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シニアの、シニアによる、シニアのための地域情報紙「きらっと☆シニア」

西東京市で配られている、シニア向け地域情報紙『きらっと☆シニア』。その編集・発行を行っているのは、なんと、読者と同じシニア世代のボランティアグループ「きらっとシニア倶楽部」の皆さん。取材、原稿書き、レイアウトまで、すべてを自らで行われています。

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イメージ/撮影:弓削ヒズミ

誰もが住みやすい町づくりが、活動の基本

きらっと☆シニア』は、西東京市に住む高齢者(シニア)たちの間では、よく知られた情報紙であり、シニアの関心事や地域にまつわる情報が掲載されています。発行部数は約5000部で、主に市内の公共施設や病院などに置かれ、誰でも手にすることができます。

この情報紙を発行しているのが、シニアのボランティアグループ「きらっとシニア倶楽部」の皆さん。いまから10年ほど前、「シニア情報誌づくり」という市民講座を受講した有志たちによって結成されました。いま、会員は15名ほどで、『きらっと☆シニア』を3〜4カ月の間隔で発行しています。

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これまで発行された『きらっと☆シニア』紙の一部。2017年9月時点で、1〜35号、号外6紙の41紙を発行

同紙は、「誰もが住みやすい町づくり」をめざし、2009年1月よりを発行。現在、36号を制作中とのこと。各号ごとに「テーマ」が定められ、A4判の4ページながら、しっかりとした読みごたえです。

これまで取り上げられたテーマをあげると、「見まもり」「くらしの相談」「おひとりさま」「シニアのスポーツ」など、生活に根付いた問題から、西東京市をエリアに分けて紹介したり、市の友好都市を訪ねたり、地域について掘り下げたテーマまで幅広く網羅されています。

取材を通じて、いろいろな人と会えるのが嬉しい

今回、毎月2回開かれている「きらっとシニア倶楽部」の定例会にお邪魔しました。この日は、参加者10名がテーブルを囲んで、次号について熱い意見を交わしていましたが、少しの間、皆さんに、「きらっとシニア倶楽部」への参加理由をお聴きしました。

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毎月2回、3時間ほどの定例会が開かれ、編集会議や打ち合わせが行われている/撮影:弓削ヒズミ

市民講座から参加されている人たち以外には、「長年、西東京市に住んでいながらも、会社との行き来だけで、何も地元のことを知らないまま過ごしてきました。退職後、あらためて地元のことを知りたいなと思って参加してみました」など、定年退職をきっかけに参加されたという人も多く、「人を知りたい、そうすれば街が見えてくる」「新聞づくりを通じて人や地域を深く知ることができる」など、地域と接点を持つことを参加理由にあげています。

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川越での取材。西東京市から離れた場所へも取材に行くアクティブなメンバーたち/提供:きらっとシニア倶楽部

活動は、西東京市内だけではなく、近年、市の姉妹・友好都市(※1)へも広げています。2年に1都市、6年かけて3つの姉妹・友好都市への取材が行われました。「新聞づくりだけだと考え方も閉鎖的になってしまうので、息抜きではありませんが、地元以外の場所にも範囲を広げています。ちょっと旅行気分もあって楽しいです」とのこと。今年2017年には、「防災」をテーマに掲げ、防災先進県である「静岡県地震防災センター」を見学した様子を号外として発行しました。

※1 西東京市の姉妹都市は、福島県南会津郡下郷町、友好都市は、千葉県勝浦市、山梨県北杜市。

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静岡県地震防災センターで取材した記事が掲載されている号外「特集:防災先進県・静岡を訪ねて」

『きらっと☆シニア』の取材を通じて、いろいろな人と会えるのが嬉しいと言うメンバーの意見もありました。

「元市長にインタビューした時の話ですが、出かける前に奥さんから服装チェックされるそうです。周囲の人は、元市長だとわかっているので、みっともない格好はさせられないんだとか(笑) それに、もう1人、元市長にも取材ました。2人の元市長に会って話せることは、そうそうないことでしょう。これも新聞づくりならではですね」

「96歳で特許をとった方にもお話しを聞きました。100歳近くになっても新聞3紙を毎日読んで、気になる記事に感想を書き込んいました。とにかく、すごい生き様で、教えられることがいっぱいありました」

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ボランティア活動の取材を行っている様子/提供:きらっとシニア倶楽部

誰かが役割を決めるのではなく、自分ができることをやる

定例会の後、メンバーから、吉田正彰さん、佐藤力さん、有馬将由さんの3人に残っていただき、さらに詳しい話を聴いてみました。

《テーマの決め方について》
「定例会では、進行役はメンバー内で持ち回りにして行われ、次号の企画・制作会議を進めていきます。毎号のテーマは、ブレーンストーミングの中から生まれることが多く、そのなかから候補を絞り、多数決で決めています」と、きらっとシニア倶楽部の副代表の有馬将由さん。

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定例会では、いろいろな意見が飛び交う。時には複数のアイデアを1つにまとめて次号のテーマにすることもあるという/撮影:弓削ヒズミ

《役割分担について》
「基本としては、やりたい人がやるようなファジーな組織にしています。写真を担当する人、割付ができる人、原稿を書くのが得意な人、旅行の計画を立てる人とか(笑) 必ずしも全員が編集作業をやるわけではなく、いろいろな役割分担があります。自分ができることをやるのが基本になっています」と、前職では出版関連の仕事で、紙面割付を担当する吉田正彰さん。

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手分けをしながら印刷作業を行っているメンバーたち/提供:きらっとシニア倶楽部

《活動資金について》
「『きらっと☆シニア』は、完全なボランティア活動です。みんなでお金を出し合って、年間1000円の会費や、講演などのアルバイト、西東京市NPO企画提案事業などの助成金で賄っています。助成金をいただけた時は、モノクロの紙面をカラー印刷にして5万部刷りました。みんなで手分けをして配り歩きましたが、あまりにも朝早くから配り始めましたが、うす暗くて、ポストがどこにあるのかわからなくて困りました(笑)」と取材写真などを担当している佐藤力さん。

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『きらっと☆シニア』の編集作業を流れにした図/提供:きらっとシニア倶楽部

「きらっとシニア倶楽部」の皆さんは、自分のできること、自分の興味のあること、すべて自発的な行動によって運営しているのが強みのように思いました。「われわれも歳をとっていきますからね。好奇心を失わないことが大切です。好奇心を維持すれば、それが行動に繋がり、行動をするためには元気を維持しないといけない。そうやって、10年近く続けています」と、吉田さんは語ります。

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『きらっと☆シニア』は、地域のシニアたちを元気にするためでもあり、自らも好奇心を持続させるための存在でもある/撮影:弓削ヒズミ

『きらっと☆シニア』は、「爺ちゃん婆ちゃん.com」にとって、まさに先輩のような存在。今回の取材では、きらっとシニア倶楽部の皆さんから、たくさんのことを学ばせていただきました。西東京市にお住まいの方は、ぜひ、『きらっと☆シニア』を読んでみてください。他にお住まいの方も、仲間でミニコミ紙づくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2017年9月取材


きらっとシニア倶楽部

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