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合言葉は「リーン イン」
一歩踏み出し、挑戦してみよう②
会社から卒業し、この4月から「新たな生活」を始めようとしている読者の皆さんに、「リーン イン」という言葉を贈りたいと思います。3月25日(日)、フェイスブック ジャパンとリーン イン東京が行った国際女性デー記念イベント「自分らしく人生をデザインする」での金言の数々を2回に分けてご紹介したいと思います。ぜひ、第1回目からお読みください。
合言葉は「リーン イン」一歩踏み出し、挑戦してみよう?を読む
イメージ/撮影:弓削ヒズミ
自分が好きじゃないことをやりながらも、自分の「OS」を育んでいく
自分が好きなことを続けていくうえで大切なことは何かと聴かれた若宮さんは、好きでもなく評価に結びつかないことも無意味ではないといい、スキルを上げていくことを、パソコンやスマホの「OS(※1)」と「アプリ」の関係に例えて説明しました。
※1 OS(オーエス)
オペレーティングシステムの略で、コンピュータを使うための基本的な機能を提供するプログラムのこと。
「自分が好きじゃないことでも、自分の『OS』を形づくっていくことには必要なことだから、自分にとって無意味なことじゃないし、時間の浪費ではありません」と若宮さん/撮影:弓削ヒズミ
人間にも「OS」と「アプリ」があり、「OS」はその人の『人間力』で、「アプリ」が『ビジネススキル(行動力や発想など)』です。ビジネススキルという「アプリ」をうまく進展させるには、土台である「OS」がしっかりしていないといけません。自分が好きや得意なことじゃなくても、自分の「OS」を形づくる上で必要なことを学べるといいます。
「銀行時代、これコピーとってきて、なんてことを言われたこともありましたが、それでも自分の『OS』を作っていくのに役に立った気がします。そして、興味のあること、好奇心の対象になることは、じっくり温めておくと、時代が変わった時に、それが日の目を見る機会が訪れる気がするんです。これから『人生100年時代』になったら、あと30年、40年経ってから芽が出るかもしれないので、歳をとる時の楽しみです。そんなロングレンジで考えたらイイんじゃないかなと思います」
福岡で予定されていたトークショーに行く飛行機便が急遽欠航となってしまった若宮さんは福岡の主催者に連絡をしたところ、ビデオチャットで対談をすることを提案され、自宅に戻り、福岡の会場にいる人とトークショーをこなした。その時の主催者の機転に、人間としての「OS」のすごさを感じ、羨ましく思ったという/撮影:弓削ヒズミ
両立させるために、楽しみながら「逆張り」
女性の社会進出を取り巻く問題の一つが「家事」「育児」「介護」などと仕事の両立です。
妊娠したりすると時短、配置換えなど、自分が動きやすい労働条件へシフトしてしまい、「守り」に入ってしまう人が多いなか、あえて「逆張り(※2)」を通してきたとおっしゃるのが羽生さんです。第一子出産後、金融デスクとして忙しい日々を送るなか、突然、旦那さんが司法試験に挑戦すると言われたそうです。
※2 逆張り(ぎゃくばり)
金融・経済・証券用語。相場の流れとは反対の売買行動をとること。反対語は「順張り」。
「司法試験を1回落ちるとか、学費のために100万円振り込んでくれと言われたり、オレオレ詐欺かと思いました(笑) 先行投資だからいいんですけど、やっぱり、あの時にお金に対する大切さを痛感しました」と羽生さん
/撮影:弓削ヒズミ
「ものすごく悩みましたよ。2秒ぐらい(笑) イイヨ!って言いました。30前後のいい大人がチャレンジしたいと言ってるのに、ダブルインカムがシングルインカムになるのは辛いや、なんて無粋なことは言ってはいけないと思って。そこで、ちょっとスパイスを混ぜて、すぐに第二子計画を立てました」
旦那さんは試験に向けての勉強、羽生さんも創刊で多忙という状況でも、第二子誕生を迎えられたことが良かったといいます。夫婦ではなく、家族で挑戦していることが楽しかったそうです。
「やっぱり、大変でした。でも、あの時代があるからこそ、ファミリーも自分も成長して、絆が深まっていったんじゃないかなと思います。リスキーですけど、逆張りを楽しみました」
「キャリア人生を1日に例えた場合、年齢を3で割るとキャリア人生の時刻が出てきます。30歳であれば、3で割って10、午前10時ぐらい。午後1時で36歳、午後3時で45歳、21〜22時ぐらいまで働いて定年退職。私でまだ午後1時半ぐらい。だから、まだまだできる。これから国内出張1本ぐらい入れられる」と羽生さん/撮影:弓削ヒズミ
私は不良介護人
一方、介護を経験された若宮さんは、介護はゴールが決まっていないマラソンだといいます。
「全力疾走しないで、なるべく余力を持つこと。テレビや新聞に取り上げられる『介護をやり遂げました』という記事を真似しない方がいいと思います。私なんかは不良介護人を名乗って、介護をやってました」
介護の合間を見つけ、テレワーク(※3)を行ったり、遠隔学習に挑戦してみたり、自分がやらなかった、プラスの体験も併せてやるべきだと言います。介護休暇を取れるチャンスでもあり、介護に加えて、何か自分にプラスのことにも使っていったらいいと若宮さんは提案しました。
※3 テレワーク
インターネット等を介して時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く形態。
ディスカッションの後にインスタグラムでツーショット記念撮影。会場の参加者とも気軽に撮影に応じていた/撮影:弓削ヒズミ
勇気を持って一歩踏み出そう
ディスカッションの後に行われた「自分の人生をデザインする」というワークショップでは、会場にいる参加者同士がグループをつくり、自分自身を振り返り、これから何をしていきたいのかお互いに発表していきます。
これまで何かに夢中になった瞬間や活動のこと、私の強みとは何か、などを制限時間内に書き出し、グループの仲間に自己紹介を行う/撮影:弓削ヒズミ
参加者は若い女性が中心でしたが、年輩の女性や男性の姿も見られ、一人一人が真剣に「一歩踏み出すきっかけ」を探っているようでした。
ほとんど初対面の人同士でもグループで報告しあっていく間に仲間意識が芽生えて、イベント終了時にはアドレス交換をする姿も見られた/撮影:弓削ヒズミ
リーン イン東京の代表理事・鈴木伶奈さんにお話を聴いてみました。
「私たちのイベントには、若い女性だけではなく、定年退職された男性もいらして、男性としての意見、世代の違う考え方など、意見を擦り合わせるいい機会になっているんじゃないかなと思います。若い人よりも50〜60代のシニア世代の方が、女性の活躍を応援するリベラルな人が多い印象です。私たちのメッセージは『リーンイン』なので、一歩踏み出して、ちょっと興味があるなと思ったら、怖がったり、不安に思わないで、ぜひ、活動に参加してみるとか、小さなステップでもいいので、やってみてほしいなと思います」
イベント参加者は全員で55名。最後は記念撮影を行ってイベントは終了した/撮影:弓削ヒズミ
「叶えたい夢」「地域デビュー」「シニアからの起業」などといった、定年退職後に新たな一歩を求めているシニア層にとって、「リーン イン」への取り組みは、とても参考になるように思えました。
文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2018年3月25日取材
《協力》
リーン イン東京
フェイスブック ジャパン