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「花粉の少ない森づくり運動」を知ってますか?

「花粉の少ない森づくり運動」をご存知ですか。いま東京都では、花粉を多く飛散するスギ・ヒノキ林を伐採し、花粉の少ないスギなどに植え替える活動に取り組んでいます。一体、どのような活動なのか調べてみました。

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イメージ/写真提供:公益財団法人 東京都農林水産振興財団

都内では、およそ2人に1人が花粉症

春先のシーズン、東京都心の駅や繁華街では、花粉症に悩まされながらマスクをつけて歩く人たちが数多く見られます。平成28年度の東京都の調査によると、都内のスギ花粉症の推定有病率は48.8%と、およそ2人に1人が花粉症というデータも出ています。

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杉の花粉イメージ/写真:写真AC

都内の「花粉症」に大きく関係しているのが、「東京の森」だと言われています。じつは世界的な大都市「東京」は、総面積の約4割が森林で、花粉の飛散量が多い樹齢40年以上のスギやヒノキなどの人工林の多くは多摩地域に集中しています。

そこで、東京都では、平成18年から花粉を多く飛ばすスギ・ヒノキの人工林を伐採し、花粉の少ないスギ(※)などに植え替える「花粉の少ない森づくり運動」を進めているというわけです。

※花粉の少ないスギとは、今までのスギと比べて、花粉の数が約1/100のものです。東京では3つの品種が開発されています。

花粉の少ない森づくり目的

「花粉の少ない森づくり運動」の主な目的

人工林は周期的な更新が必要

「花粉の少ない森づくり運動」は「花粉症対策」であり、また「森の環境を守る」という一面もあります。

人工林は人の手で植えられた森です。森の手入れをしないと、木が混み合い、太く丈夫に育ちません。木が混み合うと地面に光が届かないため、草が生えず、土がやせて土砂崩れや洪水が起きやすくなります。

花粉を飛ばすスギ・ヒノキを伐採し、花粉の少ないスギに植え替えることは、「健康な森を保つ」ために重要なことなのです。

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植え替えられたスギの成長を守るため、伸びた下草を刈っている/写真提供:公益財団法人 東京都農林水産振興財団

なぜ「花粉の少ない森づくり運動」が必要なのか

では、なぜ、樹齢40年以上のスギやヒノキが放置されているのか。

それには、木材や林業を取り巻く環境が関わっています。

①木材需要の減少
昭和30〜40年代は、まだ木材の価格も高く、将来、子どもや孫に残せる財産としてスギやヒノキを植えようなんて人も多くいました。しかし、時代とともに木材需要は減少。木材の資産価値が下がってしまい、いまも伐採されないままというケースも多いといいます。

②林業従事者の減少
林業従事者の数は減少傾向(※)にあり、かつ高齢化が進んでいるため、伐採や管理するための人手を確保するのが難しい状況です。

※参考=林業労働者の動向:林野庁

木を伐採し、植えた苗が育ち、森になるまでには、多くの人の手が必要です。そのためにも多くの人が「花粉の少ない森づくり運動」へ参加し、東京の林業も応援していかないといけないのです。

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多摩木材センターで行われている木材競りの様子。東京にもこのような光景が見られる場所があることを知らない人が多い/写真提供:公益財団法人 東京都農林水産振興財団

花粉の少ない森づくり運動に参加するには

「花粉の少ない森づくり運動」に参加するには、大きく分けて3つあります。

①花粉の少ない森づくり募金
運動を支援するための募金です。個人でも法人でも参加できます。募金箱や振り込み、東京マラソンのチャリティへの参加という方法もあります。

②企業の森
企業や団体の協賛により、花粉の少ない森づくりを進めていく事業です。現在(平成30年3月)まで29カ所の企業・団体が参加し、植樹や下刈り体験などを行っています。

③森づくり支援倶楽部
花粉の少ない森づくり募金に一定額以上を寄付すると入会できます。個人で3,000円以上、法人で50,000円以上の寄付を行うと1年間会員となれます。会員になると「森づくりイベント」などに無料で参加できたり、会報誌、協賛施設の割引など、いろいろな特典があります。

花粉症対策、森の環境保全、木材利用の活性化に協力

東京都とともに「花粉の少ない森づくり運動」を推進している公益財団法人 東京都農林水産振興財団のコメントをご紹介します。

森づくりには、多くの労力と経費、何十年という長い時間がかかります。1人でも多くの方に森づくりに参加してもらいたく、都内各所で広報・PR活動を展開しています。最近では、新宿駅・渋谷駅の大型デジタルサイネージや都営バスでの広告、東京マラソンの応援をしながらのPRを行いました。5月12・13日には、日比谷公園で開催される「第28回みどりとふれあうフェスティバル」に出展予定ですので、ぜひ足をお運びください。

2018年5月末まで都心を走る「花粉の少ない森づくり運動」のラッピング広告をした都営バス/写真提供:公益財団法人 東京都農林水産振興財団

「花粉の少ない森づくり運動」に参加すれば、花粉症対策、森の環境保全、木材利用の活性化に協力できるのです。ぜひ、参加してみませんか。

文=弓削ヒズミ(編集部)


《協力》
花粉の少ない森づくり運動
(公益財団法人 東京都農林水産振興財団)

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