健康な体づくり

おすすめ“魚肉ソーセージ”の栄養パワー!認知症やフレイル予防の不思議な能力&簡単メニュー大公開

新型コロナの自粛生活で運動不足の高齢者が多いからこそ、魚肉ソーセージ!高タンパク質で低カロリーな“魚肉パワー”がフレイル予防や認知症の抑制につながると注目されています。今回は魚肉ソーセージの不思議な能力を大公開。さらに簡単で美味しいメニューを紹介します。

フレイル予防とは~タンパク質の基準が変わった

歯が弱くなっても食べられる魚肉ソーセージ/無料写真素材 写真AC

最近頻繁に「フレイル」という言葉を見聞きしませんか?フレイルとは簡単にいえば「加齢によって心身が衰えた状態」をいいます。

フレイルが低下すると、複数の慢性疾患の併存などの影響で生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態になります。一方で、適切な介入や支援により、生活機能の維持向上が可能になります。

つまり高齢者は、このフレイルを経て要介護状態に進むと考えられているので、人生100年時代を生きる今の高齢者が健康寿命を伸ばし、要介護状態にならず、自立して生活するためには、フレイルに早く気付き、正しく予防や治療をすることが大切なのです。

フレイルを予防するために推奨されているのが、十分な「タンパク質」の摂取です。

2020年4月、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、高齢者の低栄養・フレイル防止を視野に入れ、「タンパク質」の摂取基準の見直しを発表しました。

タンパク質の摂取量の基準は現在、成人男性60g、成人女性50gと設定されていますが、65歳以上のタンパク質の目標量の下限は 13 %から 15 %に引き上げられました。

目標量(下限)は男女ともに引き上げられ、身体活動レベルⅡの65歳以上の男性では90g~120g/日、女性で69g~93g/日になりました。

タンパク質が不足すると筋肉が衰えて運動・認知機能が低下し、フレイルに陥りやすくなります。

とくにコロナ渦で巣ごもり生活が長引いている方は、良質なタンパク質を積極的に摂る必要があります。

厚生労働省でも十分な量のタンパク質を毎日摂ることを推奨しています。

良質タンパク質を1、2種類食べよう!

良質なタンパク質を含んだ食材をバランスよく摂る/無料イラスト素材 イラストAC

タンパク質は、20種類のアミノ酸で構成されています。

そのうち体内で作り出すことのできない9種類のアミノ 酸は、食事から摂る必要があるため「必須アミノ酸」と呼ばれています 。

良質なタンパク質とは、この必須アミノ酸がバランスよく含まれたタンパク質のことです。

良質なタンパク質を含む食品には牛乳、大豆、 鶏肉、豚肉、鰺、鮭、ヨーグルト 、鶏卵などがあります。

大豆以外はほとんどが動物性食品です。

大豆などの植物性のタンパク質に加えて、肉類、魚介類、卵類、牛乳・乳製品などの動物性のタンパク質をバランスよく組み合わせて食べましょう。

魚肉ソーセージの栄養パワーとは?

良質なタンパク質を効率よく摂るためにはどうすればよいのか。

最近、注目されている食品が高タンパク質で低カロリー、しかもリーズナブルな「魚肉ソーセージ」です。日本の食卓で長く親しまれている魚のすり身を使った加工食品は、さまざまな食品メーカーから多くの種類が発売されていますよね。最近では特定保健用食品(特保)の許可を受けた食品もあります。

※特定保健用食品とは、特定の機能に関する有効性や安全性が認められた食べ物のこと。製品のパッケージなどに具体的な効能が表示されています。

魚肉ソーセージはどのくらい栄養豊富なのか、調べてみました。

<魚肉ソーセージの栄養価>

●エネルギー:161kcal
●タンパク質:11.5g
●脂質:7.2g
●炭水化物:12.6g
●ナトリウム:810mg
●カルシウム:100mg

一般的な魚肉ソーセージに含まれるカロリーは100gあたり16 kcal 。タンパク質は11.5gです。魚肉でつくられているのでカルシウムやDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も豊富なのが特徴です。

栄養価はメーカーや商品によって若干変わってきますが、タンパク質だけでなく必要な栄養素を効率よく摂取できる食べ物といえそうです。魚肉ソーセージの原料となっているは主にスケトウダラです。しかし最近では赤身魚のマグロやイワシ、アジなども原料として多く使われるようになってきています。

魚肉ソーセージにはDHAやEPAが豊富/無料写真素材 写真AC

認知症予防と魚肉ソーセージ

魚肉ソーセージに入っている魚は、認知症の予防に有効といわれている代表的な食べ物です。世界各国では「定期的に魚を食べている人は認知症のリスクが下がる」という研究結果が報告されています。

なぜなのでしょう。

その理由には、魚に含まれるDHAやEPAが脳の認知機能に関わっていることがあります。日本では、島根大学医学部らのグループが「魚肉ソーセージ」を使ったアルツハイマー型の認知症の実験をしています。その結果、魚肉ソーセージを1年間、毎日2本摂取したところ認知機能の低下の抑制が示唆されたことが分かりました。

魚肉ソーセージはダイエットに不向き?

ダイエットにも効果あり?/無料写真素材 写真AC

魚肉ソーセージには健康に必要な三大栄養素の「タンパク質」「脂質」「炭水化物」が全て含まれています。さらに美容のビタミンといわれる「ビタミンB2」がたっぷり含まれています。ビタミンB2には、脂肪の代謝や酵素の働きを助ける性質があります。

つまり脂肪の燃えやすい健康的な身体と、ダイエット中に起こりがちな肌荒れなどの予防もしてくれるのです。ダイエット中は、タンパク質をとりながらカロリーは控えめにしたいもの。高タンパク質で、低カロリーな魚肉ソーセージは筋トレやダイエット中の栄養補給にも役立ちそうですね。

ちなみにビタミンB2が含まれる食品には他にも、レバーやチーズ、卵、牛乳、納豆、うなぎなどがあります。

チーズや卵、牛肉もビタミンB2が豊富/無料写真素材 写真AC

歯が弱い高齢者におすすめ。簡単メニュー

高齢になると歯が弱くなり、肉類を食べるのがキツイという方もいらっしゃいます。その点、魚肉ソーセージは柔らかく手軽に食べられるのでおすすめです。

栄養豊富な魚肉ソーセージを使った簡単なメニューをご紹介しましょう。

まずはこちらから。

<魚肉ソーセージ入りポテトサラダ>

火を使わずにできる定番レシピ/無料写真素材 写真AC

火を使わずに手軽に作ることのできるポテトサラダ。魚肉ソーセージを使った料理の定番です。ツナの缶詰などがあればポテトサラダに加えてみましょう。ビタミンDが含まれているツナを加えると、カルシウムの吸収率を高める作用があります。

また調理は普通のマヨネーズでも問題はありませんが、健康に気を遣われている方には低カロリーマヨネーズをおすすめします。

  

<魚肉ソーセージ入り雑炊>

牛乳をいれたミルク雑炊もおすすめ/無料写真素材 写真AC

食欲がないときでもササっと食べられるのが、魚肉ソーセージを使った雑炊です。作り方はとても簡単!

お米と輪切りにした魚肉ソーセージを一緒に煮て、最後に卵を入れて終了です。

アレンジとしては、最後に牛乳を入れてミルク雑炊にしたり、余った野菜を入れると栄養バランスがよくなります。

ぜひ試してみてくださいね。


今回ご紹介した魚肉ソーセージ。ちょっと魚は苦手という方でも食べやすく、お肉の代わりとして使えばカロリーを抑えることもできます。

そのまま食べても料理に使っても美味しい魚肉ソーセージは、高齢者の健康維持に役立つ食品として注目されています。

ただし糖質や塩分は決して少なくありません。食べる量に気を付けながら毎日の食事に取り入れることをおすすめします。

文=大屋 覚

≪参考ウェブサイト≫

公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」

一般財団法人 日本生活習慣病予防協会

文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)

■ Profile ■

大屋覚(介護福祉パフォーマー/ライター)
高齢者・障がい者の支援に携わり、介護福祉の楽しさや難しさ、課題などをパフォーマンス活動を通して伝えている。早稲田大学・同大学院修了。日本認知・行動療法学会会員。

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