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素敵なステッキで、外へ繰り出そう

ステッキを使うことに抵抗感をもつシニアが多いようです。その理由のひとつが、「年齢よりも老けてみられ、恥ずかしい」といった気持ちの問題。でも、介護用途のものから、ファッション性の高い嗜好品まで、いろいろなタイプがあります。せっかくステッキを持つならば、自分が納得できる自慢のステッキを見つけてはいかがでしょう。そんな想いで、シニアにステッキのあるライフスタイルを提案しているのが「GAARU」というステッキメーカーです。

素敵なステッキで、外へ繰り出そう

写真撮影:弓削ヒズミ

ステッキだってファッションの一部に

杖やステッキといえば、高齢者のイラストに描かれたり、芝居の老人役が持っていたり、いまや老人のアイコン(象徴)というイメージがあります。しかし、歴史を遡れば、英国紳士や明治の文豪たちが、ステッキを権威の象徴、ファッションの一部として所有していました。

ステッキだってファッションの一部に

ステッキはシャーロック・ホームズやチャップリンの映画でも登場。第二次大戦時の英国首相チャーチル卿の傍らには、いつもステッキが。/写真提供:株式会社GAARU

ステッキをもつことは恥ずかしいことではありません。身体機能を補助するアイテムという意味では同類の「メガネ」が、定番のファッションアイテムになっているように、ステッキにだってお洒落を求めていいはずです。実際、機能性と美しさの両方を備えたステッキは数多くあります。

編集部で調べたなかで、注目したのが「GAARU(ガアル)」というステッキメーカー。千葉県船橋市で若者2人が立ち上げたベンチャーのメーカーです。「お洒落のためのステッキ」という理念のもと、クラフトワークにこだわった製品を送り出しています。

GAARUオリジナル「Walking Stick ウォーキングスティック」

GAARUオリジナル「Walking Stick ウォーキングスティック」/写真撮影:弓削ヒズミ

1本の樫から作り出された、クラシカルな趣き

GAARUオリジナルの「Walking Stick ウォーキングスティック」は、伝統的なフォルムで、持ち手の美しいカーブが印象的。見極められた1本の樫から作り出され、丈夫さと美しさを兼ね備えます。一つ一つ職人の丁寧な作業によって、生み出された曲線は、日本の職人ならではの技。

株式会社GAARU

しっかりと乾燥させた樫を、細心の注意を払いながら加工する/写真提供:株式会社GAARU

持ち手グリップ部分のカバーは天然の牛革を使用。このカバーも職人によって丁寧に縫い上げられたもの。手に吸い付くような感触で、使い込むごとに、さらに馴染んでいきそうです。色は紺・茶・赤の3つから選ぶことができます。

株式会社GAARU

天然の牛革は通気性がよく、長時間握っていても蒸れにくくなっている。また皮の縫い付けも通常よりも細かく仕上げられている/写真提供:株式会社GAARU

カバーに取り付けられたボタンは、デザインとしてのアクセントだけではなく、ステッキを正しい持ち方ができるガイドの役割も担っています。曲がりに手の平を乗せ、人差し指でボタンを指すように握るとベストな持ち方となります。そんな細やかな部分にも気づかいが感じられます。

株式会社GAARU

カバーのボタンは、英国紳士のジャケットやブレザーから着想したという/写真撮影:弓削ヒズミ

外出したくなるようなステッキ、贈られて喜ばれるステッキ

オリジナルのステッキを製作した背景など、GAARUの共同創業者の1人、奥村嘉之さんにお話を聴きました。

「ステッキを持って外出することを恥ずかしがるシニアがいることを知り、それなら、持っていることを自慢できる、所有することに満足感が得られるステッキを作ろうと思いたちました。やはり持っていて嬉しいステッキなら家族と出かけてみたくなると思うのです」。

「いろいろなお客さまに購入していただきましたが、中高年の方が、自分の親であるシニアと一緒に付き添ってステッキをプレゼントとして買いにいらっしゃることもあります。気に入ったステッキを持つことで、外に出かけたくなったと言っていただくと嬉しいですね」。

株式会社GAARU 奥村嘉之さん

GAARUは、写真の奥村嘉之さんと小学校からの幼馴染みである松本悠さんの2人が起業したステッキメーカー/写真撮影:弓削ヒズミ

製作にあたっての工夫、こだわりについて尋ねてみると。

「他のステッキとは違うことを打ち出そうと、丈夫で美しい国産の樫を、日本の職人がひとつひとつ丁寧に加工しています。製作部分からこだわり、お客さまの満足に繋がればと思っています。また、シニアからの声も取り入れています。近隣のデイケアでヒアリングを重ね、その意見も反映させたのがグリップのカバー。材質が”硬いもの”、”冷たいもの”に対してストレスを感じるという声から、グリップに牛革のカバーを装着することにしました」。

株式会社GAARU

シニアからの意見をはじめ、たくさんのアドバイスを聴きながら、プレゼントされたいステッキ、見せびらかしてみたくなるステッキとは何かを探っていったという/写真撮影:弓削ヒズミ

お客さまに、きちんと伝えて、選んでもらうことが大切

現在、千葉県内を中心に販売活動を行っているGAARUでは、地元である船橋・八千代近郊での出張販売サービスをスタートさせました。外出のままならないお客さまのためでもあり、また直接ヒアリングすることで、お客さまに合った製品の提案、使い方を案内できるからとのこと。

株式会社GAARU

地域にこだわるのは、話を聴けて、購入後もケアしやすいという理由から。お客さまとのコミュニケーションを大事にしている/写真提供:株式会社GAARU

「ステッキの使い方がわからない、どこで購入していいのかわからない、そういった方も多いので、検討段階であっても、こちらから説明にあがろうと始めたサービスです。一人ひとりサイズや好みが違いますし、お話を伺うなかで、ボクたちの製品でなくても、その方に合ったステッキをおすすめします」。

一概にステッキといってもさまざま。自分の好み、サイズの合ったものを、じっくり選びたいものです。

株式会社GAARU

敬老の日や誕生日など、記念となる機会に両親に贈る人が多いという/写真提供:株式会社GAARU

いまは身体の能力的に必要がないにしても、それこそ、転ばぬ先の杖。いまからファッションの一部としてステッキを愉しんでみてはいかがでしょう。ステッキに似合うジャケット、帽子、靴、そうしたコーディネイトを考える楽しみだってあるはずです。素敵なシニアでいるために、ファッションからステッキを持ちはじめてみてもいいのではないでしょうか。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2016年11月取材


株式会社Gaaru(ガアル)
千葉県船橋市習志野台5-42-11
TEL : 047-489-1270
Email : mail@gaaru-jp.com
出張販売サービスは、要望があれば千葉県内、東京都まで可能。

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