健康な体づくり

症状から見る4つの冷え性タイプ-病院に行く危険信号は?

本格的な冬の寒さを迎える12月~1月は、身体の冷えが心配になります。寒ければ身体が冷えるのは当たり前の反応なのですが、高齢になると体温調節機能が衰えて、冷えを苦痛に感じ、日常生活に支障を来すこともあります。そうした冷えがつらい状態を「冷え性」といいます。この記事では冷えの症状から考えられる4つのタイプと改善法、医師に相談する目安について解説します。

冷え性の症状から自分のタイプを知りましょう /写真:無料写真素材 写真AC

症状から見る冷え性の4つのタイプ

 冷え性のタイプは主に「四肢末端型冷え症」、「内臓型冷え症」、「全身型冷え症」、「下半身型冷え症」の4種類に分けられます。タイプによって原因や治療も異なるので、冷え性で悩んでいる方は、まず自分がどのタイプなのかをチェックしてみましょう。

①「手も足も冷たい」―四肢末端型冷え症

四肢末端型は、「手も足も冷たい」という、冷え性の定番です。このタイプの特徴的な症状は、次のようなものが挙げられます。

○冷えるのは手足の末端
○頭が痛くなりやすい。
○ダイエット中の痩せ型の女性に多い

このタイプは健康な人に比べて、身体の中で十分な熱が生産されていません。熱容量が低く、不足していることが四肢末端冷え性の原因です。

【改善法】

 四肢末端型の場合、手足を温めても冷え性は改善しません。なぜなら、温めても熱が身体に浸透してくだけで、収縮した血管は広がらないためです。改善法としては、しっかりと食事から栄養をとり、熱を生み出す身体にしていくことが大切です。ウォーキングや体操などの運動をして基礎代謝を増やすのも効果的です。

②「お腹が冷える」―内臓型冷え症 

内臓型は、手足を触ってみても表面は温かいのに、身体の中が冷えるという、冷え性です。このタイプの特徴的な症状は、次のようなものが挙げられます。

○手や足は温かい
○肥満傾向で、食欲がある人に多い
○腹痛や便秘、下痢などを起こしやすい

このタイプは、「お腹が冷える」「お腹が張る」と訴える人が多いです。内臓が冷えるためにお腹にガスが溜まりやすく、腹痛や便秘、下痢などを起こしやすい特徴があります。

【改善法】

 内臓型は、お腹の中の血流を改善させるのが効果的です。具体的には、内臓の働きを良くして、血行促進をしてくれる生姜などを食べるとよいでしょう。また外側の熱を中心部に移動させる漢方薬を活用するのもひとつの方法です。

③「ぞくぞく寒気がする」―全身型冷え症

 全身型は、身体の表面も中の温度も低下していて、全体的に冷えているタイプです。しかし体内の温度差は変化しないので、冷えに気づかない場合もあります。特徴的な症状は、次のようなものが挙げられます。

○身体全体が冷えている
○ほとんど汗はかかない。
○食欲不振、だるい

 全身型は、代謝機能の低下が原因とされています。また、慢性的な疲労やストレスによる自律神経の乱れや、疾患が原因で起こることもあります。

【改善法】

 全身型では基礎代謝を上げたり、体を温めたりすると良いでしょう。基礎代謝をアップさせるためには運動も効果的です。消化機能がダウンしている場合は、消化管を整える漢方薬を用いるのも効果があるそうです。

④「足が冷える」―下半身型冷え症

 下半身型は、中高年に多いタイプで、冷え性のほとんどを占めています。男性にも多く、50歳を過ぎて足が冷えやすくなった場合は、この下半身型冷え性である可能性が高いです。このタイプの特徴的な症状は、次のようなものが挙げられます。

○冷えるのは腰から下
○中高年に多い
○顔や上半身がほてりやすい

このタイプは、下半身の体温は低下しますが、体全体の熱容量は普通の人と変わりません。そのため足が冷えると上半身が熱くなる、いわゆる「冷えのぼせ」状態になることもあります。高齢になると足の動脈硬化が加わり、症状が強くなる傾向があります。

【改善法】

 下半身型の冷え症は、足を温めても冷えの改善には効果が期待できません。逆に、熱が上半身に集まり「のぼせ」を悪化させてしまう可能性もあります。改善するためには、このアンバランスをもとに戻すことが必要です。運動ではウォーキングが効果的です。大股でしっかりと足を出して歩くと、筋肉内の循環が良くなり、凝りにくくなる結果、冷えが解消しやすくなります。

生活習慣の改善で冷え性を解消

冷え性にはビタミンE、ビタミンB群が効果的です /写真:無料写真素材 写真AC

 

 冷え性は、血流の循環が悪いために手足や腰が冷えやすい体質のことを言います。原因には、体質や自律神経の乱れ、女性ホルモンの変動などさまざまですが、主に末梢血管へスムーズに血液が行き届かないことが大きな要因です。しかし、衣食住を中心に生活習慣を見直せば、冷え性を予防・改善することができます。

■冷え性に勝つ!バランスの良い食事

 冷え性を解消するには、栄養のバランスを整えて1日3食規則正しく食事をとることを心がけましょう。なるべく火を通した温かいものをとります。野菜や果物は葉や茎、皮などを丸ごと食べると栄養素を無駄なくとることができます。できれば、生ものや冷たい飲食物などは控えましょう。ビタミンE、ビタミンB群、鉄分を含んだ食品が有効です。
 

■陽性の食べ物を取り入れましょう

 冷え性には身体を温める「陽性」の食べ物が良いとされています。陽性の食べ物には、生姜やネギ、にんにく、ゴボウなどの根菜類。シトルリンを豊富に含むスイカの皮、ゴマ、黒豆、あずきなどがあります。しかし、陽性の食べ物だけを食べれば良いということではなく、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

■朝起きたら「白湯」も効果的です

 一日の中で最も水分が失われているのが朝です。そのため朝に白湯を飲むと、身体に吸収されやすく、体温が最も低いために身体が温まりやすいです。

■冷え性に負けない衣類の選び方は?

外出するときはタートルネックやマフラーで温めましょう /写真:無料写真素材 写真AC

 

 一般的に女性の場合、男性よりも筋肉量が少ないので熱を作りにくく、冷えやすい体質です。寒い場所でのスカートなどの薄着は身体を冷やしてしまい、下着やタイトな衣類での締め付けも血流を悪くして、冷え性の原因となります。

 下着は腕や胸、背中、お腹を覆うような面積の広いものを着用して、体幹部の深部を温めるようにしましょう。また下着などの衣類は、吸湿性が良く乾燥しやすい素材のものを着用すると身体が温まりやすいです。
 
 外出する場合は、首回りが冷えやすいのでタートルニットやマフラー、手袋をするのがお勧めです。足が冷えて眠れない時は、足を締め付けない古い靴下を活用すると良いでしょう。

■家庭のお風呂で冷え性対策

 冬場、自宅のお風呂では上半身が温まりにくいので、全身浴が勧められています。個人差はありますが、38~40度の湯船にゆっくりとつかり、身体の芯から温めます。入浴中に肩が冷える場合は、タオルをかけて身体を冷やさないようにしましょう。入浴しながらの足のストレッチも効果があります。風呂から出たら、湯冷めをしないように注意しましょう。

冬場は全身浴で身体の芯から温まりましょう /写真:無料写真素材 写真AC

冷え性でも医療機関の受診は必要?

 

 足の冷えなどの症状には、足の血流の流れの低下が関係している場合があります。足先からしびれや痛み、冷感などがある場合は、深刻な病気が隠れているケースもあります。

深刻な病気が隠れている冷え性もある /写真:無料写真素材 写真AC

■冷え性で受診する目安

 冷え性は、甲状腺機能低下や低血圧、膠原病(こうげんびょう)、レイノー病などの病気に伴って現れる症状でもあります。例えば、甲状腺機能低下症の場合、体温が低下して汗をかきにくくなり、便秘や頭髪が抜けることもあります。改善するには医療機関を受診し、甲状腺ホルモン剤の投与が必要になります。
 冷え性といっても原因によって対処も違ってきます。自分の原因がどこにあるのかを見極めて対策をとることが大切です。

■受診する診療科

 実は「冷え症」は病気ではなく、頭痛や腹痛などと同じ症状の1つで治療の対象にはなっていません。と同様に症状の1つで、治療の対象にはなっていません。冷え性が改善されない場合は、内科や婦人科に相談しましょう。

気になる人は早めに相談を

近所の「冷え性外来」を調べてみよう/写真:無料写真素材 写真AC

 

 以上、冷え性のタイプや原因、改善策について説明しました。身体の冷えは女性に圧倒的に多く見られます。原因不明の冷えには漢方による治療が有効なことがあります。最近では「冷え性外来」を開設している病院もあるので、困った症状があれば一度ご近所にあるかどうか探してみましょう。

文=大屋サトシ(編集部)

≪参考ウェブサイト≫

冷え性外来 横浜血管クリニック  https://yokohama-kekkan.com/

からだの不調いつもの痛み「冷え」北里大学東洋医学総合研究所 伊藤剛 
https://www.yakult.co.jp/healthist/235/img/pdf/p20_23.pdf

下へ続く
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