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夢は東京五輪の舞台でダンス!
シニアチアで世界に元気を

キレのあるダンス、揺れるポンポン、館内に響く明るい掛け声、ミニスカートの衣装をまとった彼女たちは平均年齢60歳のシニアたち。ひそかに盛り上がりをみせているという「シニアチア」とは、どんなものなのでしょうか。

Team JSCA

Team JSCA(チーム ジェスカ)の皆さん/撮影:弓削ヒズミ

激しいダンスと、元気な掛け声が響くレッスン場

アメリカンフットボールやバスケットボールなどの試合やハーフタイムショーを華やかに飾るチアリーディング。そのチアリーディングから派生したスポーツが「チアダンス」です。日本でも競技スポーツとして浸透し、子どもから大人まで幅広い愛好者がいます。そのなかで50歳以上のメンバーで編成されたチームが「シニアチア」と呼ばれます。

激しいダンスと元気な掛け声、シニア世代がやるには、かなりハードな競技のようにみえます。競技者は、古くからの経験者なのか、はたまた超人的な体力を有したスーパーシニアなのか? 実際に競技を行っている方の声をお聴きするため、日本シニアチア協会オフィシャルユニット「Team JSCA(チーム ジェスカ)」のレッスン場を訪ねてきました。

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Team JSCA(チーム ジェスカ)の練習風景。テンポの速い音楽に合わせ、いくつもフォーメーションが変化し、真っ白なポンポンが揺れる/撮影:弓削ヒズミ

チームメイトの存在が人生を楽しくしてくれる

Team JSCAの木村のぞみさんは、1943(昭和18)年生まれ、73歳、チーム内の最年長メンバーです。シニアチアと出会ったのは、10年ほど前に観に行ったチアダンス競技会。ゲストとして踊っていたシニアチームを見たときは驚いたそうです。「チアダンスは若い人たちだけだと思っていたので、自分と同年代が目の前で踊っている姿に驚きました。しかも、みんな楽しそうで、シニアには見えませんでした」。

この出会いがきっかけでTeam JSCAへ。これまで、エアロビクスやジャズダンスといった運動はやっていたものの、初めてのチアダンスに戸惑ったといいます。「競技を観ていたので、ダンスの激しさは承知していたのですが、チアダンスは団体競技なので、他の人たちと合わせることが大変でした。いまは、メンバーの言うこと、先生の言うことを聞いて、お互い、そこはダメだよとか注意しあって、自分だけの意思を通さない、その辺に気をつけています」。

シニアチアで仲間ができたことが何よりも嬉しいと語る木村さん。練習後には仲間たちとお茶に行き、練習日以外でも一緒の食事に行くこともあるそうです。シニアチアは木村さんにとって特別な「場」となっています。「とにかくシニアチアをはじめてから毎日が楽しいです(笑) いつでも前を向いて、楽しいことを考えています。嫌なことがあっても、ここが楽しいから、嫌なことも気になりません」。

「いま73歳ですが、シニアなんて、すぐ来ます。いまから仲間を絶対作ったほうがいいですよ。いろいろ考えるより、勇気をもって飛び込みましょう。入ってしまえば、結構楽しかったりするので、最初の勇気さえ踏み出せれば、何とでもなります。家にこもってしまうと、ドンドンと歳をとっていくし、何もできなくなっちゃうから、外に向かって出て行けばいいと思います」。

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歳を重ねることに抵抗感はなく、むしろ、その歳ごとを楽しんでいるというチーム最年長の木村のぞみさん/撮影:弓削ヒズミ

自分はシニアチアをやるために生まれてきたんじゃないかな

もう一人は、Team JSCAのチームリーダー・根本博美さん、1956(昭和31)年生まれ、60歳。高校時代にチアダンスをやっていた娘さんの影響で、以前からチア観戦を楽しまれていました。JSCAのパフォーマンスを目にした時、ひょっとしたら自分でも…、なんて思われたのだとか。「踊ること、身体を動かすことが大好きで、たまらず入会手続きをしてました」。

55歳からチームに入部した根本さんは、とにかくシニアチアが楽しくて仕方がないといいます。「自分はシニアチアをやるために生まれてきたんじゃないかなというぐらいに、のめり込んでます。まだ60歳なんですけど、まだまだ頑張れる力が残ってます。入部当時よりも、いまのほうが若くてパワフルかも(笑) ストレッチや筋トレで、身体も若くなってるんじゃないかと思いますし、先生の教えだったり、きちんとした笑顔や姿勢などを教えていただいて、それらが活かされているんじゃないかと思います」。

チームリーダーとしてのご苦労をお聴きしたところ、こんな答えが。「私はチームを引っ張るというよりも、みんなを和ませようとする『お笑いタイプ』のリーダーです。競技会前の緊張した雰囲気や、めげそうな時に、みんなも楽しくやらなきゃって想いで、盛り上げ役に。むしろリーダーをやっていてもみんなに助けてもらってます(笑)」。

チアをやっていた娘さんをはじめ、家族の皆さんが根本さんのことを応援しています。家での会話もチアに関する話題が多くなり、家族からも、いい刺激をもらっているとのこと。シニアチアを通して充実した暮らしを送られている根本さんには、目標があるそうです。

「私たちの目標ですが、2020年東京五輪で、パフォーマンスをしたいんですよ。とても大きな目標なんですけど、世界中の方に日本のシニアは、60、70でもこんなに元気なんだという姿を見てもらえたら嬉しいです。夢は大きく、目標は東京五輪です!」。

Team JSCA

入部当初、自分よりも年下だと思っていたメンバーが上だったので驚いたという根本博美さん。いまは、とにかく楽しくて、辞められないと笑う/撮影:弓削ヒズミ

自分でできることよりも2〜3歩先のことにチャレンジ

今回、取材させていただいた日本シニアチア協会は、シニアチアの普及を目的に2007年に設立された組織団体。シニアのスポーツ競技としては歴史が浅いだけに、競技全体のボトムアップを図るために組織化し、競技者の安全、指導方法の確立を目指しています。2016年10月現在、約180人の競技者が協会に登録し、いくつかのチームに分かれ、全国各地で活動を行っています。

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Team JSCA(チーム ジェスカ)の練習風景。チアダンスの基本どおり、常に笑顔を絶やさず演技する皆さんからは、本当に「楽しい」という気持ちが伝わってくる/撮影:弓削ヒズミ

1996年からシニアチアの指導を行ってきた同協会の代表理事・渡邉映衣子さんに、指導において留意されていることをお聴きすると、第一声は「結構きびしくやっちゃってます(笑)」と。「自分でできることよりも2〜3歩先のことにチャレンジしてもらっています。シニアでも、やれば新しいことを覚えられるし、できるようになっていくんですよね。2〜3歩先というのが、みなさんの意気込みがうまれるようで、それは無理と思われてしまっては、先すぎるのかもしれません。基本的にチアを始めようという方は、ポジティブな人が多く、食らいついて、頑張ってくれるので、年々、上達しています」。

競技者にとって、チームプレイというのが、各自のモチベーションを高める要素にもなっているようです。「チームの中の誰かができても、誰かはできない、そうなるとチームプレイはできません。なので、チームみんなでいいものをつくろうとする意識が現れやすく、各自がチームのためにも頑張ります。そうするうちに自然とチーム全体が盛り上がっていきますね」。

シニアチアに必要な、「①振付を頭で覚える。②振付を体を使って踊る。③チームメンバーでコミュニケーション」の3点セットが、健康年齢を高める効果にぴったりだとも、渡邉さんはおっしゃいます。

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「メンバーは初めて会ったときよりも、いまが一番若いという人が多いかも」と語る渡邉映衣子代表理事/撮影:弓削ヒズミ

最後に、渡邉さんにシニアチアの魅力についてお聴きしました。

「私には『未知』なところが魅力かな(笑) 未知の可能性があって、そこが楽しいです。まだまだ広めていきたいし、伝えていきたい。毎回、振付も曲によって変えて、いろんなことにチャレンジしてもらっていますが、そのチャレンジしている姿を見ていただきたいです。年に一度、『シニアチアフェスタ』というステージを開催して、各地からチームに集まってもらっています。ぜひ、そうした発表の場を見て欲しいです」。

夢は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの応援団だというシニアチアの皆さん。もし、実現したら、元気に踊るシニアチームの姿を通して、世界に高齢化先進国「日本」をアピールできるのではないでしょうか。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2016年10月取材


日本シニアチア協会
2016年12月11日(日)、横浜・関内ホール(大ホール)にて、日本シニアチア協会主催「シニアチアフェスタ2016」が開催されます。詳しくは上記の協会サイトへ。

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