社会の知識を学ぶ

シニアとシェアハウス①
シェアハウスは若者だけのためにあらず、これからのシニアの住まい方に

いま話題の「シェアハウス」は、若者たちの暮らし方というイメージが強いかもしれませんが、じつはシニア世代にとってもメリットが多く、今後、超高齢化社会が進むにつれて、その需要は増えてくるかもしれません。シニアの住まいとして、シェアハウスについて調べてみました。

2017-05-29-sharehouse-top

イメージ

もしも、シニアで一人暮らしになったら

定年退職後の新たな暮らし方を考えた場合、気になる事の一つが「住まい」です。いま、シニアの住まいは、自宅か高齢者施設の2つしか選択肢がないような状況。先の長い人生、年金だけでは経済的に不安定、もしも伴侶に先立たれてしまったら、など、考えていくと、いまの暮らしを将来的にも維持できるのか不安に感じる人も多いのではないでしょうか。

高齢者施設ではない、シニアの一人暮らしについて考えてみましょう。

A.持ち家
家賃は掛かりませんが、家の維持管理費用が掛かります。家を購入した時は、家族同居を前提にした間取りなので、一人では暮らすには広すぎて持て余すこともありそうです。

B.賃貸住宅
生活相応の家賃で住宅を選ぶことができます。しかし、更新料や、引っ越すとなれば、敷金・礼金・仲介手数料が掛かり、賃貸契約を結ぶには連帯保証人が必要となります。近年では、身寄りの少ない、一人暮らしのシニアには物件を貸し出さない事例も多いといいます。

また、地方公共団体では公営住宅を減らす方向に動き始め、公営住宅はストック縮小へ急進しています。公営住宅も少なくなることから、シニアの住環境は、ますます厳しくなっていきそうです。

2017-05-29-sharehouse-0

イメージ

賃貸住宅とシェアハウスの違い

巷では「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」も話題になっていますが、今のまま「普通」の生活(仕事や趣味)を続けたい活動的なシニアに注目されているのが、「シェアハウス」です。

賃貸住宅と比べて、シェアハウスの特長は3点。

①入居するための初期費用が押さえられる
敷金・礼金・仲介手数料がなく、基本として連帯保証人が不要とされています。一人暮らしのシニアでも入居ができます。

②生活費の負担が軽減できる
台所や居間・食堂など共用部の家具や家電がすでに備わっているので、冷蔵庫、洗濯機、レンジなど生活家電を新たに購入する必要がなく、初期費用を安く抑えることができます。また、食事の材料や生活消耗品を共同購入すれば、生活費の負担も軽くできます。

③一人暮らしの不安が少ない
共同生活で、一人暮らしの寂しさを感じることが少ないといわれます。シェアハウスによっては、居住者同士が定期的に集まるところもあるようですが、もちろん、自分の部屋内ではプライバシーが保たれます。各々のプライバシーを守るため、個室へは緊急時以外「ノック禁止」をルールにしているところもあります。

sharehouse_hikaku

一般賃貸(ワンルーム)とシェアハウスの比較例/提供:一般社団法人 日本シェアハウス協会

注目を集める多世代共生型シェアハウス

シニアのシェアハウス事情について、一般社団法人 日本シェアハウス協会の山本久雄代表理事に、お話を聞いてみると、「シェアハウスというと、若い人のイメージですが、いま、多世代共生型シェアハウスに住まうシニア世代が増えています」とのこと。

多世代共生型とは、その字のごとく、いろいろな世代の人が住まうシェアハウスで、そのなかにシニアも含まれます。

2017-05-29-sharehouse-1

シェアハウス開業を支援し続け、全国へ普及活動を行っている一般社団法人 日本シェアハウス協会・山本久雄代表理事/撮影:弓削ヒズミ

「多世代共生型は年齢で区切るのではなく、その物件によって、明確なコンセプトを打ち出し、そのコンセプトの趣旨に共感した人たちが一緒にシェアして住むものです。例えば、『食べることが好きな人』だけで集まれば、共有部のキッチンを充実させたり、食に関する書籍や資料を常備したり、住んでいる人が、共通で楽しめるような家になっています。その空間で、居住者の皆さんがコミュニケーションを広げています」

「同じ世代同士が集まるのもいいのですが、シニア世代の中には、同世代だけの環境に違和感を覚える人もいるようです。むしろ世代が離れていることで、それぞれの持っている知識や技術を交換し、お互いに能力を補えるのは、いい刺激になるのではないでしょうか」

シェアハウスに入居するには、事前審査があり、シニアだからといって、特別扱いされることはないとのこと。だからこそ、しっかりとコミュニケーションができて、自立した暮らしをしているシニアにとって、多世代共生型シェアハウスは、自分を活かし、他人から学ぶことができる魅力的な「住まい」なのかもしれません。

2017-05-29-sharehouse-22017-05-29-sharehouse-3

日本シェアハウス協会は、シェアハウス内に事務局を置く。シェアハウスの共有部には、共同購入した調味料や消耗品などが置かれ、居住者個人のものは、各自決められたスペースにしまっている/撮影:弓削ヒズミ

多世代共生型シェアハウス内のコミュニティで、シニアがうまくやる3つのコツを、山本久雄代表理事に教えてもらいました。

①自分の自慢話はしない
過去の栄光や、これまでの経歴を自慢したところで、尊敬されることはありません。

②他者のルール違反などは直接指摘しない
年長者ゆえに、上から目線で注意したように思われてしまうので、ルール違反は運営管理者を通じて注意してもらいましょう。

③交流会などの会費は多めに払う
居住者同士の交流会があれば、少し多めに払ったり、何か差し入れるなど、懐の深いところを見せましょう。

シェアハウス内のルールを守った上で、以上の3つを実践すれば、シェアハウス内で良好な関係が築けるそうです。

シニア世代だけの集まりではなく、年齢や性別に関係なく多世代で交流できるシェアハウスというのも、これからのシニアの住まい方の一つなのかもしれません。シェアハウスが、多世代の交流だけではなく、さらに地域交流へと広がる窓口になる動きもあるようです。

今回は、「住まいとしてのシェアハウス」を紹介しましたが、次回は、自分の持ち家をシェアハウスにすることのメリットについてご紹介したいと思います。

シニアとシェアハウス② シェアハウスは可能性が広がる、自宅活用の選択肢に続く

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2017年5月取材


≪協力≫
一般社団法人 日本シェアハウス協会

下へ続く
上へ戻る