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将来の遺品整理のため?
3分別で整理整頓をはじめよう

重荷を捨てよ! 世界の賢人たちは、そう説きました。重い荷物を抱えたままでは、天国の門はくぐれませんよ――と教えているのです。 だいいち、そんな荷物を残したままでは、残された家族も迷惑! いまのうちに始めたい整理のポイントは?

将来の遺品整理のため?3分別で整理整頓をはじめよう

イラスト:弓削ヒズミ

自分にとっては宝の山も、他人にとってはゴミの山?

まず、大事なことをひとつ、覚えておきましょう。

自分にとってはどんなに貴重な人生の記録であったとしても、あるいはどんなに愛着のある日用品であったとしても、それは他人の目には、「ただのゴミ」でしかない――ということです。たとえ、家族であっても、それは同じなのです。

そういう身の回りの荷物を整理しないまま旅立ってしまうと、残された家族は、残された膨大な遺品を前に、途方に暮れてしまうことになります。特に、住まいが借家や賃貸物件で、故人がひとり暮らしであった――などという場合、契約内容によっては、死後、住宅明け渡しまでの期間が十分にとれないケースもあります。

遺族は、追悼の想いに浸る間もなく、大慌てで遺品整理に追われることになります。そんなことにならないように、自分の荷物は「捨てるもの」と「残すもの」に分けて整理しておく。それが、後始末にあたる家族への思いやりでもあろうかと思います。

荷物整理をやるとしたら、できるだけ、元気で体力があるうちに取り掛かることをおすすめします。病気や事故で倒れてしまってからでは、整理どころではないからです。できれば、気持ちにも体にも余裕があるうちに、ボチボチ……と取りかかりましょう。

もし、配偶者や子どもたちと一緒に暮らしている人なら、わいわいとコミュニケーションを楽しみながら片づけるのも、いいかもしれません。

問題は、荷物をどんなふうに「分別」するか――です。

将来の遺品整理のため?3分別で整理整頓をはじめよう

撮影:編集部

3分別で「捨てるもの」と「残すもの」を仕分けする

整理の基本は、「必要なもの」「不必要なもの」を分別することから始めます。よくあるのが、3つの仕分け箱を用意して、振り分ける方法です。

その3つとは、次のとおり――。

?必要――これからも生活の中で使うもの。
?保留――しばらく使ってないが、使う可能性のあるもの。
?不要――もう使うことがないし、使えないもの。
 
しかし、この「分別作業」は迷います。

「捨てよう」と決断しても、「もしかしたら使うかも」の迷いが生じて、つい「保留」の箱に入れてしまいそうになります。この記事を書いている記者も迷います。そんなとき、記者は、自分自身に次のように問いかけます。

〈1〉自分の「功績」「業績」などを形として残そうとしてはいないか?⇒家族にはそんなもの残されても迷惑だろうな。⇒よし、捨てよう。

〈2〉この服、シーズンに一度でも袖を通しただろうか?⇒たぶん、この先も着ないだろう。⇒よし、捨てよう。

〈3〉この道具(機器)、1年に一度でも使っただろうか?⇒たぶん、もう使わないな。⇒よし、捨てよう。

迷ったときには、こんな判断を下して、極力、「保留」する荷物を少なくする。

記者は、そうやって、押し入れなどに荷物が溜まるのを防いでいます。よかったら、参考にしてください。

捨てずに「再生する」という選択もあります

処分方法は「捨てる」だけではありません。捨てるのにお金がかかってしまうゴミもあります。自分は「もう要らない」けれど、「まだ使える」と思ったものは、社会に「還元」する――という方法もあります。

日本人が世界に誇る「もったいない精神」。その精神を生かす方法としては、以下のような方法もありますから、覚えておきましょう。

  • リサイクルに回す
  • 生活家電、家具類などの家財道具類には、リサイクル可能なものも多く、状態がよければ、リサイクルショップで買い取ってもらうこともできます。衣類も、最近は、不要な衣類を下取り・回収してくれる大手の衣料ショップが増えていますら、それらを利用してもいいでしょう。また地元のバザーに出品して、地元に貢献するという方法もあります。

  • 寄贈する
  • 書籍や絵画、レコードなどの自慢のコレクションは、学校、図書館、博物館などに寄贈するという方法もあります。貴重な資料として後世に役立つかもしれません。

  • 価値をわかってくれる人に譲渡する
  • 写真や日記、自分で描いた絵画など、捨ててほしくない
    思い出の品は、身内や信頼の置ける人に、「よかったらもらってくれない?」と、お願いしておくのもひとつの方法です。ただし、これは、ほんとうにその価値をわかって「欲しい」という意思を示してくれた人に対してのみ。そうでないと、ただの「迷惑」と思われてしまいます。エンディングノートに書き残してもいいのですが、できれば生前に、直接、お願いしておきたいものです。


    編集部・シゲP記者
    70代のじいちゃん記者。長年、編集者として数々の書籍やムックの出版に携わり、いまは執筆者として多くの作品を発表。いまだ現役としてアクティブに活躍している。

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