社会の知識を学ぶ

これからのシニアの就職は「爺ターン」採用?!

定年退職後、新たな職探しをしている人は多いと思いますが、シニア世代の再就職で、インターンシップ採用が注目されているのをご存知ですか。シニアのインターンシップを「爺ターン」とネーミングする企業もあるようなので、ちょっと調べてみました。

2017-07-30-jiiturn-slide

イメージ/写真:素材辞典

広がるシニアのインターンシップ採用

いまのシニアは、まだまだ気力も体力もあり、定年退職後も働き続けることが常態化しています。しかし、これまで培ってきた経験を活かす仕事をしている人は多くありません。シニア世代の求人を見てみると、マンション管理員、清掃員、軽作業員など、会社勤めだった人には、あまり接点のない業種ばかりが目立ちます。

いま、自分のキャリアを活かした仕事をしたい人に、注目されているのが「インターンシップ」です。インターンシップとは、企業や組織で実務体験を行いながら経験を積むこと。主に、就職活動中の学生などを対象に取り行われている制度ですが、このインターンシップをシニアに採用する企業や団体が増えてきており、埼玉県では、シニアの就職支援として、県内在住の60歳以上(55歳以上の早期退職者も含む)に対して、県内企業でのインターンシップを募集するなど、自治体にも広がっているのです。

参考「シニアインターンシップの参加者募集 – 埼玉県

2017-07-30-jiiturn-1

イメージ/写真:素材辞典

60歳男性を「爺ターン」採用

今年6月、60歳男性をインターンシップで採用した、採用コンサルティング事業を行う株式会社アドヴァンテージでは、独自に「爺ターン」採用と名付け、これからシニアと企業を繋ぐのは、インターンシップだといいます。

今回、株式会社アドヴァンテージが採用した60歳男性Aさんは、大学卒業後、国内大手製紙メーカーにて、新規開拓営業をメインにキャリアをスタートし、米国外資化学メーカー日本法人にてプレイングマネージャーとして全国を回っていた営業のスペシャリスト。その後、大手メーカーでの経験を活かし、ベンチャー企業のマーケティング会社に転身し、WEBコンサルに従事していました。その経験を活かせる場として、今回のインターン募集にAさんが応募されたとのこと。

2017-07-30-jiiturn-2

「爺ターン」採用で入社したAさんは、これまでの経験を活かしながら業務に取り組んでいる/提供:株式会社アドヴァンテージ

求められているシニアのキャリア

「Aさんのように、素晴らしいキャリアをお持ちの方でも、年齢的に、体力的に大丈夫なのか、不安を持たれるシニア世代は多いようです」と話すのは、広報担当の佐藤さん。自分の親の介護、自分自身の健康上の問題などで、フルタイム勤務が難しくなるのが60代シニア。自分の時間をうまく使った働き方を探しているシニアが多いことから、いろいろな働き方があるべき、そんな思いで「爺ターン」採用を取り入れたそうです。

「いままでの経験を活かし、これからセカンドキャリアを築いていきたい人はたくさんいらっしゃいます。その人しかできない仕事もたくさんあります。例えば、ベンチャー企業は、発想力や企画力に優れていますが、さらに企業を大きくすための販売ルートの開発や営業方法、経理分野でのノウハウが足りていません。だから、経験豊かなシニアの力を必要としています」

2017-07-30-jiiturn-3

イメージ/写真:素材辞典

シニアにも企業にもメリットが

「『爺ターン』採用は、そうした、求められている人材と、企業をマッチングする解決法のひとつではないでしょうか。シニアの方には、じっくりと会社を見ていただき、その人に合ったフレキシブルな働き方を一緒に探していけると思います」と、インターンシップ採用は、求職のシニアにとっても、企業にとっても、互いにメリットがありそうです。

ハローワークをはじめ、求人サイトの多くでも、シニア向けの求人情報が数多く掲載されていますが、求人情報を探すコツのようなものがあるか、広報担当の佐藤さんに尋ねてみると、「企業の自社採用サイトを参考にするといいと思います。その企業がどのような人材を求めているのか、求人サイトよりも、わかりやすく、採用担当へ直接連絡を取れるので、自分自身のアピールもしやすいかもしれません」とのこと。

2017-07-30-jiiturn-4

イメージ/写真:素材辞典

企業がシニア世代の働き方を真剣に考えるようになり、インターンシップ導入は、ますます進みそうです。積み重ねてきた経験を活かして、社会貢献していきたいと考えるシニアにとっては、これからがチャンス。いまから定年後のセカンドキャリアを考えてみてはいかがでしょうか。

文=弓削ヒズミ(編集部) 2017年7月取材


《協力》
株式会社アドヴァンテージ

下へ続く
上へ戻る