健康な体づくり

100歳までハイヒールを履いてみよう!?

このタイトルに驚いた人も多いことでしょう。ハイヒールなんて、100歳どころか、還暦を過ぎたら足に悪いから履いたらダメなんじゃないの? そんな声も聞こえてきます。いったい、シニアでもハイヒールを履いて良いのか、悪いのか、そんなことを調べてみました。

100歳までハイヒール

ハイヒールを履いて、颯爽と歩けるシニアになってみませんか?/撮影:弓削ヒズミ

美しさをとるか、健康をとるか、いや、両立させてみよう

ハイヒールといえば、女性の美を象徴するアイテムのひとつですが、一方で、足腰に与える悪影響が心配。「美しさ」を優先するか、「健康」を優先するか、そんな2択を迫られている女性もいるのではないでしょうか。でも、ハイヒールで美しさと健康を、ウォーキングレッスンをすることで両立できるとしたらどうしますか?

「100歳までハイヒールを履いて颯爽と歩く前向きな人生を!」を理念に掲げ、ハイヒール専門のウォーキングスクールを開講している一般社団法人 日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さんにお話を伺いました。

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん。「ソワサンタン」とはフランス語で60歳の意味。ご自身が60歳となる前年の2009年に同協会を立ち上げた/撮影:弓削ヒズミ

日常生活の動作から、歩き方と姿勢を正していく準備を

ハイヒール専門のウォーキングスクールということですが、どういったことを教えているのでしょうか?
勘違いされることがあるのですが、最初から、ハイヒールを履いて格好よく歩くわけではありません。履きこなすために、身体を鍛えるところから始めます。筋肉がないと、歩けないですし、正しい姿勢も保てないので、歩くときに使う筋肉を、きちんと鍛えていきます。

何か秘密の特訓のようなものでもあるのでしょうか?
いいえ(笑)、基本はシニア向けの教室でやっている「健康体操」と同じで、ハイヒールを履く前までは、男性が通ってもいいぐらいです。ハイヒールのための、という特別な教え方はありません。運動器具などを使うわけでもなく、歩いたり、座ったり、そうした日常生活の動作のなかで鍛えていきます。

具体的には、お腹を”ふっ”と凹ませ、大腰筋に刺激を与えながら腹筋を鍛えます。いまダイエット効果で注目されている「ドローイン」ですね。腹筋から、背中に大腰筋と脊柱起立筋が後ろに繋がっていて、そこに刺激がいくと、背筋が”ピッ”と伸びます。こういう姿勢を続けると、その周辺の筋肉も鍛えられる状態になるんです。

きちんと姿勢よく歩く時に使う筋肉は、前方ではなく、ふくらはぎから、ヒップ、背中につながる後ろの筋肉を使います。ウォーキングレッスンでは、そういったことを意識してもらいながら練習します。そうすると、受講した方は、レッスンからお帰りになったときも、ここの筋肉をつかって歩かなきゃ、って意識されて、いつの間にか、そこの筋肉がしっかり出来上がって、きちんとした歩き方ができているわけです。

日本ソワサンタンウォーキング協会

レッスン風景。足の筋力づくりとケア、正しい姿勢・歩き方、ハイヒールでのウォーキング術など、実践レッスンをトータルに学ぶ/写真提供:日本ソワサンタンウォーキング協会

日頃、鍛えるためのワンポイントレッスンはありますか?
先ほどいいましたように、椅子に座りながらでもいいので、お腹を”ふっ”と凹ませ、腹筋を意識すると骨盤が立つんですね。骨盤が立つと、自然と姿勢も正しくなります。これを習慣づけて行いましょう。

しっかりと身体ができてこそのハイヒールで、身体ができてからのハイヒールです。やはりハイヒールは不安定な靴なので、脚に合っていなければ絶対に危険だし、その履き方を間違えると危険です。レッスンでは、姿勢よく歩ける筋肉をつけながらハイヒールのコツを教えていきます。

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん

いつまでもハイヒールを履いて、きれいと言われたい、その目標があるから、生徒さんの目の輝きが違うんじゃないかな/撮影:弓削ヒズミ

ハイヒールを選ぶ時のポイントは2つ

ハイヒールの選び方はどうすればいいのでしょうか?
足は人それぞれの形をして、右と左でも特徴が違っているのです。まず、いかに足の形が違うのか、一度、プロの方に計測してもらうことをすすめています。そのうえで、靴の選ぶポイントを2点挙げてみましょう。

①ヒールを履いて背伸びした時にカカトが抜けない
②履いている状態で足の指が全部動くか確認

きちんとした筋肉で歩くには、カカトがきちんと合っていることが前提となります。それともう1つは、足の指が動くことです。たとえば小指や親指が押されて動かないと、そこは痛くなってしまい、最悪な場合、外反母趾に繋がる危険性もあります。

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん

履きたいハイヒールが、自分に合うハイヒールとは限らない、が大前提です/撮影:弓削ヒズミ

ハイヒールが外反母趾の原因といわれることもあるようですが。
外反母趾になっているのに、足に合わないハイヒールを履いてしまうから、悪化させてしまうケースはあるにせよ、いまは老若男女問わずに外反母趾を患う人が増えているので、一概にハイヒールが原因というのは間違いです。

先ほど「足の指が動く」を挙げたように、ハイヒールでも普通の靴でも、足の指を使って歩くことが重要です。ハイヒールでは、足の指に体重がのってきます。私たちのレッスンでは、足の指の力をつけていけるエクササイズも取り入れ、歩き方を改善しています。とにかく足の指を動かせる靴を選びましょう。

それでは足の指が動かせて、ヒールの低い靴が一番安全なのでは?
シニアだからヒールの低い靴がいい、というのは、あながち正解でもないんです。ペタンコな靴だと、歩いている時の衝撃が、カカトにダイレクトにかかり、膝や腰などに負担を与えることもあります。また、低い靴を履いてるために、歩き方がぞんざいになることも。本来、歩くために使わなければいけない筋肉を使わず、膝が痛くなったり、腰痛などのトラブルに繋がることだってあるんですよね。

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん

間違ったハイヒールを選び、血豆だらけになって履いている人もいるので、正しい選び方、正しい歩き方を知っていただきたいです/撮影:弓削ヒズミ

ハイヒールを履いた素敵なシニアは、下の世代の希望に

これまでのお話を聴きますと、たしかにハイヒールを履くまでは男性でも受けてみたくなるウォーキングエクササイズだと思いました。それだけに、特にハイヒールにこだわらなくても、なんて思いましたが(笑)
たしかに男性向けのウォーキングレッスンなどもやってみたいと思うのですが、ふつうにトレーニングだけを目標にするよりも、「100歳になってもハイヒールを履いてキレイと言われたい!」というほうが、モチベーションが上がる人が多いと思います。

もちろん私がハイヒールを大好きだということもあります。20代後半でフランス・パリで生活していたとき、レストランや公の場所にいくと、シニアの女性たちが、きちんとした格好に、かならずハイヒールを履いているんですね。それも、きちんとした姿勢で履きこなしている姿を何度も目にして、素敵だなと、ものすごく憧れました。

やはり年を重ねても、自分の中で何か目標をもって、きちんとした格好、ハイヒールを履いて出かけるような、そのようなライフスタイルをつくっていきたいという想いがあります。日本でも、お洒落な格好でハイヒールを履き続け、素敵で元気で、なおかつ生きがいを持って暮らすシニアが増えたら、下の世代にとって、すごい希望にもなりますよね。それが日本全体を活性化させると信じてますし、それに貢献できればな、という理念でやっています。

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん

パリでハイヒールを履いた素敵なシニアを見たときは、ものすごくカルチャーショックでした。当時は20代の小娘でしたが、自分も絶対にこんなシニアになってやろうと思いましたね/撮影:弓削ヒズミ

いまレッスンを受けている方々の反応はどうですか?
レッスンを受けている人たちは、主に40〜50歳代のこれからシニアになる方々、主婦よりも仕事を持った方が多いです。なかには86歳の方もいらっしゃいます。レッスンを続けていくと、歩き方に加えて、体型もずいぶんと変わってきます。それは痩せるというのではなくて、引き締まってくるんですね。身体に無駄なものがなくなってくるには、いかにきちんとした姿勢でいるのが大事かわかると思います。無理をして運動をするとか、食べないとか、それよりも、きれいなプロポーションを保つには、正しい歩き方がいいのかなと思っています。

このレッスンでは、1年に1度、ウォーキングショーを開催します。これまでレッスンしてきた成果を披露する場です。生徒さんが、できるだけのお洒落をして、レッドカーペットをさっそうと歩きます。自分を輝かせるため、仲間を見つけて、お互いを高め合って、これからも続けていこうと盛り上がるんです。

2015年12月13日に開催された協会6周年記念&クリスマスパーティーでのウォーキングショーの様子。今年2016年は12月4日に開催される/提供:日本ソワサンタンウォーキング協会

ハイヒールを履き続けるシニアの先輩に刺激されて、自分でもシニアへの準備を始めようという人が増えるといいなと思います。社会に貢献できて、収入が得られて、人に喜ばれるシニアを目指す人が増えれば、さらに若い世代にとっても勇気付けられることじゃないかなと思います。

日本ソワサンタンウォーキング協会の代表・松尾多惠子さん

シニアになってくると「晴れの場」が少なくなりますよね。このウォーキングショーをひとつの目標にしてくれると嬉しいですね/撮影:弓削ヒズミ

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2016年11月取材


≪取材協力≫
日本ソワサンタンウォーキング協会
「日本ソワサンタンウォーキング協会」設立7周年&クリスマスパーティーのお知らせ
日時:2016年12月4日(日)午後6時30分~
会場:代官山フレンチレストラン『シェ・リュイ』 
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町17-6
詳しくは公式サイトをご覧ください。

関連記事=2016年12月22日更新『ハイヒールによる華麗なるウォーキングショー!100歳までハイヒール

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