健康な体づくり

新型コロナウイルス・高齢者は“危険度大”-「正しい手洗い」で対抗しよう

2019年12月末から、中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスが感染拡大を見せ始めています。これまで報告されている死亡者は、高齢者や糖尿病などの持病を持つ人に多いことが分かっています。現時点では有効なワクチンはなく、手などで触ったところからウイルスが広がり感染する可能性もあります。この記事では、感染症対策で重要な手洗いの正しいやり方とポイントを解説します。

知っていますか、手洗いの種類

手洗いの種類は主に「流水と石けんによる手洗い」と「アルコールによる手指消毒」の2種類に分けられます。普段の生活で簡単に出来る手洗いの予防効果はとても高いものです。イギリスの国民保険サービスNHS (National Health Service)  でも、ウイルス感染を防ぐ方法として「こまめな手洗い」を推奨しています。まず手洗いの種類とそれぞれの違いを紹介します。

新型コロナウイルス対策は正しい手洗いから/写真:無料写真素材 写真AC

①流水と石けんによる手洗い

目に見える汚れがあるときは、石けんと流水を用いて丁寧に手を洗います。石けんを使って手を洗うことで、細菌、ウイルスなどを洗い流すことができます。手を洗う時には石けん成分が残らないよう十分にすすぎます。

②アルコールによる手指消毒

目に見える汚れがないときに用います。擦式アルコール消毒薬による手指消毒が基本です。手に付いた殆どの微生物(ウイルスを含む)を除去できるといいます。短時間(30秒ほど)で効果を得ることができます。流水と石けんによる手洗いに比べて、手荒れがしにくいです。

「まずは手洗い」はもう遅い?

手洗いはタイミングも大事です。よく言われるのは、外出先から帰ったら「まずは手洗い」。すぐに手洗いを行わないと、室内にウイルスがばらまかれてしまう恐れがあるためです。

さらに効果的な方法は、玄関の外で携帯用のアルコールスプレーを用いて手洗い消毒を済ませてしまうこと。家の中にウイルスを持ち込まないようにするのです。

手洗いは、外出先で「手についたウイルス」を洗い流すのが大きな目的です。汚染された手であちこちを触れば、家族にもウイルスが付着して、口や鼻から侵入していまいます。そのため家に帰ったら、できるだけ早く手洗いをして、手を清潔に保つようにしましょう。

食事をする前は手洗いをしましょう

食事の前には必ず手洗いの習慣を/写真:無料写真素材 写真AC

意外に思われるかもしれませんが、消費者庁によると、家庭で食事前に手を必ず洗う人は、52.6%にとどまるそうです。実に二人に一人が食事前に手を洗っていないことになります。

食事中は手についた見えない病原体が口から入る可能性が高いので、しっかりと手を洗いましょう。また、料理を手伝う際にも手洗いをしてもらうよう声かけをしましょう。
 

トイレに行ったら「2度手洗い」も効果的

イメージ/写真:無料写真素材 写真AC

高齢になるとトイレが近い、尿漏れがあるなどのトラブルを抱える人が増えてきます。冬場はウイルスの危険性も高まるので、トイレの後は2度手洗いの実施をお勧めします。

例えばノロウイルスの場合は、2度手洗いを行うことで、手洗い前の「10万分の1未満」までウイルスを減らすことができるそうです。

新型コロナウイルス対策「正しい手洗い方法」

政府は、新型コロナウイルスの主な感染場所としては電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなどを挙げています。感染場所で様々なものに触れることで自分の手にウイルスが付着する可能性があります。

接触感染は電車やバスのつり革も多い/イラスト:政府広報オンライン

以下の手順を見ながら、正しい手洗いをしているかチェックしてみましょう。

外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前は手を洗いましょう/イラスト:政府広報オンライン

手洗いのポイントは、30秒以上

はじめに流水で手の全体をぬらすことで、泡立ちを良くすることができます。手に石けんをつけたら、手のひらで十分に泡立てましょう。

手洗いは、30秒以上かけて丁寧に行います。

目安としては「ハッピーバースディトゥーユー」の歌を2回歌うと、約30秒になりますので、試してみてはいかがでしょう。

アルコール手指消毒の効果的なやり方

流水で手洗いができない場所では、アルコールを含んだ手指消毒薬が置いてあることもあります。効果を最大限に発揮できるポイントを紹介します。

アルコールの量はポンプを最後まで押し下げましょう/イラスト:看護roo!

手が洗えない時に便利なアルコール消毒ですが、ポイントはポンプを最後まで押し下げること。十分なアルコールの量で消毒することが大切です。

ジェルタイプの場合は、1回の量が少ないこともあるので、複数回押して、調整しながら使用しましょう。

石けんで手洗いした後にアルコール除菌をする場合は、タオルなどでしっかり水気をとります。石けんの成分や水気が残っているとアルコールの消毒効果は減少するので気をつけましょう。

画像出典:厚生労働省

利き手と親指の「洗い残し」に注意

せっかく手洗いをしたものの、洗い残しがあっては意味がありません。とくに洗い残しが多い部分は、「指先」、「指の間」、「親指のつけね」、「手首」です。日頃から爪を短くしておき、指先を清潔にしていることも大切です。

色の濃い場所が洗い残しが多い部分です/写真:無料写真素材 写真AC

洗い残しは、利き手や親指の付け根が多いそうです。利き手を意識して洗いましょう。

手洗いだけでなく、マスク対策もお忘れなく

マスクも大事/写真:無料写真素材 写真AC

新型コロナウイルスの感染は、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられています。今回は、接触感染の対策として「手洗い」の正しいやり方を紹介しました。

一方、飛沫感染は、感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが飛び散り、感染するものです。それらの飛散を防ぐ効果が高いのがマスクです。正しいマスクの付け方は、以前の記事で紹介していますので、ぜひおさらいしてみましょう。

新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、今こそ見直したい「手洗い」や「マスク」の正しいやり方。高齢者における重症化のリスクも懸念されています。もし心配のある方は、厚生労働省が電話窓口を設置していますので相談してみても良いかもしれません。

厚生労働省の電話相談窓口
電話番号:03-3595-2285
受付時間:9時00分~21時00分(土日・祝日も実施)

文=大屋 覚

■ Profile ■

大屋 覚(放送作家・ライター)
テレビや書籍、Webマガジンを中心に活動中。医療・福祉・介護分野を中心に取材や執筆を行う。NHK、民放キー局の情報番組やスポーツ番組なども手がける。早稲田大学・同大学院修了。静岡生。

≪参考ウェブサイト≫

首相官邸

自治医科大学付属さいたま医療センター

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