社会の知識を学ぶ

シニアとシェアハウス②
シェアハウスは可能性が広がる、自宅活用の選択肢

前回の記事では、「シェアハウス」は、シニア世代にとって、これからの住まいの選択肢の一つであることをお伝えしましたが、今回は、自分の持ち家をシェアハウスにするメリットについて紹介していきます。自宅を保持しながら、資産価値を高められる仕組みとは、どのようなものでしょうか。

関連記事=2017年5月29日掲載『シニアとシェアハウス① シェアハウスは若者だけのためにあらず、これからのシニアの住まい方に

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マイホームをシェアハウスとして活用

長年、住み続けてきたマイホーム。固定資産税や修繕費など、このまま家を維持するには、年金と退職金だけでは足りそうにもない。いっそ売却してしまおうか、でも家族の思い出の詰まった家を手放したくない、そんな悩みをお持ちの人もいるのではないでしょうか。

そのような、マイホームの維持が困難な人、また、自宅が空き家状態となっている人へ、「自宅をシェアハウスにしてみませんか」と提案するのが、前回、シェアハウスの取材でうかがった、一般社団法人 日本シェアハウス協会の山本久雄代表理事です。

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「不動産が『負動産』になってしまわないように、自宅からシェアハウスへの転換を検討する価値はあると思います」と語る一般社団法人 日本シェアハウス協会・山本久雄代表理事/撮影:弓削ヒズミ

近年、マイホームをシェアハウスとして運営し、毎月の家賃収入を得ている、シニア世代が増えているそうです。自分は、子ども家族と同居したり、賃貸などの外で暮らしたり、自宅を丸ごとシェアハウスに。年金に加えて、その家賃収入で家を維持するケースもあるのだとか。なかには自宅併設型といって、自分もシェアハウスの居住者として、家の一部に住み続けることもできます。

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自宅をシェアハウスにして家賃収入を得ることで、年金だけに頼らず経済的な負担を軽減できる

気になるのが、人に貸してしまったら、家を元に戻したい時に、立ち退き問題などが起きてしまわないかという心配です。しかし、シェアハウスでは、定期借家契約なので、1年もあれば元に戻すことが可能とのこと。

「シェアハウスは、定期借家契約で期間を決めて居住者に貸しますので、オーナーが戻したい場合は、1年前に言ってもらえれば元に戻すことができます。居住者とは、定期借家契約で3カ月、6カ月、10カ月の3パターンで契約しており、共同生活なので、何かトラブルがあった時に退去していただきやすくなっています。もちろんトラブルがなければ、そのまま再契約を重ねていくわけです。貸す側、借りる側にも安心だと思います」と山本代表理事は語ります。

空き家対策として、シェアハウス

現在、日本国内では約820万戸の「空き家」あり、空き家率は13.5%に及びます(総務省2013年調べ)。高齢化が進むにつれ、ますます増加することが懸念されています。今秋、施行される見込みの「改正住宅セーフティネット法」では、「空き家対策」の一つとして、シェアハウスの活用が推奨されました。

「今回の住宅セーフティネット法の改正では、初めてシェアハウスが対象として認められました。改修補助金では、シェアハウスとして改修するにあたり、最高100万円/戸(室)の補助が受けられます。例えば5LDKの戸建てで5室とも改修すれば500万円の補助金になります。持ち家でお困りであれば、シェアハウス化を検討してみるには、いい時期ではないでしょうか」

さらに、一般住宅を賃貸住宅に転用することで、土地と建物の評価が下がり、相続税対策としてのメリットもあると山本代表理事は付け加えました。

シェアハウスを拠点に地域を活性化

前回記事で取材に伺った日本シェアハウス協会の事務局は、シェアハウス「プリエ阿佐ヶ谷」の中にあります。同シェアハウスでは、家事代行の「ワークス阿佐ヶ谷」の事業拠点にもなっています。

「地域密着の家事代行拠点として開設しました。シェアハウスの入居者はもちろん、地域の皆さまが指定の研修を受ければ、スタッフとして働くことができます。シェハウスの中に事業を取り込むことで、地域に新たな雇用を創出することだってできるのです」と山本代表理事は言います。

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日本シェアハウス協会が事務局を置く、多世代共生型シェアハウス「プリエ阿佐ヶ谷」の間取り図/提供:日本シェアハウス協会

例えば、2階建ての戸建て住宅であれば、1階部分を介護予防や家事支援事業の拠点にして、2階部分を職員の安価な住まいとしてシェアハウスにすることも可能。住宅地内に介護事業の拠点できれば、地域としてもメリットは大きく、高齢化が進むなか、需要はありそうです。

また看護や介護事業のほか、カフェなどの飲食店、趣味の同好が集まる場所、ヨガ教室などの体を動かす施設、子育て支援の施設など、地域の人たちにも喜ばれる場所として、シェアハウスを活用してもらえるアイデアはたくさんありそうです。

日本シェアハウス協会では、今後、地域に多目的なシェアハウスが集まった「シェアビレッジ」構想も考えているそうです。

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現在、多世代共生型シェアハウス「プリエ阿佐ヶ谷」の1室を民泊用に整備しているという山本代表理事。2020年の東京五輪に向け、シェアハウスと宿泊のハイブリッドなタイプも増えてくるかもしれない/撮影:弓削ヒズミ

これからのシニアの住まいの選択肢として注目されるシェアハウス。貸し主、借り主にも、それぞれメリットもあり、地域応援にもつながる可能性があるようです。もしも、住みたいシェアハウスが見つからなければ、自分が住みたいシェアハウスを作ってみてはいかがでしょう。自分の趣味を活かしたコンセプトハウスで、同じ趣味の仲間に囲まれながら暮らすことも夢ではないかもしれません。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2017年5月取材


≪協力≫
一般社団法人 日本シェアハウス協会

シェアハウスの開業から運営管理において、さまざまな経験とノウハウを蓄積。シェアハウスについての相談はいつでも受け付けている。

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