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あなたの身近にもある「IoT」って、なぁんだ?

IoT(アイオーティー)という言葉を聞いたことはありますか?外出先から帰ると、部屋の中は快適な温度になっていて、料理もお風呂もちょうど良いタイミングでできあがってくる…そんなこともできる夢のようなものなのです。すでに、知らずに利用している人もいるかもしれません。

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モノ+インターネット=「IoT」

Internet of Things(モノのインターネット)の頭文字を取った略語「IoT」。IoTを、ひとことでいえば、インターネットにつながっていない「モノ」を、コンピューターやスマートフォンなどを利用してインターネットにつなぐ仕組みのことです。

コンピューターや情報通信機器、ゲーム機器などを接続しているネットワーク(回線)をインターネットといいます。

皆さんは、今、パソコンあるいは、スマートフォンかタブレット端末で、この画面を見ていますよね?パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの情報通信機器は、インターネットを利用することで、ウェブサイトを見たり、地図の検索、メールの送受信、商品やチケットの購入などを行うことができるのです。

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テレビやDVDレコーダーなどのように、インターネットと接続して使用する家電のことは「インターネット家電」と呼ばれていました。今、そこからさらに進化して、スマートフォンを連動させて使う家電のことを「スマート家電」と呼びます。これもIoTです。

スマート家電と「IoT」

スマートフォンを利用したIoT、スマート家電のいくつかの例をあげてみます。

■設定した時間になると、カーテンレールに付けたボックスが動いて寝室のカーテンが開き、朝の光を室内に入れることで、目覚まし時計の代わりに、自然な目覚めを促します。

■オーブントースターや、レンジ、炊飯器などに、スマートフォンをかざすだけで調理してくれます。

■家電のスイッチの切り忘れを外出先からチェックできます。インターネット回線を使った位置情報などの距離から計測して、ちょうどよいタイミングでスイッチを入れてくれるので、家に帰った頃には、部屋の中は快適な室温に保たれています。

■外出先から、冷蔵庫の中にある食材の確認ができて、賞味期限間近のものも教えてくれるので、無駄な買い物をすることもなく、買い直しに行く手間をはぶくこともできます。

■電動歯ブラシが、歯の磨き方をチェックしながら磨き残しのないように誘導してくれます。

■スマートフォンで設定することで、鍵を変えることなく、一時的に訪問客だけ開錠できるようにすることもできます。

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今の20?30代の人は、プライベートではパソコンを使わず、スマートフォンを利用している人が増えているそうです。それほどスマートフォンは使いやすく充実してきているということなのですが、さらにIoTで便利さが増えそうです。

シニア世代も、スマートフォンを利用する人は少しずつ増えてきているそうです。

昨年、世界的にも話題となったゲーム『ポケモンGO(Pokémon GO)』で、スマホを持ったシニアが夢中になって追いかけている様子がテレビでも流れていました。ゲームと外出(コミュニケーション)が同時にできることや、現実世界の中に空想世界があるという、異種の2つが組み合わさっていることが人気となった理由といわれていますが、IoTも、便利なモノ同士を組み合わせることで一段と便利になるのです。

高齢者の見守りサービスにも「IoT」

医療の観点からも重要視されている、高齢者の見守りサービスにもIoTは活用されています。

富山県氷見市では「一人暮らしの高齢者の見守り支援」を行っています。首から下げることもできる小さなIoT装置(IoTデバイス)が、10分ごとに、民生委員や家族に、周囲の気温や本人(高齢者)の動きを送ることで、異常を早く知ることができます。高齢者からも、持病で倒れて動けなくなってしまったらどうしようと心配せずに、外出できるようになったと好評のようです。

そのような見守りサービスは、企業やNPOなどでも行っています。毎日使用する、電気や電球、ガス、ポット、冷蔵庫、トイレなどの使用状況から、異常があると知らせるサービスです。

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ウェアラブルデバイスで体調管理も

身に付けて使用する、腕時計やリストバンド、メガネのような形の小さなコンピューターのことをウェアラブルデバイス(ウェアラブル端末)といいます。

腕に付けた腕時計型の装置で、温度や湿度などの周囲の環境や、体温、血圧、心拍数などを計測し、熱中症を予防したり、体調の異変を察知することができます。

自分のデータが蓄積されていくので、より詳細に体調管理をすることができるのですが、そのデータを管理責任者のコンピューターなどに送ることで、働く人の体調管理や労働管理に利用することも考えられています。

M2M+IoTで、リアルタイムの情報が届く

人間が介在することなく、機器やセンサー同士で情報のやり取りを行う仕組みをM2M(Machine-to-Machine)といいます。M2Mをインターネットにつなぐことで、迅速にさまざまな情報が手元に届けられるようになります。

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たとえば、センサーで読み取った車の通行量から「道路の渋滞情報」、気温、降水量、風向き、風速、日照時間などのデータからは「気象情報」。農業では、畑の温度、湿度、照度、炭酸ガスの濃度などをセンサーで読み取ることで、不足しているものを自動で供給して管理することもできます。

観光地でも「IoT」

観光地でもIoTは活用されています。

瀬戸内海に浮かぶ香川県の豊島(てしま)は、3年に一度開催される瀬戸内国際芸術祭の会場となっていることもあって、観光で訪れる人も多いそうです。

周囲20kmほどの島ですが、観光スポットが点在しているため、移動はレンタカーやタクシー、乗合バスを利用するしかなかったそうですが、昨年3月から、IoTを活用した電動バイクと電動アシスト自転車のレンタルサービスがはじまっているそうです。

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「モノ」を、さらに便利な「モノ」へと変化させるIoT。家電製品を連動させて、省エネでエコで、最適かつ快適なライフスタイルを送る家、「スマートハウス(スマートホーム)」。データや人、モノなどすべてをインターネットでつなぐIoE(インターネット オブ エブリシング/Internet of Everything)。それが普通になるのも、そう遠くない話かもしれません。

朝起きると、体調や、その日のスケジュールなどから食事の献立や服装などまでが合理的に整えられていく。そうなったら、どれほど便利だろうなと思う反面、どこかに少し窮屈さも感じてしまうような…。

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文=水楢直見(編集部)

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