連載

《コラム》これでいいの!?NIPPONにスパイス
Vol.1:日本のサービスが良いそのワケは。

『これでいいの?NIPPONにスパイス』は日本の日常の出来事を、海外と比較して筆者独自の視点で突っ込んだ、ピリ辛コラムです。

先日、とある駅でエレベーターの改修工事が行われていた。その工事に着手する前から工事が終わるまでに至る万全体制ぶりが目に余るものだった。

まず工事が始まる随分前から、工事予定のエレベーター前に”人”が配置され、ご丁寧に「エレベーター工事をしますよ~」という事前告知をしてくださっている。
いつもその駅を利用する人にとっては、事前に分かっていた方が、工事が始まってから焦ることもなくていいかもしれないが、まだ始まってもいないのに”人”が立っている必要ってあるんだろうか?

そして、いよいよ工事が始まると、今度は各階のエレベーター出入口のところに”人”が配置されていて、「エレベーターは、ただ今工事中で~す」と終日声をあげてくださっている。そりゃ5m先からエレベーターが使えないという情報があれば多少は便利かもしれけれど、貼り紙ではだめなんだろうか?もしくは音声が出る機械とか。いずれにせよ最も経費のかかる”人様”でなければならない理由がどこにあるんだろうか?その仕事を任された人だって、お給料こそもらえるだろうけど、どんなモチベーションで「エレベーターが無いアピールの任務」を遂行していたのか聞いてみたいところだ。

さらに、ご丁寧サービスはこんなもので終わらない。人の配置はエレベーター前だけにとどまらず、乗客が歩く導線上である階段や改札口前、改札を出た後の階段等、至る所に”人、人、人!”。万全体制でエレベーター代役任務を全うしようという徹底ぶりだ。

この状況を見て、あなたはどう思うだろうか?
日本のサービスは優れているな。事前のクレーム防止のためには仕方がない。と思うだろうか?

いやいや、ちょっと待って。
ちょっと海外に視点を切り替えてみたいと思う。お客が会社に求めるサービスの期待値も違うけれど、もう一つもっと日本とは大きく違うポイントがあるんじゃないかと私は思う。

イラスト:無料イラスト素材 イラストAC

とある欧州の国でスーツケースを持って電車に乗っていた時の事。
その電車のドアは自動ではなく手前に手で引いて開けるタイプで、中にいる人がドアを開けるには、まず少し強い力でバン・バン、と叩かなければ開かない木造の窓を開け、手を外に出し、ドアノブをひねって、ようやくドアが開けられるという仕組みの、とても現代の先進国のものとは思えない旧式の電車なので、小心者の私が小さな駅で電車を降りるときは、「数秒程度しかない停車時間内で、窓が開かなかったらどうしよう~、ちゃんと降りれるかな~、誰か一緒に降りる人いるかな~、」等と電車が止まる随分前から不安で仕方がない。

そんなクラシックな電車からホームに降りるには、当然バリアフリーではないので階段を一段降りるほどの高さがあって、重いスーツケースを持っていると、短時間で降りなければならないのでまぁまぁ大変。でも実は意外と大変でなかったりする。その理由がさっき書いた日本とは大きく違うポイント

なんで大変でないかというと、毎回近くの男性が手を貸してくれちゃうの。
その手伝い方も、もし日本でそんな場面があったら、手を貸す方も「どうしようかなぁ~、手伝おうかなぁ、逆に気を遣われたら嫌だなぁ、とか迷ったり緊張した末、勇気を出して「手伝いましょうか!」って感じになるんじゃないかと思うんだけど、そんな一連のドラマは全くなく、ごくごく自然に、まるで長年連れ添ってきた伴侶の如く、降りるタイミングになると、さっと手を出して、まるで自分の荷物のようにやってくれるのだ。当然階段を降りる時も、見て見ぬふりをされることはない。近くに居合わさせた人が手伝ってくれる。

その感覚のまま帰国して、成田から日暮里へ行き、当時はエスカレーターもエレベーターもなかった※1.ので、やむを得ず階段で重いスーツケースを降ろすんだけど、そこで気づかされるのが、
「そうだ。ここは日本だった。」 誰も助けてはくれない。 ということ。サザエさん症候群※2. ならぬ日暮里症候群である。

※1.平成18年に日暮里駅の山手線ホーム行エレベータは設置された。
※2.日曜日の夕方から深夜、「翌日(月曜日)からまた通学や仕事をしなければならない」という現実に直面して憂鬱になること。

つまり、海外の場合は、周りの人が助けてくれるが、日本ではまず誰も助けてくれない。

日本は企業サービスがいい反面、個人のサービス精神は乏しいんじゃないだろうか?逆を返せば、 個人のサービス精神が乏しいから企業サービスを強化しなければならないのではないだろうか。

イラスト:無料イラスト素材 イラストAC

先ほど大概は誰も助けてくれない、と書いたが、10回に1回ほど助けてもらえる時もある。誰が助けてくれかっていうと、助けてくれるのは決まって女性なのよ。自身の体験だけでなく、私がそういう場面を目撃するのも必ず女性で、周りの男性は知らんぷりだ。

無駄な人件費を費やさなくてもいいよう、 日本の男性たちよ、もっと頑張ってくれ・・・

文=山本 やまと

■Profile■
山本 やまと
北海道出身。服飾デザインの専門学校卒業後、イギリスに留学。アート&デザインを学ぶ。雑貨の企画・デザインの仕事に従事。訪問国は十数ヵ国。
好きなこと:語学勉強、旅、引っ越し。生き物を大切にし、たとえゴキブリでも殺さない。

下へ続く
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