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気になる「樹木葬」とは、どんなもの?

「樹木葬」という名称から、ちょっと離れた、自然豊かな土地に埋葬されるイメージがありますが、じつは都会の真ん中で行われるのだそうです。いったい、どのような葬儀のスタイルなのか調べてみました。

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イメージ/提供:株式会社アンカレッジ

時代とともに変わるお墓のあり方

シニア世代にとって気になるのが、自分自身の、または親の「お墓」。少子化などの影響で核家族化が進み、昔のような「家」という感覚も薄らいでいる昨今、お墓に求められるものも時代とともに変わり、一番大事なのは、もちろん「本人」の希望ですが、お墓を守る「家族」のことも考えるような風潮になっています。このような状況から、いま、「樹木葬」が注目されています。

お墓のことで、子どもに面倒をかけたくない

今回、「花と眠る樹木葬」を行っている株式会社アンカレッジにお話を聴きました。同社の「花と眠る樹木葬」を簡単に説明すると、遺骨はお寺の敷地内にある緑に囲まれた「庭苑」に、個別に納骨されます。そして、一定の年数を経たのちに、遺骨を合祀して土に還し、そのお寺の住職が永代供養してくれるというシステムです。

特長は大きく分けて6つ。
①花木に囲まれた墓地
②交通の便がよくお参りしやすい環境
③お墓の承継を前提とせず、承継者不在でも無縁墓地にはならない
④お寺で永代供養してもらえる
⑤宗旨宗派は不問
⑥1人用、2人用、4人用などを選べる

「子どもに面倒をかけたくない」という人にとって、②〜④は、重要なポイントかもしれません。埋葬されるお寺は、港区高輪、大田区久が原、台東区谷中など、東京を中心に交通の便の良い土地柄なので、残された家族も無理なくお参りに行くことができそうです。

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樹木葬一例①「道往寺 高輪庭苑」/提供:株式会社アンカレッジ

花や緑に囲まれた庭苑で眠る樹木葬

実際に「花と眠る樹木葬」を見に、都営浅草線「泉岳寺」駅から徒歩数分に位置する「道往寺 高輪庭苑」(東京都港区高輪)を訪ねました。境内を見渡すと、樹々や花々に囲まれたフラワーガーデンのような空間があり、そこが樹木葬の納骨場所「庭苑」です。一般的なお墓とは違ったイメージでした。

庭苑は緑に囲まれ、季節ごとの花々が咲くように管理されています。地面には、ノートぐらいの大きさの石碑プレートが並び、それぞれに故人のお名前が刻まれています。そのプレート下に、ご遺骨が納められているそうです。

「家」という考えから離れ、1人用、2人用、4人用とお墓のタイプを選べるのも、いまどきのライフスタイルらしい感じがします。なかにはペットも一緒に埋葬できるお墓もあります。

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石碑プレートは、1人用、2人用、4人用で大きさが異なり、希望に沿ったデザインをすることが可能/提供:株式会社アンカレッジ

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樹木葬一例②「宝珠院 芝庭苑」/提供:株式会社アンカレッジ

昔のように、お寺をもっと身近な存在へ

株式会社アンカレッジが、樹木葬を始めた理由を尋ねたところ意外な答えが返ってきました。それは、お寺をもっと身近な存在にしたいということでした。

「昔、お寺は地域の人たちにとって、開かれた場所であり、心の拠り所でもありました。もっと身近な存在として、お寺のある暮らしを提案したいと思っています。お墓が近くにあれば、人生の節目があったとき、亡くなった親御さんに、手を合わせながら報告もしやすいのではないでしょうか」と、広報の鈴木さんは語ります。

「お墓への交通の便」「お墓の承継者問題」「子どもに面倒をかけさせたくない親世代の意識」と、現代のニーズに応える一方、お寺を、故人に思いを馳せる場所として、また、地域に根ざした場所として、活性化させたいという想いも「花と眠る樹木葬」にはあるようです。

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樹木葬一例③「安詳寺 久が原庭苑」/提供:株式会社アンカレッジ

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樹木葬一例④「瑞光寺 牛込庭苑」/提供:株式会社アンカレッジ

自分らしく生きたい、シニア世代だからこそ

亡くなったら、海や山などの自然に還えしてほしいと考える人もいるかもしれませんが、実際に散骨するには、法律上の問題やいろいろな許可を得なければならず、現段階では、あまり現実的ではないかもしれません。

お寺という安心できる場所で、樹々や花々に囲まれながら眠る「樹木葬」は、葬儀やお墓の選択肢の一つではないでしょうか。何よりも残された家族が、気軽にお参りに来てくれるなら、そちらの方が嬉しい気もします。

墓地もボチボチ考えてみるか、なんてダジャレではありませんが、自分らしく生きたい、シニア世代だからこそ、墓地についても考えておきたいものです。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2017年6月取材


≪協力≫
株式会社アンカレッジ

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