いま注目のあの人

第8回:71歳のユーチューバー 成羽さん①

いま輝いている素敵な人からお話を聴いてみたい。ただ、その想いでインタビューをするのが、このコーナー。今回、登場いただいたのは、おそらく最高齢ユーチューバーの成羽さん。ユーチューバーといえば、いまや子どもたちが将来になりたい職業の上位にランキングされるほどの人気で、注目の的です。成羽さんもそんな中の一人で、日々、インターネットサイト「Youtube(ユーチューブ)」に動画を公開し、多くの視聴者と交流を楽しんでいます。

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立川駅前で配信用の動画撮影をする71歳のユーチューバー・成羽さん/撮影:弓削ヒズミ

なによりも嬉しいのはリスナーさんのコメント

■70代のユーチューバー(※1)がいるとは思っていなかったので、成羽さんのことを知ったときは驚きました。いつ頃から、ユーチューバーとして活動を始められたのですか。

成羽のチャンネル」は、2015年4月15日、69歳から始めました。今年で丸2年になります。

(※1)ユーチューバー
YouTuber(ユーチューバー)。インターネット動画サイト「Youtube(ユーチューブ)」に自作の動画を継続的に公開する人やグループの名称。

■最初から「成羽」という名前で活動されているのでしょうか。

はい。でも、その前から、成羽の名前で、アメーバ(※2)でブログを書いていて、そのまま同じ名前でユーチューブを始めました。「成羽」というのは、私のふるさとの地名です。結構、馴染みのない名前だと思いますが、皆さまに覚えてもらうには、いいのかなと思います。

(※2)アメーバ
Ameba(アメーバ)。無料ネットサービスのひとつで、特に、数多くの芸能人・有名人らが参加しているブログが有名。

■どうしてブログから動画に移行したのでしょうか。

数年前、独り暮らししていた90歳になる父親を呼び寄せて、同居を始めたところ、しばらくしたら介護が必要となったので、嘱託で働いていた会社を退職し、介護生活を続けていました。

ほどなくすると父が他界しまして、そうしたら、時間がポカーンと空いてしまったんです。それまでの介護生活では、気が休まることもなく、とても気を使いながら暮らしていて、急に何もすることがない時間ができたら、何をしていいのかわからなくなったんです。

父が亡くなったショックもあって、毎日、家にいるのが辛くて、お散歩に出かけていたんですけど、そんな時に娘が、気晴らしにハワイに行こうと誘ってくれました。そのハワイに行く前に、インターネットで検索していたら、たまたま、瀬戸弘司さんと、福井のカズさんというユーチューバーの動画に出会ったんです。

これまでユーチューブという動画サイトのことは知っていたんですけど、「ユーチューバー」という存在を全然知らなかったので、すごくショックを受けました。ビビっときたというか、個人で動画配信をしている人がいるんだというのを知って、気になって、気になって、しょうがない(笑)

それからユーチューブにハマり、視聴しているうちに、あっ、これだ!って思ったんです。何かやりたいと思っていた自分の琴線に触れたというか、このことが、きっかけで、動画をやってみようと思いました。

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成羽さんのユーチューブのチャンネルには現在1,200人ちかくの登録者がいる。「私には1,000人の人がついてくれていると思うと心強くなります」と成羽さんは語る/撮影:弓削ヒズミ

■そこから、ユーチューバーへの道は順調だったのでしょうか。

いえいえ(苦笑) ユーチューブに登録したものの、それから半年間考えましたね。

まず、本名にするか、「成羽」にするか、それから「顔出し」。顔出しが一番悩みました。やろうと決心は固めたのですが、踏み切れない自分がいるんです。本当は、興味のあることは即実行するタイプなんですが、ユーチューブの場合は、やるか、やらないか、非常に悩みました。

そんな時、娘と一緒に、廃線が決まっていた寝台特急カシオペアに乗って、出かけることになって、その旅先で決心しました。理由はわかりませんが、何か踏ん切りがつきました。1番最初に上げた動画は、その旅先でのカシオペアの連結風景でした。その時は顔出しもおしゃべりもなく、ただ車両を映しているだけ。カメラに向かってしゃべることすらできないわけですね。そのあと、娘とカシオペア車内で話している動画などを少しずつ上げていき、しばらくして、自己紹介動画を撮って上げました。

■初めての自己紹介動画は、どうでしたか。

いまと全然違いますね(笑) 声は小さい、原稿なしで、ふつうに撮ってますので、いつも原稿なしで、ぶっつけ本番です。最初は緊張して、カメラに向かって話すと、声が震えちゃうんですね。友達みんな、それを見て笑うんですけど(笑)

始めましてのシニア動画!/提供:成羽のチャンネル

■機材とかは、どうされているのですか。

カメラを何にしようかと考えたところ、スマホでやろうと思いました。誰でもできるのは、これじゃないかと。これ一本で編集から動画アップまでやろうと決めました。

■どんな動画を配信したいと思っていますか。

これまで配信した動画は、日常的なものが大半です。お買い物したものとか、旅行に行ったとか、日々、私が行動していることを動画にしております。おそらく、私みたいに時間を持て余したシニア世代が、どのように過ごしているのか、皆さまは興味があるのではないでしょうか。ですので、シニアが、日々、どのように暮らしているか、日記やブログ的なものを配信していこうと思っています。

日常的な話題に加えて、何か一つ違うものを入れたいと、『立川でアートを探せ!』というコーナーもやっています。私の地元・立川には、美術館はないのですが、街のあちこちに、いろんなアートがございまして、これを動画にしています。しゃべりながら撮影しただけなんですが、やっているうちに、これは1点ずつご案内した方がいいなと思いまして、いろいろ作品を調べて、全作品109点を、1回の動画で3点ずつご紹介しています。一応、配信にあたっては、立川市役所まで許可をもらいに行きました。

立川でアートを探せ!No.7/提供:成羽のチャンネル

■これまでの動画に対して、ご家族やご友人の反応はいかがですか?

家族は、わりかし「あっ、そう、いいんじゃない」という感じですね。反対はなくて応援してくれてます。私の3つ下の弟なんかは、俺よりも先端にいってるんだねって、びっくりしてました。

お友達は、30代ぐらいの方なら「そんなのやってるの?」って驚いた感じですが、50代以上になると、「ユーチューブって何?」って、そもそもの存在をご存知ない方が多いです。携帯電話もガラケーだったりして、よく理解できないみたいです。なので、反応がいまいち薄くて、なんだかなって(笑)

 

■動画配信を続けて、嬉しかったことはなんですか。

何よりも嬉しいのは、リスナーさんたちのコメントですね。私として意外だったのは、視聴してくれる人は、お若い方がすごく多かったんですね。初めの頃は10代、20代の子がほとんど。やっていくうちに、もう少し上の年代層まで広がっていきました。

ユーチューバー世代といいますか、小学生、中学生ぐらいの子たちが、「こうした、おばあちゃんが居ればいいのに」「うちのおばあちゃんみたい」だとか、上の年代だと「亡くなった母みたい」だとか言ってくれます。私がしゃべってるさまで元気づけられる、癒されると言っていただいたのが、すごく嬉しかったですね。

皆さまからの反応があると、とても励みになります。なかにはアンチの方もいらっしゃいますが、それは私のことが気になっているわけですから、気にせず、受け止めてます。

第9回:71歳のユーチューバー 成羽さん②に続く

文・写真=弓削ヒズミ(編集部) 2017年4月取材


■ Profile ■
成羽(なりわ)

1945年生まれ。2015年にユーチューバーとしての活動を開始。1人でスマホを使って、撮影から動画編集まで行っている。2017年4月時点で、チャンネル登録者約1,200人、視聴回数211,000回を数える。趣味は、書道、チョークアート、旅行など多数。書道は師範の免許を取得する腕前だとか。何事にも好奇心旺盛。
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