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どうしてますか? デジタル写真の保存法
シニア世代の趣味として人気が高いのが「写真」です。しかし、せっかく撮った写真の保存については、いまひとつ分からないという人が多いのも実情です。そこでデジタル写真の保存方法について、いくつか紹介してみます。
イメージ/写真:無料写真素材 写真AC
撮影した写真はどうやって残していますか?
最近では、写真を趣味とした人が増えています。スマホやコンデジと呼ばれる小型デジカメで日常を記録する人から、プロ顔負けの高級カメラを抱えて、風景やスナップなど本格的に作品づくりをしている人まで、そのスタイルはさまざま。
ところで撮影した写真はどうやって残していますか?
じつは取材中、写真が好きだというシニア男性に声をかけられ、楽しくカメラトークをしていたところ、その方の写真データの保存方法を聞いて驚きました。撮影した写真データはカメラの記録メディア(SDカード、CFカードなど)に入れたままで、容量がいっぱいになると新しい記録メディアを購入して、これまでの写真は記録メディアで保存しているのだとか。
ここで「それじゃダメなの?」と思った方、それでは数年後に写真データが消えているかもしれませんよ。
銀塩カメラのフィルムのように記録メディアのまま保存してはいけない。あくまでも一時的な保存機能しかないので要注意!/写真:無料写真素材 写真AC
データは消える、だからバックアップをとる
写真データの保存方法については正解はないのですが、データ消失のリスクを減らす方法を紹介していきます。
前提として、写真に限らず「データは一瞬にして消えてしまうもの」という認識でいましょう。
だからこそ、データの保存は「バックアップ」と呼ばれる、別のものに保存するようにします。そのためには、カメラだけではなくパソコンを使ってデータの保存管理をするのがおすすめです。
写真データの保存管理にはパソコンを使うこと。タブレット端末でもできなくはないが外部保存の接続機器も限られ、おすすめできない/写真:無料写真素材 写真AC
データが保存できる機器(記録媒体)には以下のようなものがあります。
- HDD(ハードディスク)
- 光学ディスク(CD、DVDなど)
- フラッシュメモリ、記録メディアカード
- クラウドストレージ
?HDD(ハードディスク)
パソコンにも内蔵されていますが、外付けHDD(ハードディスク)を用意します。1TB(テラバイト)の大容量なら1万円前後から購入できて、保存枚数の単価でいけば、おそらく一番安価になると思われます。他に比べて、データ書き込みの速さ、堅牢さでも優れています。
?光学ディスク
CD、DVDといったディスクにデータを焼き込みます。薄いディスクなので保管のしやすさに優れています。ただし、CDで700MB、DVDで4.7GBと保存データ容量が少ないのが残念。
光学ディスクとフラッシュメモリ。手ごろな値段で購入できるが、あまりデータ容量も大きくなく保存枚数の単価では安くない。長期保存ではなくデータの受け渡しなどに向いている/写真:無料写真素材 写真AC
?フラッシュメモリ、記録メディアカード
USBメモリ、SDカードなどのメディアカードは取り扱いが簡単で64GB、128GBなどの大容量もあるので保存に向いていそうですが、保管期間が5〜10年程度といわれており、また静電気にも弱いので長期保管には向いていません。前述の記録メディアで保存しているというシニア男性がこのケースにあたります。フラッシュメモリ、記録メディアカードは、あくまでも一時的な保管、データの受け渡しに利用するのに向いています。
?クラウドストレージ
パソコンを使っている人ならOneDrive、iCloudの名前を見たことがあると思いますが、クラウドストレージとはインターネット上のデータ保存サービスのことをいいます。dropbox、Google Driveなども有名です。一定容量なら無料というサービスもありますし、有料でも月に数百円〜千円台でサービスが提供されているところもあります。
いずれも一長一短の特徴があるので、用途に合わせて使い分けてみましょう。また、データのバックアップは1つだけではなく、同じデータでも複数に保存しておけばリスクが分散します。撮影させてもらった人にデータを差し上げることも、広い目で見ればバックアップになります。
編集部がおすすめする写真データの保存法
それでは編集部がおすすめする写真データの保存法をご紹介します。
【その?】同じデータを2台のHDDに保存
現在、写真データを保存するなら外付けHDDが安定していると思いますが、堅牢なHDDも振動や衝撃には弱く、可動部分が劣化して故障することだってあります。それならHDDを2台用意してみるのもいいかもしれません。
まったく同じデータを2台にバックアップしておけば、1台故障してもデータは残ります。さすがに2台同時に壊れることは滅多にありません。1TBで1万円前後なので2台用意できないこともないのでは。
【その?】FacebookページなどSNS機能を利用
上記で説明したクラウドストレージの代わりにFacebookを利用したバックアップはいかがでしょう。あまり大きなサイズの写真でなくても良いのであれば、Facebookの機能のひとつ「Facebookページ」を作成して、アルバムに写真を登録して保存する方法です。Facebookページは公開、非公開ができるので、見せたくない写真でもアルバムにしても安心です。
個人のアカウントと違い、Facebookページは複数で管理ができるので、もしも自分が亡くなったあとも写真を残したいのであれば、前もって家族や友人を管理者に誘い、死後も写真アルバムをFacebookページとして残していくことができます。終活のことを考えれば、こうした保存方法もおもしろいかもしれません。
スマートフォンやタブレットでしか写真を撮らないのであればSNSやクラウドストレージを利用した保存法は利便性が高い。ただしインターネット上のサービスは永遠に存続する保証はないので注意が必要/写真:無料写真素材 写真AC
【その?】プリントアウトして保存
データが一瞬で消えてしまうなら、写真をプリントして保存するという手もあります。
何を馬鹿なことをと思われるかもしれませんが、決して非現実的なことではありません。それこそ、幕末の坂本龍馬、勝海舟、土方歳三、徳川慶喜など、江戸時代後期に撮影された肖像写真が今でも残されているのはプリントされた写真があったからです。写真は複写して再びデータ化することだってできるのです。2Lサイズ(178×127)以上でプリントしておけば、再度スキャニングしてもそこそこの解像度でデータ化できます。
終活でいえば、遺族だって、HDD、CDやDVDに大量の写真データが残されても、数千、数万枚とある保存された写真データを1枚1枚見直すことはないでしょう。でも写真プリントなら、ぱっと見ただけでその写真の内容と大切がわかります。
写真本来の用途でいえば、写真はプリントしてこそ完結するものかもしれない。東日本大震災でも津波で流された写真プリントが復元されて遺族の手元に戻った事例もあるように、本当に残すべき写真はプリントすべきなのかもしれない/写真:無料写真素材 写真AC
最後はちょっと強引な保存方法でしたが、目に見えない写真データは他人にとって残されても面倒なもの。後世に伝えたい大切な写真であれば、自分でしっかりと保存管理して、もしもの時でも他人にわかるようなカタチで保存することを心がけましょう。これは「終活」にも繋がる話です。まずは大好きな写真から終活に手をつけてみるのもいいかもしれません。
文=弓削ヒズミ(編集部)