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認知症のひとり歩きを見守る「iTSUMO」

いま、認知症の「ひとり歩き」の場所を知らせてくれるGPSを利用した通信機器が注目されています。そのなかで介護保険適用内の機能にGPS機能を併せた見守感知機器「iTSUMO」について調べてみました。

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メール通知イメージ/画像提供:アーバン福祉用具

介護保険適用の見守感知機器「iTSUMO」

認知症は、シニア世代には、自分自身の問題として、また親や配偶者など近親者を支える立場として、とても身近な問題です。

認知症の「ひとり歩き」を見守るGPS機能を活用した介護用品もありますが、それらは介護保険適用外となっています。しかし、平成27年度より制度が緩和され、介護保険適用の機能に複合機能として一部の機能が利用可能となりました。そこで登場したのがアーバン福祉用具の「iTSUMO(いつも)」です。

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機器は30グラムで、カバーが約10グラム。手に持っても左右差はほとんど感じない重さ/画像提供:アーバン福祉用具

「iTSUMO」は、靴やドアなどに端末を装着し、利用者がドアを開けると通知します。また利用者が規定エリアの外に出た場合、家族のスマートフォンなどに情報を発信。居場所の方向性を特定できます。

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図1●振動を感知すれば、振動センサーが働き、振動通知のお知らせが届く。 メールの送り先については、サービスを利用開始時に登録することが出来る(最大5人、貸与の場合は福祉用具店よりの設定になる)。振動を1度感知すると、以降振動がある限り2分毎に通知は続き、歩いている限りは上記のように現在地を常に知らせてくれる/画像提供:アーバン福祉用具

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図2●エリアの指定範囲外へiTSUMOが持ち出すと、iTSUMOが作動し、あらかじめ設定された各契約者の端末に通知メールが送られる。※通知メールの送り先は5ヶ所まで設定可能/画像提供:アーバン福祉用具

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図3●エリア外への移動を感知した場合、iTSUMOのGPS端末より、各種端末に通知メールが届く。 また、エリア範囲の外から中への移動にも、iTSUMOは各種端末にお知らせメールを送信することができる/画像提供:アーバン福祉用具

GPS活用のため確立した独自の仕組み作り

従来のGPS機能付き商品は、機能の設定や、操作方法の難しさなどで、使用を敬遠されることも多いそうです。そこで同社では、利用者、家族、ケアマネージャー、介護関係者など、誰もが「かんたんに使える」商品を目指し、仕組み作りから取り組んだといいます。

①地道に行政機関に足を向け認可を得る
②介護現場が最適なプランを組み立てる
③IoT機器の専門家と共に機能を開発

また、福祉用具店などに対して、使い方のレクチャーを行い、商品の理解促進、サポートをできる人を増やしていきました。

介護、先進技術、市町村と連携をとりながら、弊社独自の仕組みを築き、500以上の実績と共に事故ゼロを続けているとのことです。

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レクチャーを行っている様子/画像提供:アーバン福祉用具

あきらめない介護で、家族の負担をやわらげる

家族が認知症で「ひとり歩き」をするようになってしまったら、本人も家族も辛く大変な思いをすることがあります。「iTSUMO」を作られた動機や利用されている状況について、アーバン福祉用具の担当者・辻さんに話していただきました。

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アーバン福祉用具の担当者・辻さん/画像提供:アーバン福祉用具

「私自身20年以上介護の業界で現場の介護からケアマネ・管理者などを経験し、いろんな立場でご利用者やご家族とお会いしてきました。そのなかで、やはり在宅に居続けたいと願うご利用者が多いということ、認知症になるとご家族がたちまち疲労するということ、介護サービスは過剰ではいけないということなどです。その答えの一つがこのiTSUMOだと考えています」

iTSUMO|認知症の方の徘徊対策|GPSで居場所がわかる介護サービス/画像提供:アーバン福祉用具告

「iTSUMOの1番すごいと思うところは、遠方にいるご家族も巻き込んで『もう一度在宅介護を頑張ろう!』と思わせてくれるところですね。iTSUMOは老老介護でも使えるんです。遠方の息子さんや娘さんなどが通知を受けて地図を見る。居場所は電話で伝えれば、それで発見することもできます。ケアマネさんがしっかりiTSUMOを理解していただいていると、認知症のご家族に提案をしてくださいます。だからこその介護保険なんです」

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iTSUMOが使えるのは靴だけではなく、ベルトや杖などにも装着できる/画像提供:アーバン福祉用具

辻さんのお話からは、大切なご家族と過ごす最期のときに納得して送り出せる手伝いをしていきたい、“あきらめない介護”を後押ししたいという想いが伝わってきました。

文=弓削ヒズミ(編集部)2018年6月1日取材


《取材協力》
アーバン福祉用具

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