いま注目のあの人

第6回:七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマー・ダボハゼのペペさん①

いま輝いている素敵な人からお話を聴いてみたい。ただ、その想いでインタビューをするのが、このコーナー。今回は、高齢者や障がいのある方の施設に赴き、「楽笑出前ライブ」と称して、歌、パントマイム、マジックなど、変幻自在なパフォーマンスで「笑い」をプレゼントするダボハゼのペペさんです。およそ5年間、100件を超える施設を回り、いまも積極的にボランティア活動を続けています。ペペさんが活動する原動力とは何なのでしょうか。

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撮影:弓削ヒズミ

一緒に楽しみながら、心を開いて触れ合う

■まず、ペペさんは、一体、どんな方なのか、これまでの経歴について教えてください。

もともと、クラシック音楽が好きで、合唱のサークルで歌っていたのですが、やはり1人で歌いたいなと思って、20年ほど前から始めたのがシャンソンです。

その後、新宿のシャンソニエ(シャンソンを聴かせるライブハウス)のオーディションを受け、しばらくシャンソン歌手として活動を続けていましたが、シャンソンのなかにはコミカルで明るい曲があるので、その衣装をクラウン(ピエロ)のような格好にしてみたり、パントマイムを取り入れてみたり、いろいろ工夫しているうちに、歌以上にパフォーマンスに力を入れるようになっていました。まあ、この顔ですから、すっぴんで出るのが恥ずかしい(笑)

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出演する施設や会場のお客さまに合わせて演目を決め、衣装もそれによって選んでいるという/写真提供:ダボハゼのペペ

■そのほかに、どんなパフォーマンスを習得したのでしょう。

いま実演時間を1人で60分ぐらいいただきます。それだけの長さだと、歌だけでは飽きられてしまいますので、自分自身の引き出しをたくさん持っていないともたないんですよ。

主にボランティアで回っているのは、シニアとキッズの施設ですので、それぞれの年代に合わせたものを準備しています。シニア向けであれば、「売り声漫談」、「指笛」、「マジック」「認知症予防体操」などがあります。あたしも、パフォーマンスをやることにより、認知症の予防をしています(笑) キッズだと「バルーン・アート」なんかも加えていきます。

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この日は、江戸川区内にある大規模マンションのイベントに呼ばれたペペさん。およそ70人のお客さんを前に売り声漫談を披露する/撮影:弓削ヒズミ

■ボランティア活動を始めたきっかけを教えてください。

最初はボランティアをやろうと考えていませんでした。パントマイムなどを習得して、いろいろと芸の幅を広げていくなかで、もっと多くの人にも見て欲しいと思い、それで千葉県と江戸川区のボランティアセンターに登録したのが、いまの活動の始まりです。

そもそも、ボランティアや公益活動をやりたいと思ったのは、10年ほど前に、あたしのソロ・コンサートを開いたときです。ただ自分の歌を聴いてもらう、芸を見てもらうだけに、お客さまをお呼びすることに、申し訳ない気持ちになったんです。ほかに何かできるんじゃないかと。

いまもそうですが、10年前は「地球温暖化」が話題になっていて、そこで「カーボンオフセット・コンサート・アソシエーション」という団体を立ち上げて、環境保全団体に寄付するためのコンサートを始めました。いまでも毎年、シャンソンの歌手仲間たちに出てもらいながら続けています。厳密な意味での「オフセット」ではありませんが、毎回、コンサートの収益を寄付しています。

ボランティア活動は、その流れのひとつですが、そんな大それた気持ちがあるわけではなく、あたしは、自分の歌や芸を喜んでくれる人、笑顔になってくれる人がいることが嬉しいんです。

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ときには自虐的なネタやブラックユーモアも含まれるが、ペペさんの人柄で嫌味のない笑いになる/撮影:弓削ヒズミ

■現在、どれぐらいのペースでボランティア活動を行っていますか。

いまは少しペースを落としたのですが、月に2〜4回ぐらいのペースで活動を行っています。いろいろなところからお声をかけてもらっていて、老人ホームや障がい者施設、最近では幼稚園や児童クラブが多いですね。交通費など必要な諸経費だけいただければ、どこへでも行きます。

■ペペさんのボランティアでは、どんなことに気を使っていますか。

ボランティアをはじめたばかりは、ただ、こちらの芸を一方的に見てもらうだけでしたが、それでは反応がありませんでした。そこで、客席の皆さんと一緒に楽しむスタイルを模索していきました。

例えば、マジックでは、前に出てきてもらって、ロープのはしを持ってもらったり、体に巻きつけもらったりして、パッと、ほどくと、笑ってくださるんです。あと、よく最後にやるのは、あたしの指笛で懐メロを合唱します。歌詞カードをお配りして、皆さんからリクエストをいただいて、さあ、歌いましょうと。

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お客さんを引き込んで一緒に実演することもある。「楽笑出前ライブ」とは、皆さんに笑いを届けて、一緒に楽しむという意味で名付けられた/撮影:弓削ヒズミ

ある施設で、マイクテストをやっていたら、認知症の女性に「うるさい! 帰れ!」と言われました。正直、あたしも落ち込みました。だけど、本番になって、「幸福を売る男」を歌い、客席を握手しながら回っていると、その怒鳴った女性が握手したまま離してくれないんです。こちらから、心を開いて触れ合うことが大切なんだと思いました。

一方的に見せるんじゃなくて、皆さんに参加してもらって、一緒に楽しむ。そういう姿勢で活動を続けています。

第7回:七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマー・ダボハゼのペペさん②に続く

文・写真=弓削ヒズミ(編集部) 2017年2月取材


■Profile■
ダボハゼのペペ(だぼはぜのぺぺ)
東京都江戸川区の小岩生まれ。年齢不詳。クラウン、日本シャンソン協会正会員、元・笑い療法士など、七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマーとして、福祉施設や老人ホームなどでボランティア活動を行う。シャンソン歌手としてライブにも出演。2010年より「カーボンオフセット・コンサート・アソシエーション」を立ち上げ、地球温暖化防止推進団体へ寄付するためのコンサートを主催する。
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