暮らしを彩る
アナログツール「スケジュール帳」に付加価値を加えた「県民手帳」
デジタル時代になっても手放せないアナログツール。その中の1つがスケジュール帳です。サッと取り出して、ページを開いたり、書き込みができるので、やはり便利なのです。趣向を凝らしたたくさんの種類の手帳が売られていますが、その中で、『県民手帳』は、県民以外の人も、スケジュールの部分以外を目当てに購入するという、少し気になる手帳です。
イメージ
スケジュール手帳は何月はじまり?
いろいろな月からはじまるスケジュール帳が増えています。手帳を選ぶ時に、何月からスタートするかは、重要な選択肢になっているようです。以前は1月はじまりのみでしたが、4月はじまりや、3月、7月、9月、10月など。もしかしたら、すべての月があるかもしれません。
とはいえ、年末に手帳コーナーに人だかりができているのを見ると、やはり、1月に手帳を新しくする人が多いように思うのですが、10月はじまりの手帳の販売スペースも年々拡大されているようです。
4月はじまりは、学校や会社の新シーズンのはじまり。10月はじまりの手帳を使う人を調べてみると、販売業などで、年末年始で継続してスケジュールを立てる必要のある人が、2冊持たなくても良いようにするため、あるいは会社の9月決算の区切りに合わせるという人もいるようです。
イメージ
隠れたベストセラーといわれる“県民手帳”
スケジュール管理を、スマホやパソコンなどで済ませる世代も増えているようですが、打ち合わせの日時を書き留める、記録として残しておきたいことには手帳を使う、という人も少なくないそうです。
ユニークな手帳はないかと調べていると、『県民手帳』という文字が目につきました。さらに調べてみると、47都道府県すべてではありませんが、各県に『県民手帳』があるようです。
早い県では、10月頃に販売をはじめる県民手帳は、各県の統計協会などが国勢調査をもとに、県の詳細データを掲載して、統計調査員に配布するために制作したものだったようです。それを、手帳の内容を見た一般の人たちの要望から、販売するようになったものだとか。
県庁や市役所など関連施設以外には、コンビニエンスストアや書店などで販売しており、通販サイトで見つけることができる県もあります。在庫があれば、送料を添えて送ってもらうこともできて、東京では、渋谷ロフト(東京都渋谷区)などでも扱っているそうです。
41の県が「県民手帳」を作成
イメージ
2017年版の県民手帳を作成している県は41で、作成していない都道府県は以下の6つです。
東京都…なし
北海道…北海道統計協会の解散により、「道民手帳」は、2012年版で終了
京都府…京都府統計協会の解散により、「府民手帳」は、2009年版で終了
大阪府…なし
神奈川県…2011年版で終了
兵庫県…なし
三重県は、一度、販売をやめたそうですが、10年ぶりの2015年版から復活させています。2017年版のカバーは、三重県指定の伝統工芸品「伊勢木綿」で、全4色(1,080円・税込)。4年に一度開催で、今回、三重県で初めての開催となる『第27回全国菓子大博覧会・三重』(お伊勢さん菓子博2017)や、食結び、2016年の伊勢志摩サミットの記録、意外と知られていない豆知識、防災などの情報が載っています。
県の詳細データ以外にも、各県の創意工夫が話題に
県民手帳の価格は、県によって違いますが、500円前後くらいの手頃なものが多いようです。そのためか、全部そろえるというコレクターや、自分の住んでいる県以外の手帳を求める人もいます。
不思議に思いませんか?住んだこともなく、故郷でもなく、転居する予定もないのに購入する人がいて、「隠れたベストセラー」といわれる県民手帳。通販や書店で扱われるほど人気があるのはなぜなのでしょう。
スケジュール帳と、県のデータが別冊になっているものも
基本的な内容は、スケジュールの記載欄の他に、県庁・市役所・町村役場などの所在地や連絡先、団体や機関の一覧、県議会議員や県選出国会議員の連絡先、各種書類の提出先、人口推移・面積、日本一の特産品、県の行事(お祭りやイベントなど)、観光施設、交通図、路線図などがまとめられています。
でも、それ以外にも、各県で様々な工夫があるのです。
観光施設等の割引券付きや、ネーミングのおもしろさ、スマートフォン利用も…
目についたものを数冊、紹介します。
2018年開催!福井しあわせ元気国体・福井しあわせ元気大会 競技会場マップ(『福井県民手帳』)
恐竜で有名な福井県の、福井県民手帳は600円(税込)。表紙に、2018年福井しあわせ元気国体・大会のマスコットユニットリーダー「はぴりゅう(HAPPY-Ryu)」が。
手帳の表紙にマスコットが載っているものもある。写真は、福井県民手帳の『はぴりゅう』
福井県民手帳は、資料編「ジュラチック(juratic)」が別冊になっていて、「わが市わが町『解体親書』」と題した市町ごとの紹介や、「主要観光地の距離と時間」などが載っています。スケジュール欄には2012?2016年の5年分の天気がマークで記載されています。
手帳制作にあたって、アンケート調査(オンライン調査・20歳以上)を行っており、結果も掲載されています。(県民手帳に関するアンケート調査 福井県制作統計・情報課)
観光地や特産品の写真掲載も(写真は『福井県民手帳』)
富山県民手帳は、550円(税込)。巻末掲載の「ジョイフルカード」の提示で県内80以上の提携観光施設の、割引やプレゼント特典を受けることができます。過去10年の天気や、旬の寿司ネタが写真入りで掲載されています。
青森県民手帳は、別冊ふるさと便利帳とセットで500円(税込)。カバーの色は7色あって、青森にちなんだネーミングになっています。「イカスミブラック」「アオイケブルー」「リンゴレッド」「さくらピンク」、青森米の『青天の霹靂』から「青天のヘキレキ」、「ブナの葉グリーン」「ホタテベージュ」。購入者を対象に、第一弾(2016年12月31日消印有効)は青森米、第二弾(2017年2月28日消印有効)はりんごジュースが抽選で当たるキャンペーン付きです。
宮崎県民手帳は600円(税込)。手帳内の「みやざき犬」の対象画像にスマートフォンやタブレットのカメラ機能をかざすと、観光地の空撮動画を見ることができるそうです。また、手帳に掲載されている施設で、手帳を提示すると様々な特典が受けられるそうです
(県民手帳得々パスポート)。
文=水楢直見(編集部)