。愛があれば愛が違う感じで出るので愛を楽しめる。」と言った後、ホッとした様子を見せ、「かわいいこと言ったねぇ?。うまく逃げたかな(笑)」と締めくくり、終始、会場はジローラモさんのユーモラスで笑いに包まれたトークイベントでした。

Girolamo7s

立ち姿も決まってるジローラモさん

■Profile■
パンツェッタ・ジローラモ(Panzetta Girolamo)
1962年9月6日 生まれ、イタリアのナポリ出身。建築一家の三男として、ナポリ建築大学在学中に亡き父の後を継ぐ。主に政府からの依頼を受け、歴史的建造物の修復にたずさわる。1988年から日本在住。以降、多数雑誌、番組などで祖国イタリアについて紹介。2006年、本国より騎士の称号「カバリエレ?イタリア連帯の星勲章」を贈られる。2014年3月【連続して最も多くファッション誌の表紙を飾った数(男性モデル)】という記録名でギネスワールドレコーズ2014に世界記録として認定。 表紙の連続数151回。(現在も更新中)

団塊世代のクラウンから見た映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』

トークイベントを終え、団塊世代の村田さんに今回の映画の感想を聞きました。

murata

試写会場を出た村田さん

●まず、映画をご覧になっていかがでしたか?

村田 今回はイタリアのイスキア島が舞台という事でしたが、とにかく島がキレイで家や石畳なんかも美しく、行ってみたくなりました。洋服やなんかも注目してみてしまいました。

この映画は日本ではあり得ない設定だと思いました。前妻も一緒に集まりに呼ばれるとか、日本じゃ絶対ないですよね。大人がありのままに感情をぶつける、というのもあり得ないですし。さすがイタリア!って思いました。

●そうですよね。体裁を気にするで、前妻を招待したり、あんな大勢の前で、しかも親戚内で言い合うってあまりないですよね。それも皆が皆、感情を爆発させるって、端で見てるのは楽しいですが、実際に中にいたら、たまったもんじゃないですよね。

●テーマがイタリアの家族ということでしたが。

村田 皆が集まれる、というのがいいですね。昔はうちもそういった場もあったのですが、最近は最近は少子化だったりで、家族が沢山集まるっていう場が減ってきてますので寂しいです。

●少し映画の中身からはそれますが、映画が始まる前に村田さんがパンフレットのイントロダクションにある、「家族って、最高の味方で、最大の敵!?」という部分を読んで、「そう、まさにこれよね!!」と力説しているのがとても意味深で印象的だったんですが、村田さんにとっての家族もそうなんでしょうか?

村田 そう、本当に、家族って最高の味方で、まぁ最大の敵ではありませんが、本当そうなんですよ。

まぁ、わかります。家族ならではの事ってありますものね。

STEFANO ACCORSI, CAROLINA CRESCENTINI, ELENA CUCCI, PIERFRANCESCO FAVINO, CLAUDIA GERINI, MASSIMO GHINI, SABRINA IMPACCIATORE, IVANO MARESCOTTI, GIULIA MICHELINI, SANDRA MILO, GIAMPAOLO MORELLI, STEFANIA SANDRELLI, VALERIA SOLARINO, GIANMARCO TOGNAZZI,

映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』のシーンより/©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment

●登場人物が沢山出てきましたね

村田 そうですね、最初は登場人物が沢山出てきてどれがどれか把握するまで時間がかかったのですが、途中から分かってくると面白くなってきました。

そうですね、そういう意味でももう一度観たくなる映画ですよね。人物や関係性を分かった上でもう一度観てみると違う視点にも気づいてまた違う楽しみ方ができるのではないかと思います。

●最後に一番印象に残るシーンはどこでしたか?

村田 私もジローラモさんとまさに同じで、最後の皆が帰った後に2人で食事をするシーンですね。皆が帰って「あ?っ」っていう瞬間がとても共感出来ました。

そうですね、それまで大嵐のような家族の大騒動があっただけに余計に響いてきますよね。

色々な人々の色々な愛のカタチがあって、それぞれ悩みや迷いはあるけど、最終的には自分の思いのままに生きることを選ぶ。人生一度きりなので後悔しないように生きたいですね。本日はありがとうございました。

out_kazoku_hon_B1_poster
家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』/©2018 Lotus Production e 3 Marys Entertainment

映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』は2019年6月21日(金)より Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショーです。ぜひ、映画館に足を運んでみてください。

文=編集部 2019年6月11日取材


映画:家族にサルーテ!イスキア島は大騒動(原題:A casa tutti bene)』

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ステファノ・アコルシ、ステファニア・サンドレッリ、ピエルフランチェスコ・ファビーノ、カロリーナ・クレシェンティーニ
2018年/イタリア/107分
配給:アルバトロス・フィルム、ドマ
2019年6月21日(金)より Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

■シニア・シネマ・レポート バックナンバー
《Vol.01》『輝ける人生』《Vol.02》『ガンジスに還る』《Vol.03》『十年 Ten Years Japan』《Vol.04》『葡萄畑に帰ろう』《Vol.05》『天才作家の妻』《Vol.06》『バイス』《Vol.07》『僕たちのラストステージ』《Vol.08》『パリ、嘘つきな恋』

下へ続く
上へ戻る