社会の知識を学ぶ
SNSのアカウント、放置したままでいいの?
整理しておかないと、幽霊みたいにいつまでも残ってしまうもの。そのひとつに、各種サービスのアカウントがあります。 放置しておくと、後で面倒なことになるものもあります。これも、「終活」の大事なポイントのひとつ。
イラスト:弓削ヒズミ
まるで幽霊? さまよえるアカウント
SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)花盛りの時代です。
60過ぎても、FacebookやTwitterを通じて、同好の仲間やかつての同僚、地元の友人たちと交流を図っている人も多いかと思います。
さて、ここで問題です!
もしも、自分が亡くなってしまったら、取得しておいた自分の会員アカウント(サービスにアクセスするための権利)は、どうなるのでしょう?
ズバリ、申し上げましょう。
本人が亡くなっても、
ネット上のアカウントは、
永久(?)に不滅!なのです。
ただし、家族や友人からの申告がなければ――の話です。
一定期間アクセスのないアカウントを削除対象にしているサービスもありますが、たいていのアカウントは、そのまま残ってしまいます。
すると、どうなるか?
亡くなっている人宛てのメッセージなどが、いつまでも送られてくることになります。まるでネット上をさまよう亡霊が、人を呼び寄せているように――です。
家族や知人から申告があった場合、SNSの多くは、「アカウント削除」という対応をとってくれます。ただし、イタズラや嫌がらせの虚偽の申告を避けるため、死亡報告は、さまざまな手順で審査されます。これが面倒と言えば面倒。
なので、「もう要らないかも」と思うアカウントは、できれば、生きているうちに整理しておくことをおすすめしたいのです。
撮影:編集部
「追悼」のためのアカウントもある
SNSの場合、そのアカウントを通じて多くの人たちとコミュニケーションを取っていた――というケースもあるでしょう。そういう場合、ただ、アカウントを削除するだけではそっけない、と感じられることもあるかもしれません。
SNSの中には、「追悼アカウント管理人」という機能を備えているところもあります。実名での会員登録を行っているFacebookのサービスですが、この機能を使うと、故人のアカウントを、家族や友人が管理することができます。
管理できる内容は、以下のとおり――。
?亡くなったユーザーのプロフィールに投稿を書いて固定することができる。
⇒亡くなったユーザーに代わって、最後のメッセージを書くことができる。
?新たな友だちリクエストに対応できる。
?プロフィール写真やカバー写真を更新できる。
死後も自分に代わってアカウントが管理されていれば、友人たちが追悼の気持ちを持ち続けてくれるかもしれません。
「追悼アカウント管理人」は、生前に自分で管理人を指定することもできますし、指定していなければ、死後、家族や友人が管理人として申請することも可能です。
イラスト:弓削ヒズミ
死してなお、課金は続けられる
気をつけなければいけないのは、「有料のインターネットサービス」です。
多くの有料サービスは、ユーザーから退会や登録解除がない限り、課金が継続されていく仕組みになっています。退会せずに亡くなってしまったら、死後も課金だけが引き落とされ続ける事態になるわけです。
こりゃ、大変だ!――です。
残された家族は、登録解除しようにもパスワードがわからず、混乱するばかり――となってしまいます。
自分が登録しているインターネット有料サービスと、それを解除する方法については、記録として残し、家族にわかるようにしておく。これも、大事な心がけのひとつです。
編集部・シゲP記者
70代のじいちゃん記者。長年、編集者として数々の書籍やムックの出版に携わり、いまは執筆者として多くの作品を発表。いまだ現役としてアクティブに活躍している。