社会の知識を学ぶ

冠婚葬祭の【葬】①
救急車を呼ぶ前に。そして、呼んでから…

帰ってきたら、夫が床に倒れていた。あわてて駆け寄リ、名前を呼んだけれど返事がない…もしかして…。

救急車を呼ぶ前に

119番は固定電話から、かけたほうがいい

「今日の夕食はなににする?」

「なんでもいいよ」

そんな会話をかわして近所へ買い物に出たのに、帰ってきたら、夫が床に倒れていて動かない。いったい、なにが起こったの? 頭のなかは真っ白…。
 
「落ち着け。落ち着け」と自分に言い聞かせながら、ようやく浮かんできたのが、

「救急車に電話!」

こういう状況に直面したとき、おそらくほとんどの人は救急車を呼ぶか、近所の人に助けを求めようとします。考えつくのは、それくらいのことでしょう。あわてて携帯電話を手に取る人も多いかと思いますが、実は、これ、あまり適切な方法ではないのだそうです。

携帯電話の場合は、電波を拾ったアンテナの基地局の、都道府県を代表する消防本部に一度つながり、住所を確認したうえで管轄地域に転送されることもあるからです。つまり、時間をロスしてしまうわけです。

固定電話や公衆電話の場合は、その電話の設置場所の地域を管轄する消防本部の通信司令部に直接つながります。電話がつながったら、救急隊員が質問をしますので落ち着いて答えてください。

119番に電話して伝える内容は?

聞かれるのは、以下のような内容です。

1 火事ですか?救急ですか?
→「救急です」と答えます。

2 住所は?
→ 建物の場合は、ビル名や階数なども正確に。近くに目印になるようなものがあれば、伝えてください。頼むことができる人がいる場合は、目印の場所に立って、救急車を誘導してもらってください。

3 患者の年齢や性別などは?

4 患者の状態は?
→簡潔に答えてください。

5 電話番号は? 連絡可能な電話番号は?
→応急処置や場所確認のために、移動中の救急車から電話がかかってくることもあります。携帯電話の番号でも大丈夫ですが、通報している電話と違う場合は、そのことを伝えてください。近所の電話を借りているときには、それも伝えてください。あなたはたぶん、倒れた人につきっきりかもしれませんから、「救急車から電話がかかってきたら、すみませんが…」と、受けていただけるようにお願いしておきましょう。

6 電話をしている人(通報者)の名前は?
→あなたの名前を伝えてください。

救急隊員の確認内容

到着した救急隊員は、死亡が疑われる場合には、まず、患者に次の6点を確認します。

1 痛み刺激への反応があるか? 
2 呼吸をしているか?
3 脈拍があるか?
4 体温低下が見られるか?
5 瞳孔が拡大しているか?
6 死後硬直が見られるか?

上記6項目に加えて、必要があれば血圧計や心電図なども使用します。

死亡と判断されたら…

蘇生する可能性がないと判断した場合には、救急車で搬送はしてくれません。警察に引き継ぐために連絡をします。

エッ、警察官がやって来るの?

私、疑われているの……!? 

とパニックになる人も、もしかしたらいるかもしれません。

やってきた警察官は、通報者や家族などに「事情聴取」を行います。犯罪性の有無を調べるのが目的なので、不愉快なことを聞かれることもあります。もちろん、倒れている人も、「動かしていいですよ」と言われるまで動かせません。

警察官から尋ねられる内容は?

倒れている人に関して、おおよそ次のようなことを聞かれます。

1 発見したときの様子
2 病歴や、うつ症状などの有無
3 学歴や職歴
4 資産状況
5 通帳の保管場所
6 生命保険の金額や受取人

どこにも事件性が無いことを確認できるまで、こういうことを繰り返し、尋ねられます。ときには、ご近所まで聴き取りに行くこともあるそうです。遺族となってしまったばかりの家族の精神的な負担は相当大きくなります。

「かかりつけ医」「主治医」を見つけておこう

このような事態を避けるためには、日頃から、かかりつけ医や主治医を確保しておくのも、ひとつの方法です。その条件は、「自宅へ来てくれること」。もしもの場合には、「死亡診断書」も書いてくれる医師であることです。往診した医師は、遺体に異常を認めない限り、警察を呼ぶことはありません。

ちなみに、かかりつけ医と主治医は、同じような意味で使われることが多いのですが、厳密には違います。「かかりつけ医」とは、本人の病歴や健康状態などを把握していて、日常的な不調なども診てもらう医師(病院)のこと。

「主治医」とは、自分の特定の病気について治療方針を決める医師のことを指します。

いつも通っている病院がある人は、担当医に、往診が可能かどうかと、死亡診断書を書いてくれるかどうかを確認しておきましょう。そして、自分の「かかりつけ医」や「主治医」は家族にも伝えておきましょう。

(文 編集部:水楢直見)


≪参考≫
医師や歯科医は、診察に立ち会った場合、正当な事由がなければ、求められた死亡診断書の交付を拒んではならないことになっています。〔医師法 第19条2項:平成26年6月13日法律第69号〕

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