健康な体づくり

《コラム》ダボハゼ見聞記 第17回『マスターズ挑戦』

七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマー、ダボハゼのぺぺさんが、好奇心の赴くまま、自ら見て、聞いて、体験したことを、シニア世代の本音として、また団塊世代の視点で綴る不定期連載コラムです。今回のテーマは、『マスターズ挑戦』。


夢よもう一度

コロナ前だが、地元のスポーツジムに週3回ほど通い、足腰を鍛えていた。そんなある日、テレビで105歳の老人?が100mを走り、見事完走し、ギネス記録を更新したのを見て、オイラも触発され、100mに挑戦したくなった。

オイラは、小学校時代は、リレーの選手としてクラス代表として選ばれ、足は短いがピッチ走法で足が早かった。中学1年の時の100m記録会で13秒フラットの記録を出したが、その後は足の長さに負け、いつしか競争には無縁となった。夢よもう一度ということで、東京マスターズ陸上競技連盟に早速登録した。マスターズは、本人の実績は関係なく、会費を払いさえすれば誰でも参加できる。5歳刻みに仕分けされており、まず、オイラは65歳から69歳のクラスにエントリーした。その時の競技場は、八王子市上柚木公園陸上競技場。家から遠い。2時間ほどかかった。受付を済ませ、ロッカー室で着替えていると、オイラは、普通の運動靴だが、周りはみんな短距離用のスパイクを用意している。ヤバイ!みんな本格的だ。ちょっと気後れしたが、まあ、今日は完走が目的だからと、自分に言い聞かせて、スタート位置に着いた。スタート地点から見るゴールは遥か昔の風景を思い起こさせ、懐かしさと同時に不安と恐怖が頭を過ぎった。果たして、ゴールまでたどり着けるだろうか?途中で心臓麻痺起こしたらどうしよう?そこまでじゃなくても、アキレス腱断裂や肉離れを起こしたらどうしよう?なんていろいろなことが思い浮かんだが、そんなことはお構いなく、非情にも号砲が鳴った。一斉に走者飛び出したかに見えたが、すぐに、オイラはおいてけぼり。中学生の時は、100mなんて、アッという間だったが、なんと遠いことか!いくら足をフル回転させても、一向に前に進まない。ようやくゴールにたどり着いた時は、他の走者は、もうお茶を飲んでいた(笑)。

でも、とりあえず、何事もなくゴールまでたどり着いたらから吉としよう。記録は、17秒68だった。

イメージ:江戸川区陸上競技場

記録への挑戦

オイラも、本格的に取り組むため、神田のスポーツ店で短距離用スパイクを買い求めた。なんとなくこのスパイクを履けば早く走れる気がするから不思議だ。次の年、2018年も100m競争に挑戦した。年齢がひとつ上がり、クラスは70歳から75歳のクラスとなり、これならば、オイラこのクラスで一番若いから上位に食い込めると思った。人生そんな甘いもんではない。相変わらずのどんじり(^_^;)。しかも、記録は17秒71と、去年より落ちているではないか!

スパイクの効果もない。トホホ・・・。どうしたら、もっと早く走れるのか?上位に行かなくても、少なくとも前年より記録を下回らないようにするには、どうしたらいいのか?いろいろ考えたが、ふと思いついた。体重を軽くすればいいかも?浅はかな考えを基に、体重を2kgほど落として次の年も挑んだ。

あらら、不思議。その年の記録は、17秒43!前年より少しだが早くなった!これは、減量の効果か?スポーツジム通いの効果か?いずれにしろ、前年より早くなったことは確かだ。が、相変わらずのどんじりは続く。しかし、オイラより年上の人が13秒台で走るのだから、恐れ入る。こういう方は、若い頃から鍛えていたのだろう。オイラみたいに、中学以来何十年振りに走るのとは訳が違う。

イメージ/イラストAC

砲丸投げに挑戦

しかし、なんとか上位に入り賞をもらいたいものだ。やはり競争なので勝ちたいという欲求がある。そこで考えたのが、100mではなく、砲丸投げにエントリーしようと思った。砲丸投げも中学で投げたきりで、初心者同様だが、100mよりはなんとなく見ていて簡単そうで疲れないと思った。ところが意外と難しい。シニアは、女子と同じの重さ4kgの砲丸を投げるのだが、見た目は小さいので簡単に飛ぶかと思ったら、全然飛ばない。ネットなどで投げ方を勉強したが、うまくいかない。そこで、通っているジムのインストラクターのお兄ちゃんに教えを請うた。なんでも学生時代に砲丸投げをやっていたそうなので都合が良かった。彼に投げ方と筋肉の鍛え方を教えてもらった。ダンベルを使い、右腕の筋肉を鍛えた。ところがある日、負荷の重いダンベルを無理してやったところ、右腕筋肉を痛めてしまった。1週間後には大会が控えていた。

2020年100mの記録は、18秒07だった。ついに18秒台まで落ちてしまった。2017年17秒68、2018年17秒71、2019年17秒43、2020年18秒07。オイラの100mの経年記録。相変わらずのどんじり!

その後、コロナの世界的流行により、ジムを辞め、うちに引きこもり状態となってしまった。最初の意気込みはどこへ行ったのやら?100歳までマスターズにエントリーし、ギネス記録を更新したいと思っていたが(笑)。いやまだ意気込みは消えていない。コロナが収束したら、また挑戦したいと思う。名前をドン・キホーテに変更しようかな?

イメージ:江戸川区陸上競技場

文・撮影= ダボハゼのペペ

■ Profile ■
ダボハゼのペペ(だぼはぜのぺぺ)
東京都江戸川区の小岩生まれ。年齢不詳。クラウン、日本シャンソン協会正会員、元・笑い療法士など、七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマーとして、福祉施設や老人ホームなどでボランティア活動を行う。シャンソン歌手としてライブにも出演。2010年より「カーボンオフセット・コンサート・アソシエーション」を立ち上げ、地球温暖化防止推進団体へ寄付するためのコンサートを主催する。
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