趣味や愉しみ

《コラム》ダボハゼ見聞記 第18回『京都紅しだれ桜を求めて』

七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマー、ダボハゼのぺぺさんが、好奇心の赴くまま、自ら見て、聞いて、体験したことを、シニア世代の本音として、また団塊世代の視点で綴る不定期連載コラムです。今回のテーマは、『京都紅しだれ桜を求めて』。

桜が咲き始めると、胸騒ぎを起こすのは日本人の特性の一つかもしれない。京都の春には魔物が住むという。一度それを見たものは、その魅力に取り憑かれてしまうのだろう。オイラが好きなのは、紅しだれ桜だ。ソメイヨシノより少しピンクがかったナヨとした風情がいいのだ。その姿をいくつも目にするには、1週間以上必要だし、郊外まで足を伸ばすには、車が必要だ。ということで京都紅しだれ桜を求めて、車中泊の旅に出た。

不二桜

朝7時に出発し、東名を飛ばし途中3回ほど休んで、夕方5時に京都に着いた。最初に向かったのは、東寺。ここには有名な不二桜という紅しだれ桜がある。ライトアップされた不二桜は、幽玄な姿を観せてくれた。
今回、一人旅は寂しいので、美女を同行させた 。
今夜は、疲れたので、車中泊ではなく、祇園に近いカプセルホテルに泊まった。

東寺の不二桜

同行美女

2日目は、高台寺、八坂神社、清水寺、平安神宮を巡った。やはり、朝のうちに訪れると空いていてその場の雰囲気に浸れる。どこもソメイヨシノは満開。お目当ての紅しだれ桜は、場所によって満開のところもあれば、五分咲きのところもある。ランチは、清水寺に近い京料理屋で食べた。それぞれ丁寧な味付けを感じられ、美味しく頂いた。田楽を少し残したお天気が宜しく、京女?江戸女?同行の美女も京都の春を楽しんでいる。いつも同じポーズだが(笑)。今夜の車中泊できる場所は、スーパー銭湯の駐車場に決めた。

同行美女

百花繚乱

3日目は、哲学の道、妙心寺退蔵院、竜安寺、原谷苑を訪れた。哲学の道の水路には、花びらが絨毯のように敷き詰められ綺麗だった。ここの水路沿いの桜は、日本画家の橋本関雪が植えたそうで、記念館があったので見学した。庭に大きな石舞台が。ここで裕次郎と宇野重吉が清酒松竹梅のCMを撮ったそうだ。竜安寺の石庭の塀越しに紅しだれ桜が・・・・。
ちょっと不便なところにある原谷苑は、全山花で覆われ、百花繚乱とはまさにこのことかと思った。今夜もスーパー銭湯の駐車場泊。

原谷苑の桜

舞妓

4日目は、天龍寺、嵐電、トロッコ列車、京都府立植物園、半木(なからぎ)の道、上賀茂神社を廻った。
夜は、観光バスに乗り、舞妓ツアー。ちょっと期待はずれだった。この時期にはしょうがないかもしれないが、舞妓さんがマスクをして踊るのじゃ、興醒めもいいとこ。記念写真のツーショットもソーシャルディスタンスを取らなきゃダメということで、オイオイ、何のためのツアーだよ?
さて、今夜の車中泊の場所は、温泉が併設されている道の駅の駐車場だ。

アクシデント

桜は十分観たので、釣りをしたくて舞鶴に向かった。白杉という場所で、釣り糸を垂れた。しかし、風が強く寒いので、早々に辞めた。
旅というのは、予測できないアクシデントがある。これもその一つ。
京都駅ポルタ内のカフェで、IPad mini4で記事をアップ作業中、オイラの隣席右斜向かいに小奇麗なオバハンが座り、メモを取りながら、スマホで電話している。それも大きな声で。一応小さな飛沫防止ボードがあるが、最初の電話が終わるとまた次電話する。どうやら、セールスレディ?マダム?のようで、マスクもせずに仕事の話をしまくる。気になってしょうがない。オイラこのオバハンに一言注意すればいいのに、生来気が弱いオイラ、それもできず、この人から離れようと、お盆の上にアイスティを載せたまま、立ち上がろうとした、その時、グラスがお盆から滑り落ち床に派手な音を立てて、ガッチャーン!!

あらら!見事にグラスが粉々に割れた。それだけなら許す。ところが、グラスの中から飛び出たアイスティがこともあろうにオイラのIPadにぶっかかった!下品な言葉悪しからず。それもキーボードの上に!以来、キーボードは奇天烈な言葉しか発しないこととなった。
まあ、自分が悪いのはしょうがないが、舞鶴のカフェの壁に、海軍大将東郷平八郎の言葉が貼ってあった。“生きていく上で、苦しいこと、辛いこと、悲しいこと、怒りたいこと云々、沢山あるだろう。そこをぐっと我慢するのが男というものだ”(>_<)

ということで、その後あっちこっちウロウロしながら8泊9日の旅を終え、帰ることとした。


文・撮影= ダボハゼのペペ

■ Profile ■
ダボハゼのペペ(だぼはぜのぺぺ)
東京都江戸川区の小岩生まれ。年齢不詳。クラウン、日本シャンソン協会正会員、元・笑い療法士など、七つの顔をもつヴォーカル・パフォーマーとして、福祉施設や老人ホームなどでボランティア活動を行う。シャンソン歌手としてライブにも出演。2010年より「カーボンオフセット・コンサート・アソシエーション」を立ち上げ、地球温暖化防止推進団体へ寄付するためのコンサートを主催する。
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