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レコード盤で支援しよう!
押し入れに眠っている不要なレコードはありませんか?

あなたの押し入れの隅に眠っている「レコード盤」はありませんか? その不要となっているレコード盤が支援につながるとしたらどうでしょう。高齢者福祉施設、地域サロンでの活用から、障害者施設の就労支援にもなるそうです。

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イメージ/撮影:弓削ヒズミ

不要なレコードが支援につながる

いま、50〜60代のシニア世代では、インターネット上のフリーマーケットなどを利用して、押し入れに眠る古いレコード盤を処分しようとしている人が増えているそうです。でも、不要なレコードをフリーマーケットで売ってしまうのもいいのですが、せっかくなら高齢者福祉施設や地域サロン、障害者施設の就労支援など、有効に活用してみませんか。古いレコードが整理できて、しかも、人のためになるなんて素敵なことだと思います。

参考=フリマアプリ「メルカリ」、初となる50・60代の利用動向を発表 出品1位は「レコード」、購入1位は「ゴルフグッズ」という結果に(株式会社メルカリ 2018年11月20日発表プレスリリース)

レコードを使った活動を実践されているのが、弊サイトでもご紹介したことがある黒田逸実さんです。

以前の記事では、レコードで音楽療法を行っている様子をご紹介しましたが、黒田さんは任意団体「クロダマハウス」としてホームページを立ち上げ、レコードを利用した活動をさらに広げようとしています。再び、黒田さんに話を聴きに行ってきました。

関連記事=2016年9月23日掲載『からだを動かして、音楽を聴いて。高齢者に、関西弁で「元気」を広める伝道者

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レコードを使った活動を実践されている黒田逸実さんは、2600枚にもおよぶJAZZのLPレコードを所有する。JAZZ以外にも歌謡曲、民謡、クラシックのレコードもある/撮影:弓削ヒズミ

リクエストされたレコードを持っていないと悔しくて

クロダマハウスでは、不要なレコードを引き取り、高齢者福祉施設での音楽療法や、障害者施設での就労支援に役立てるボランティア活動を行っています。

クロダマハウスでのレコード活用法

  1. 高齢者福祉施設で懐かしい音楽を聴かせるボランティア活動
  2. 障害者施設でレコード洗浄の就労支援
  3. レコードを再利用した地域のコミュニティカフェ

元々音楽とレコードが好きでJAZZのLPレコードを収集していた黒田さんは、定年後、高齢者に懐かしいレコードを聴いてもらい元気になってもらう音楽療法のボランティア活動を始めました。

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北柏ナーシングケアセンターで懐かしいレコードを聴いていただくボランティア活動を行う黒田さん。懐かしい曲の数々に思わず口ずさむ参加者もいる/撮影:弓削ヒズミ

古い邦楽、洋楽のシングルレコードを購入し始め、1950〜60年代のシングル盤を集めてそれをシートに貼り付けてリクエストに応じて聴いてもらっています。

「基本的には持ち込んだレコードの中から選んでもらいますが、事前にリクエストをもらう時もあります。あの曲が聴きたいとリクエストされて、そのレコードを持っていないと悔しくて、悔しくて、必死に探しますよ」

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レコードの温かな音色は高齢者の耳にも優しく響く。坂本九さんのヒット曲『幸せなら手をたたこう』(1964年)では全員が手拍子で参加した/撮影:弓削ヒズミ

自分のコレクションを洗いながら思いつく

レコード洗浄を障害者施設の就労支援にしようとしたきっかけについてうかがいました。

「レコードは特殊な洗浄剤を使い、歯ブラシで洗浄します。レコードは裏表があるので、僕がいくら頑張っても1時間に20枚しか洗えません。僕のコレクションは2000枚近くあるので、どれだけ時間と労力を費やしたことか(笑) そこで単純作業が得意な障がい者施設の皆さんに手伝ってもらうことを思いつきました」

黒田さんは、知人の勤める障がい者施設に話を持ちかけ、自腹で700枚のレコード洗浄を依頼してみたところ、とてもきれいに仕上げられたそうです。これを就労支援に繋げたいと思い、試行錯誤の末、社会福祉法人 青葉会の障がい者就労支援施設で特殊洗浄を行えるようになりました。

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障がい者就労支援施設でレコードを洗浄している様子。洗浄は1枚50円で、天候に左右されずに屋内で作業が出来るのが喜ばれている/写真提供:任意団体クロダマハウス

「いまは洗浄できる施設は柏市の1つだけで、15〜16人が作業しています。いままで3000枚近くを洗浄してもらっています。いま、昨年に市民ネットワーク千葉県元気ファンドの助成金をいただいて配布したチラシを見て譲り受けた1000枚を洗浄中です」

「就労支援もそうですが、高齢者にレコードを聴いてもらう活動も、もっと全国的にやってもらいたいですね。いま、洗浄済みの引き取ったレコードで2セット分ぐらいダブリがあるので、高齢者に聴かせる活動をしたい人が、ハイ!と挙手してくれたら差し上げますよ」

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ボランティアではプレイヤー、アンプ、スピーカーに加え、たくさんのレコードがギッチリと詰められた大きなキャリーバッグが2台。それとレコードを飾り付ける支柱も加わる。ちなみにディスプレイのシートはすべて黒田さんのお手製/撮影:弓削ヒズミ

夢はレコードに囲まれたコミュニティカフェ

黒田さんの夢はまだまだあります。各地にある空き家を利用して、家中にレコードを飾りつけたコミュニティカフェを作りたいと言います。

「みんなが集まれるコミュニティカフェをつくりたいんです。飾り付けたレコードを見ながら、音楽に興味のある老若男女が懐かしい思い出話に花を咲かせるのもいいですし、童謡やクラシックもありますから子育て中のお母さんがお子さんの情操教育を兼ねながらくつろぐ場所にしてもいいですね。とにかく、僕の手元にあるたくさんのレコードをいろんなことに利用して欲しい」

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クロダマハウスのコレクションルーム。レコードアルバムならではの大きくて美しいジャケットがずらりと並ぶ姿は壮観。現在は黒田さんの2人のお子さんもレコードに惹かれ、親子共通の話題となっているのだとか/撮影:弓削ヒズミ

いつまでも歩けるカラダづくり

前回記事でご紹介した黒田さんの高齢者健康運動教室は、今年2019年4月に「イキイキ運動教室」と名前を改めてスタートすることになりました。

「最近は何でも便利になって歩かなくなっているじゃないですか、古いアナログなものを見直すのも一つです。レコードなんてシングル盤は3分で終わるから、曲を変えるたびにプレーヤーまで取り替えに歩く。そんなことだけでも運動にもなりますよ(笑) 足腰を鍛えて、介護に頼らないカラダづくりをしましょう」

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現在の高齢者に合わせて50〜60年代のレコードを集めているが、近頃は80年代も収集している。「いまの40歳代が高齢者になる30年後だって、この活動は続けられるんですよ」と黒田さんは笑う/撮影:弓削ヒズミ

黒田さんのレコードにかける想いは、レコードコレクターとしてだけではなく、「レコードは腐りません、こんな貴重な財産を後世に残して、たくさんの人のために役立てたい」と語るように、すでに文化遺産を保護するぐらいの情熱で取り組んでいます。

もし、家の片隅に埃をかぶって眠っているレコードがあったら、黒田さんに託してみてはいかがでしょうか。また、ボランティア活動に参加したい人も募集しているそうです。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2019年1月取材


任意団体クロダマハウス

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