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シニアから始める趣味の写真 ~カメラ選び編~
定年後の趣味のひとつとして、日々の散歩のお供として、孫の成長の記録用に……などなど、シニアから写真を始める人も多いと思います。スマホで簡単にきれいに写真が撮れる現代ですが、ここではあえてカメラでの写真撮影にこだわり、撮影用途に合わせたカメラ選びから、失敗しない撮影方法までをご説明していこうと思います。
まずはシニアに適したカメラ選びから。
さまざまなメーカーから毎日のように新発売されるカメラの世界。その種類も多くどれを選択するべきか、正直悩んでしまいますよね。この項ではシニアという世代に適したカメラとは何か?という視点から、最適なカメラ選びにつながるアドバイスをしていきたいと思います。
どんなカメラがあるのか、確かめてみよう。
ここでは、現在発売されているカメラの種類について、ご説明していきます。
【デジタル一眼レフ】
カメラと言えばまずはこのデジタル一眼レフでしょうか。レンズは交換式でボディ上部に光学式のファインダーを備えます。レンズを交換することで広角から望遠まで幅広く対応し、風景写真から自然撮影までオールマイティに使えますが、弱点は意外に重いこと。
ボディに標準ズーム、望遠レンズ、三脚と揃えていくと、1セットで3~5kgと、結構な重量になってしまいます。シニアでも体力に自信のある方にお勧めしたいカメラです。
【初期費用】ボディ・レンズ込みで6万円~
【ミラーレスカメラ】 デジタル一眼レフと同じくレンズ交換が可能ですが、ボディがコンパクトで軽く、持ち運びが楽というメリットを持つのがこのミラーレスカメラです。ミラーレスとは文字通り“鏡がない”という意味で、一眼レフの特徴のひとつであるレンズと撮像面の間にある“鏡”がなく、レンズから入った光を直接センサで取り込むというものです。カバンに入れてもかさばらず、比較的軽量(1~2kg)でセットが組めることから、体力のない人でも安心だと思います。
【初期費用】ボディ・レンズ込みで6万円~
【コンパクトデジタルカメラ】 文字通り小型のデジタルカメラ(以下コンデジ)のことです。最近ではスマートフォンのカメラ機能にシェアを奪われている感が強いこのコンデジですが、高性能で明るいレンズを組み合わせた【高級コンデジ】というジャンルに昨今注目が集まっています。メリットは何といってもその軽さと小ささ。大体数百グラムと持ち運ぶのに苦になりません。ジャーナリストがこの高級コンデジを愛用しているのをよく見かけるのも、このハンドリングの良さからでしょう。レンズ交換はできませんが、画質の良さには惹かれるものがあります。ここではこの高級コンデジを中心にお話を進めていきたいと思います 。
【初期費用】ボディ・レンズ込みで7万円~
【高倍率コンパクトデジカメ】
ここ数年出てきた新しいジャンルのデジカメです。一眼レフのようなデザインですが、レンズ交換ができないという制約があります。その代わり広角から超望遠まであらゆる撮影に使うことが出来、2000mmを超える超望遠も可能。手持ちで月のクレーターが撮影できる機種も出ています。重さもミラーレス程度でレンズを格納すると比較的取り回ししやすくなるので、持ち運びにも楽な部類と言えます。弱点は搭載センサが小さく若干画質が劣ることでしょうか。
【初期費用】ボディ・レンズ込みで5万円~
【スマートフォンのカメラ】
意外かもしれませんが、最近のスマートフォンのカメラは侮れない存在になりつつあります。豆粒のようなレンズのものが殆どですがソフトウエアの進歩により、暗い場所でも良く写ります。またハンディ―プリンターと連携できることも大きく、撮ったその場でプリントアウトした写真をプレゼントするといった使い方もできます。弱点は大伸ばしできるほどの画素数がないことで、A3判程度のプリントには不向きです。
シニアに適したカメラとは。
もう昔みたいに重いものは持てないし、両手はできるだけ開けておきたい……そんなシニアの皆さんに、最適なカメラとはどんなタイプでしょうか。 これはあくまでも私個人のチョイスですが、ショルダーバックに収まる程度のカメラが良いと思います。その上で、(1)画質が良く、(2)かさばらなく、(3)軽量であること……という選択をすると、前項でご紹介したなかでは、【ミラーレスカメラ】【高級コンデジ】あたりが候補に挙がります。
日々の散歩のお供に最適なカメラ。
これはもう小型軽量で、オールマイティに撮影できるカメラが良いと思います。 【ミラーレスカメラ】ですと、マイクロフォーサーズ規格のカメラ(オリンパスやパナソニックなど)に、広角や準広角の軽い単焦点レンズを装着したものが画質も良く、マクロ撮影(接写)でも満足のいく写真が撮れたりします。また少しかさばりますが14mm-150mmなどの高倍率ズームレンズで優秀なレンズも多く、バードウオッチング写真なども楽しめます。
さらに【高級コンデジ】という選択も捨てきれません。このクラスでは明るい(F2.0~F2.8程度)の高性能な単焦点レンズを搭載しているものも多く、一眼レフで撮ったものを凌駕する作品作りも可能です。私自身も富士フィルムやリコーの有名カメラを利用していますが、A3ノビ程度に引き伸ばしても破綻しないその画質の良さに満足しています。
また料理写真などで必要なマクロ機能が優秀な機種が多いのもこのクラスの特徴です。
まとめ……シニアに適したカメラとは
シニアの日常にどんなカメラが適しているかというお話を進めてまいりましたが、携帯性が高く、小型軽量で、画質の良いものを選ぶというのは当然として、やはり「使いやすさ」や、「所有してみて嬉しくなる」といったカメラを選らばれることが大事だと思います。ちなみに筆者が普段持ち歩いているものは以下の2機種になります。参考にしてくださると嬉しいです。
【普段持ち歩いているカメラたち】
■RICHO GRII
APS-CサイズのCMOSセンサを搭載した高級コンデジ。28mm単焦点レンズ(35mm換算で)を搭載し、沈胴式のレンズのため軽く持ち歩きやすいです。最近後継機のRICHO GRⅢが発売されましたが、正常進化版として高い人気を誇っています。
■FUJIFILM X100S
APS-CサイズのCMOSセンサを搭載した高級コンデジ。35mm単焦点レンズ(35mm換算で)を搭載し、開放値はF2.0と被写界深度の浅いボケの効いた写真が楽しめます。少々大きいですが、レンジファインダー風のファインダーを搭載し「LEICA Mシリーズ」を彷彿とさせるそのフォルムは、「写真を撮っている」という気にさせてくれます。
【次回予告】
次回はレンズの絞りとシャッタースピードの関係や、撮影シーンに合わせた絞りの使い方について説明していこうと思います。
【筆者紹介】
吉村ひろゆき;1958年東京・中野生まれ。20代の頃よりストリートスナップに目覚め、本業の広告制作の傍ら、これまでにモノクローム写真を中心に個展を6回開催する。JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)正会員。