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放っておくと大変なことになる!?今すぐ対策すべき「空き家の活用法」いろいろ

近年、少子高齢化などにより増え続ける空き家。その数は総務省の平成30年住宅・土地統計調査の結果、848万戸以上に上ります。その「空き家」、面倒だからといってそのままにしてありませんか?今回は空き家を放置しておくと発生するリスクと空き家の活用法についてご紹介いたします。

※空き家とは、「1年以上住んでいない、または使われていない家」 のことをいいます。

【目次】
・放置するとどうなる?
・空き家の活用法
  -①そのまま 売る
  -②リフォームして売る
  -③更地にして売る
  -④ 空き家バンクに登録する
  -⑤ 自治体に寄付をする
  -⑥ 家を貸す
  -⑦更地にして活用する
  -⑧ 住みながら売る
  -⑨管理を委託して、維持する
  -⑩どうしていいか分からない
・まとめ


放置するとどうなる?

人によっては思い入れのある自宅を手放したくない、空き家が現在住んでいる家から遠いので処分などの手続きが面倒、といった理由で空き家をそのままにしている方もいるかもしれません。
しかし空き家を放置しておくと、以下のようなリスクがあります。

  • 家屋の倒壊
  • ごみの不法投棄
  • 不審火や放火
  • 劣化・老朽化による資産価値の減少
  • 悪臭・害虫やカビの発生
  • 「特定空家」に指定され、 固定資産税が高くなる

【下記は今後予定されている法案】

  • 相続登記の義務化により、 相続登記申請をしなければ10万円以下の過料が科される (2024年4月1日以降)
  • 行政が指導・勧告し、税の優遇措置を解除できるように 新たな法案 「管理不全空き家」に指定される

空き家を放置したままにすると、維持費や建物の劣化の問題だけでなく、近所にも迷惑をかけてしまったり、災害を引き起こす可能性もあります。そうなる前に、一刻も早く対処する必要があります。

ではどういった空き家の活用法があるのでしょうか。まずは以下の簡単フローチャートであなたに適した活用法を見てみましょう。

① そのまま 売る

空き家を売るには不動産屋に仲介してもらう「売却」、不動産屋に直接買い取ってもらう「買取」という2種類の方法があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、希望の条件や物件の状況に合わせて選ぶといいでしょう。

1.「売却」する

「売却」は、 不動産会社を仲介業者として利用し、売主が個人の買主に不動産を売る方法です。
買主を見つけるために、ネットやチラシなど様々な方法で広告活動や営業活動を行います。そのため、 買取に比べて高く売れる場合が多いです。しかし、物件が売れるまでに通常1カ月半~3カ月程度かかることが多く、すぐに現金化をしたい方には向いていません。
また売却の場合は仲介手数料がかかります。400万以上の物件には3%+6万円+
消費税の手数料が必要ですので、仮に物件が2,000万円だとすると、仲介手数料は72万かかることになります。

売却(仲介)のメリット

  • 高額で売却できる可能性が高い

売却(仲介)のデメリット

  • 売却までに時間がかかる
  • 難ありの物件だと売れずらい
  • 契約不適合責任が発生する
  • 物件を売却することを近所の人などに知られてしまう

2.「買取」で売る

「買取」は不動産屋などの買取業者が直接買い取る方法をいいます。
買取の大きなメリットは、買手を探す必要がないので、物件が早く売れて現金化するまでに時間がかからないことです。また、解体やリフォームを自ら行える
買取業者が多いため、事故物件や再建築不可物件などの問題がある物件でも買取してもらいやすいのが特徴です。
また、近所の人に売却したことを知られないといったメリットもあります 。

買取のデメリットは、市場価格に比べて物件価格が安くなってしまうことです。一般的に60~80%の価格になることが多いです。その理由としては買取専門業者が再販をするので、不動産の修繕やリフォーム費用がかかるためです。

買取のメリット

  • 短期間に売却できる
  • 費用、手間をかけずに売却できる(基本的に仲介手数料がかからない)
  • 難がある空き家でも買い取ってもらいやすい
  • 契約不適合責任による売主の責任を軽減できる
  • 近所の人に売却したことを知られない

買取のデメリット

  • 売却価格が低くなる傾向がある

【売却(仲介)と買取の比較】
  売却(仲介) 買取
買手 主に個人 不動産会社
売却期間 長い 短い
手間 かかる かからない
価格 市場価格 安くなる
難あり物件 売りづらい 売りやすい
契約不適合責任 売主側に有り 売主側に無い

②リフォームして売る

汚い物件よりも綺麗な物件の方が高く売れるのは確かです。しかし、問題はそのリフォーム費用です。せっかく高いお金をかけてリフォームをしても売却価格が見合わなければ意味がありません。
ですので、リフォームをする前に「現状いくらで売れるか?」相場を知ることが大切です。リフォームをすべきかそのままで売る方がいいかは、不動産屋に相談してみるといいでしょう。

③更地にして売る

古い物件の場合、更地にした方が売れやすい、と思うかもしれません。しかし、更地にするにも当然費用がかかります。その土地がその費用よりも高く売れる保証はありません。また自身で解体を依頼するよりも、解体を得意とした不動産屋にまるごと売却した方が得をする場合もあります。リフォーム同様に、手を加える前に不動産屋に相談した方がいいでしょう。

④ 空き家バンクに登録する

「空き家バンク」は、自治体が運営する空き家を売却(貸したい)人と買いたい(借りたい)人を結び付けるサービスです。
買手を見つける一つの間口となり得ますが、空き家バンクはただ物件情報を載せるだけで不動産屋のように営業活動をしてくれるわけではありませんので、物件が売れなくてもサポートはしてもらえません。また個人間のやりとりになりますのでトラブルが起きやすいので注意が必要です。

⑤ 自治体に寄付をする

売却が難しい物件なので自治体に寄付しようと考える方もいるかもしれません。しかし、実際のところ受け付けてもらえないのがほとんどです。

⑥ 家を貸す

長年住んでいた実家なので愛着があって手放したくないという人は、賃貸するという方法もあります。
賃貸の最大のメリットは、毎月家賃収入を得られるということです。
しかし、人に借りてもらえる状態にするにはリフォームが必要な場合もありますし、建物は時間とともに古くなりますので、修繕なども必要になってきます。また、必ずしも借り手がつくとは限りません。高いリフォーム費用をかけたのに借り手がつかないために、家賃を随分下げることになった、なんてこともあり得ます。そうならないためにも家賃相場を調べるなどして、しっかりと計画してから賃貸経営を始めましょう。

賃貸のメリット

  • 不動産を手放さなくていい
  • 家賃収入が得られる
  • 自分で住むこともできる

賃貸のデメリット

  • 借り手がつかない可能性がある
  • リフォーム費用・管理費用がかかる

⑦更地にして活用する

建物がひどく老朽化していて、賃貸には難しいので更地にして別の利用をしたい方もいるでしょう。
メリットとしては、建物を修繕したり管理する必要がないので、手間や費用が軽減されます。駐車場やトランクルーム、太陽光発電といった様々な活用法があることもメリットの一つです。

しかし、更地にするには解体費用がかかりますし、土地を活用して何かを設置するとなると当然その費用もかかります。また建物に比べて固定資産税が6倍になります。
更地で活用を考える際には、設備投資の費用と見込める収支のバランスをよく考えて、プラスになるかどうかを確認してから進めましょう。

更地にするメリット

  • 活用方法が増える
  • 建物の維持管理費が不要

更地にするデメリット

  • 固定資産税が6倍になる
  • 解体費用がかかる

⑧ 住みながら売る

自宅に住み続けながら、その物件を売却する「リースバック」 「リバースモーゲージ」 「すみつぎ」といったサービスもあります。

1. リースバック

リースバックサービスを行っている会社が自宅を買い取り、売却後はリース契約をして、そのまま家賃を支払いながら住み続けるサービスです。将来物件を取り戻すことも可能です。

2. リバースモーゲージ

自宅を担保にして、そのまま住み続けながら銀行から融資を受けられる仕組みのローン制度です。

3. すみつぎ

個人向けに不動産を売却をしますが、売却後は毎月月額払いの売買代金を受け取りながら、そのまま住み続けることが出来ます。毎月現金収入があるのが最大のメリットです。
「すみつぎ」のサービスは過去記事『自宅に住み続けながら自宅を売却できる新しい不動産サービス「すみつぎ」』で詳しく説明しています。

「リースバック」
「リバースモーゲージ」 「すみつぎ」 サービス比較

⑨管理を委託して、維持する

空き家管理会社に、毎月お金を支払って管理を委託することも出来ます。しかし空き家をそのままにしておいてもリスクはあってもメリットはありませんので、
近い将来空き家の活用法が決まっている方が一時的に利用する分にはいいと思いますが、 そうでない場合は早めに空き家を売却もしくは活用した方がいいでしょう。

⑩どうしていいか分からない

具体的な活用法のイメージがなくどうしていいか分からない、といった方は、地元の不動産屋や、自治体の相談窓口、 NPO法人 空家・空地管理センター などの相談窓口に相談してみるといいでしょう。

大事に至る前に対処を/イメージ:ACフォト

まとめ

1.リフォーム・解体はよく考えてから

リフォームや解体は高額な費用がかかりますので、売却や賃貸にした場合に費用が回収できるか、マイナスにならないか等、工事費用や空き家を売却価格・賃貸にした場合の家賃相場などを専門科に相談しながら、慎重にすすめましょう。

2.不動産屋は納得できるまで回る

不動産屋の中には、相場がよく分かっていない会社や、見積もり段階では実際の売却価格よりも高めに言ってくる会社もあります。多額のお金が動くわけですので、少し面倒でも納得できるまで数軒回った方がいいでしょう。メリットばかりでなく、デメリットもきちんと伝えてくれるかどうかというのも不動産屋選びの重要なポイントです。

3.一括査定サイトを利用する際の注意点 !

売却価格を一括で複数社に査定できるサイトもあります。一見便利にも見えますが、サイトによっては、無料査定をした後に、しつこく営業の電話がかかってくることもありますので、注意しましょう。 悪質なサイトの場合、 悪い情報が出てくることが多いですので、そのサイトを事前にネットで調べるといいでしょう。

4.空き家の処分は早めに、且つ慎重に!

冒頭でも述べましたが、空き家を放置していても価値は下がり続け、リスクは高まるばかりなので、早めに売却や賃貸など活用方法を考えましょう。とはいえ、できるだけ損はしたくないもの。不動産屋など専門家に相談しながら慎重に進めましょう。

下へ続く
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