いま注目のあの人

第2回 : Twitterで人気のおばあちゃん
ミゾイキクコさん②

いま輝いている素敵な人からお話を聴いてみたい。ただ、その想いでインタビューをするのが、このコーナー。今回は、Twitter(ツイッター)で約7万5000人のフォロワーをもつ、82歳のミゾイキクコさんにお会いしてきました。戦中・戦後の話、高齢者問題、日々の暮らしまで、その含蓄あるツイート(発言)が若い人たちの共感を呼び、Twitterで人気のおばあちゃんです。

第1回 : Twitterで人気のおばあちゃん ミゾイキクコさん①

ミゾイキクコさん

撮影:弓削ヒズミ

高齢者だって自分でできることは自分でする。
自立して生きるべき。

ツイートを拝見すると毎日の献立が写真で投稿されていて、まさに、食べること、しゃべることが、ミゾイさんの「元気」の秘訣のようですね。
食べることは大切だと思います。少しずつでも、野菜、魚、果物、いろんな種類を食べるように心がけてます。目玉焼きをつくると、麺つゆとオリーブオイルをかけるようにしています。麺つゆだと塩分も抑えられて、出汁の味がいいし、そこにオリーブオイルを加えるとおいしいですよ。なんでも好きなものを工夫しながら食べてみるのがいいですね。

いま82歳ですが、自分の歯も24本ぐらいあります。むかしは60代で歯がない人がいましたが、いま考えると栄養不足ですよね。歯がなければ食べられない、それで、さらに栄養が摂れない、だから寿命が短かったのかもしれませんね。いまなら80、90歳だってざらにいますし、100歳を超えた方も全国で6万人以上もいらっしゃるそうです。とにかく食べることは大事です。

ミゾイキクコさん

自宅の庭ではトマトなどの野菜を栽培し、収穫した野菜を使った料理の写真をTwitterにアップ(2016年7月に撮影)/撮影:弓削ヒズミ

だからフォロワーのみなさんと食べ物に関するツイートも多いんですね。
Twitterをやっていると、いろんな情報が入ってきます。こういう食べ方があって、お砂糖を入れるとおいしいよ、牛乳をかけてみるといいよ、など、たくさんの方が教えてくれます。そのなかで気になるものを試してみて、おいしかったら書き込んで、また、その話題で盛り上がります。

先日は、秋田の燻したダイコンの漬物「いぶりがっこ」について書いたら、「その漬物のことをはじめて知りました」、「近くのスーパーになかったので、取り寄せてもらいました」など、たくさんの会話が弾みました。秋田の方からは、「いぶりがっこのことを広めてくれてありがとうがとう」なんて、お礼も言われたりして(笑)

Twitterは、お茶飲み話の延長線とおっしゃっていたとおり、その気さくな人柄あふれるツイートが、ミゾイさんの人気の秘密じゃないかと思いますが。
お隣さんと会話をするのと同じです。インターネットだからといって難しく気構えなくていいと思います。私は特に取柄があるわけじゃなく、ふつうの家庭の主婦なんです。女性であり、高齢者であり、無職であり、ひとり暮らし。全然、特別な存在じゃない。同じような人がたくさんいるから、同じような立場として受け入れられるし、80年生きてきて、各時代のことを知っているから、ちょっとだけ「言葉の重さ」みたいなものを、みなさんが受け止めてくれるのではないでしょうか?

ミゾイキクコさん

なんでも肯定的にとらえることを心がけているというミゾイさん/撮影:弓削ヒズミ

同年代や高齢者の方に何か一言ありますか?
これは言いたいのですが、とにかく、子どもなんかアテにしないで自立しなさいと。

親の世話や面倒を見ている方から、相談が多く、そのほとんどが親の世話はやって当たり前という考えに縛られています。高齢者の親もそうだし、面倒見る側の子どももそう。高齢者に自立しなさいと言うのは、自分でできることは自分でやり、お互いに感謝、思いやることが大切だから。「いつも、ありがとうね」と言われれば、世話をする子どもも、また何かやってあげようと思うじゃないですか。

「親の世話をしなければいけない」、そのことで、あまり思いつめないでほしいですね。高齢者だって自分でできることは自分でやるべきなんです。私のつぶやきで問題が解決するわけじゃないですが、悩んでいる方の考え方を、変えるきっかけになる「場」になればいいですね。

ミゾイさんは、影響を受けた方がいるのでしょうか?
誰かに影響を受けたということはありませんが、両親に自由にさせてもらった影響が大きいかもしれませんね。ああいうことをしてはいけない、ではなく、あなたの好きにやればいい。そう言われて好きにやってきたことが、いろんなことに関心がもてるようになったのかもしれません。子どものころから自由にさせられ、自分自身で考えなければ何もできない状態でした。

もちろん私の子育ても放任主義でした(笑)息子たちは反抗期を迎えても、「お母さんに敵うわけないから」と、反抗しなかったそうですよ(笑)

ミゾイさんのインタビューは、とにかく楽しそうにお話しされて、終始、笑い声に包まれたものでした。ときには少女のような笑顔になることもあり、82歳って、こんなに若いのか? 年齢に対する感覚が麻痺するようでした。ミゾイさん、素敵な時間をありがとうございました。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2016年7月取材


■ Profile ■
ミゾイキクコ
1934(昭和9)年生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。2010年1月28日にTwitter(@kikutomatu)をはじめ、戦争中、敗戦後の生活、高齢者問題など、自ら語る体験談が若い人にも共感をあたえ、2016年9月現在、7万5000人以上のフォロワーをかかえる。2015年に、これまでのツイートを抜粋して加筆修正を加えた、著書「何がいいかなんて終わってみないとわかりません」をKADOKAWA/角川マガジンズより出版。

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