暮らしを彩る

「安心」と「楽しみ」を運ぶ
―月額2,500円で家族を繋ぐサービス

今、緊急事態宣言による自粛やコロナの感染防止の観点から高齢者も引きこもりが多くっています。高齢者にとっての引きこもりは、 生活不活発により、フレイル(虚弱)が進行し、心身や脳の機能が低下するといわれています。 筋力が低下すると転倒しやすくなったり、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題が発生する可能性もあります。そこで今回はフレイル予防の方法として、「みまもり訪問サービス」ご紹介します。


2017年10月に日本郵便株式会社が開始した『みまもり訪問サービス』は、全国津々浦々にある郵便局ネットワークを利用し、月額2,500円(税込) で、郵便局社員が高齢者宅へ月に1回訪問してくれるサービスです。サービスを開始して約3年、コロナ禍という高齢者にとって行動が制限され感染リスクを抱える生活の中、このサービスがどう活用されているのか、日本郵便株式会社 地方創生推進部 係長の武川士文(たけかわしもん)さんに、80分間熱く語っていただきました。

「当初は離れて暮らす両親のために、その子供たちが申し込まれる事を想定していたのですが、蓋を開けてみると意外にもご自身で申し込まれるケースが多くて驚きました。利用者自身が家族を心配させないために、申し込むのだそうです。申し込みのきっかけは、パートナーが亡くなった際や通院や入院した際 、最近だとコロナで引きこもりがちな両親を心配して、という方が多いです」と、武川さんは言います。

「みまもる」のではなく「家族をつなぐ」

「本当は『みまもり 』っていうと、見張っているみたいな感じがしてちょっと嫌なんですよ。見守っているというよりは、僕たちが利用者様とお会いして元気な姿を確認し、それをご家族に報告する。家族を繋いでいるんですよ。郵便が手紙を届けるのが仕事のように、みまもりサービスも、ご家族に安心と楽しみを届けているんです。」と武川さん。
月1回の訪問は、配達員が配達業務の合間に行うのではなく、その地域の郵便局の窓口にいる社員等が行います。事前に利用者と相談して決めた訪問日に伺い、基本の7項目の質問と自由選択の3項目の質問に加え、生活状況や近況等を伺います。それ以外にも訪問担当者が持参したパズルを一緒に楽しんだり、食事や健康、生活に関わる情報など、医師等の医療専門職が監修した本格的なコンテンツの提供も追加料金無しで一緒に楽しめます。

訪問の際にもらえる「あんしんだより」

1回の訪問時間は約30分程度ですが、可能な限り毎回同じ局員が伺うので、状況の変化などを知ることが出来ます。
訪問後は、質問の回答と、訪問者のコメント、写真等をまとめた報告書「みまもりだより」を依頼者へメール*で送ってくれます。
「その報告を受けて、ご家族の方が、お父さん元気かな?お母さん元気かな?と思って、電話一本かけてくれたら嬉しいです」と武川さんは言います。

*別途、月額200円(税込)で郵送での報告に変更も可能です。

(月額880円(税込)で、もしもの時に、家族からの要請に応じて警備会社がご利用者宅に駆けつけてくるサービスもあります。)
※別途、警備会社と契約を締結いただく必要があります。
※駆けつけの際に生じる料金は1回につき5,500円(税込)かかります。(対応時間1時間以内)

訪問後は「みまもりだより」と呼ばれる報告書がご家族などへメールで送られます(画像はイメージ)

満足度97%の理由

アンケート調査を行った結果によると、97%の利用者がこのサービスに満足をしていると答えています。「家にセンサーがあったからといって、安心は出来るけど満足には繋がらないのではないか。満足に至るには、毎月訪問があってお話をして、生活状況を報告して、その結果、子供や孫から連絡が来るようになる、というのを経験されているからこそ、このような結果を頂いてるのではないだろうか」と武川さんは推測します。

「心のケア」に重点をおいているからこその満足度だと、武川さんは推測します。

第三者だからこそ知れた事実

利用者は、必ずしも家族と疎遠という人ばかりではありません。特にコロナ禍の今、「行き来も出来ないので毎回報告書の写真を楽しみにしている」、「 知人との交流が少なくなったので、郵便局員さんに訪問いただくようになり、生活に少し張りが出るようになった」、「母親の様子以外にも、ちょっとした家の様子等が報告書に書かれていると、電話で話す時にも話題が広がって嬉しい」などといった、家族間の絆を更に深める役割にもなっています。

※緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が適用された地域においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、原則、みまもり訪問サービスの定期訪問を見送りしています。

ある利用者は、 「家族に心配をかけたくない」という思いから、通院していることを家族には伝えてませんでした。そのため、みまもり訪問の報告書で利用者が通院していたことを初めて知った家族から感謝の声が届いた、なんてこともあったそうです。

中にはトラブルを未然に防いだケースもあります。利用者が、不審者との接触があることを報告書を通じて家族が知り、事なきを得たといった事や、リフォームを予定していることなどを初めて知り、内容を把握する事が出来て助かった、などという報告もありました。

みまもり訪問サービスの話になると、つい熱が入ってしまう地方創生推進部の武川さん

郵便局という身近な存在で全国どこにでもあるというのが最大の強みであるこのサービス。利用者にとっても、昔からある郵便局という身近な存在は、サービスを利用する上でのハードルも高くはないはず。
月一の“お客さん”に対して、ちゃんとお化粧をして、お部屋の掃除をして、お茶を出して出迎える、というのが張り合いになっていい、という利用者も多いです。 自身や両親や祖父母が最近引きこもりがちだなぁ、と思う方、郵便局のみまもりサービスを利用してみてはいかがでしょうか?

文=山本 恵子

<みまもり訪問サービス>
サービス内容:毎月の訪問(30分間)/生活状況の確認(10項目の質問)/脳活トレーニング/雑談/みまもり保険、他
依頼者(家族)へ、みまもり便り(報告書)の提出。
料金:月額2,500円(税込)
オプションサービス:駆けつけサービス 880円 (税込) /月額
※駆けつけ料は1回5,500円(1時間以内)
       

みまもり訪問サービス詳細
https://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/visit.html

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