趣味や愉しみ
開運招福「谷中七福神めぐり」を歩く
新年あけましておめでとうございます。昨年、編集部の地元で行われている「新宿山ノ手七福神めぐり」を歩いたので、今年は東京都内では最古といわれる「谷中七福神めぐり」を歩き、読者の皆さまの健康と開運を祈願してきました。
関連記事=2017年1月10日掲載『開運招福!「新宿山ノ手七福神めぐり」を歩く』
イメージ/撮影:弓削ヒズミ
江戸最古の七福神めぐり
東京都内にはいくつもの「七福神めぐり」があり、この時期は、正月の恒例行事として各地で行われています。
恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、寿老人、福禄寿、布袋の「七福神」への信仰は、室町時代中期から始まったといわれ、幸福を招くものとして、庶民の間で広く信仰されました。そこから、お正月に七福神を安置する神社・仏閣を参拝し、その1年の幸運を祈願する「七福神めぐり」が広まったそうです。
イメージ/撮影:弓削ヒズミ
昨年、編集部では「新宿山ノ手七福神めぐり」を歩いたので、今年は、250年ほど前に始まったといわれる江戸最古の「谷中七福神めぐり」に参加してみました。
「谷中七福神めぐり」は、1月1日から10日までの開催。各寺に祀られている七福神がご開帳となり、ご朱印をいただくことができるのも、この期間だけです。
参拝する順番は自由に選べて、日を分けても大丈夫
七福神めぐりのルートは、台東区・荒川区・北区の3つの区にまたがります。距離にして6kmほど、約2時間でめぐることが可能ですが、参拝やご朱印を待つ時間などもあるので、3時間程度はみておきたいところです。なお、期間中の拝観は、午前9時から午後5時までです。
巡礼箇所は下記のとおり。
東覚寺(福禄寿)/北区田端2-7-3
青雲寺(恵比寿)/荒川区西日暮里3-6-4
修性院(布袋尊)/荒川区西日暮里3-7-12
天王寺(毘沙門天)/台東区谷中7-14-8
長安寺(寿老人)/台東区谷中5-2-22
護国院(大黒天)/台東区上野公園10-18
不忍池弁天堂(弁財天)/台東区上野公園2-1
参拝する順番やルートは自由です。どの寺院から巡ってもご利益が変わることもありません。日を分けて巡ることもできます。
今回、編集部では、JR田端駅を起点に、東覚寺(福禄寿)→青雲寺(恵比寿)→修性院(布袋尊)→天王寺(毘沙門天)→長安寺(寿老人)→護国院(大黒天)→不忍池弁天堂(弁財天)という南下するルートを選びました。
JR田端駅北口からスタート/撮影:弓削ヒズミ
巡礼先の各寺社でもらうことができる谷中七福神めぐりの地図(左)と、JR田端駅の北口改札で配られていた地図
東覚寺(福禄寿)
JR田端駅北口から歩いて10分もかからず、最初の巡礼地・東覚寺に到着。まず目に入ったのが、2対の赤い物体。この赤い物体は、「赤紙仁王」と呼ばれる仁王像で、病のある場所と同じ部位に赤紙を貼って祈願すると病気が治るといわれ、病気の癒えた人はわらじを奉納するならわしがあるのだとか。
お参りをした後、七福神が描かれた和紙でできた台紙を購入。台紙と福禄寿のご朱印入りで初穂料1200円でした。この台紙に各寺院のご朱印をもらいながら巡礼します。ちなみに台紙へのご朱印は200円、手持ちのご朱印帳にご朱印をいただく場合は300円です。
東覚寺(福禄寿)/撮影:弓削ヒズミ
青雲寺(恵比寿)
東覚寺から歩くこと15分ほどで恵比寿を祀る青雲寺に到着。この一帯は、江戸時代の中頃から「ひぐらしの里」と呼ばれ、江戸近郊の行楽地として賑わい、花見の場所として賑わったことから、修性院と共に「花見寺」とも呼ばれていたそうです。また、境内には「南総里見八犬伝」で有名な滝沢馬琴の筆塚の碑や硯塚の碑などがあります。
青雲寺(恵比寿)/撮影:弓削ヒズミ
修性院(布袋尊)
青雲寺から歩いて100メートルほどの場所に位置する修性院(しゅしょういん)。かつて花見寺と呼ばれていたからなのか、寺の塀は、ピンク色に塗られ、愛らしい布袋尊のイラストが描かれたタイル画が並びます。お参りとご朱印は本堂の中なので、ここでの参拝は靴を脱ぎます。
修性院(布袋尊)/撮影:弓削ヒズミ
天王寺(毘沙門天)
修性院を出て南へ歩くと、いまブームの「谷根千(※)」を代表する「谷中ぎんざ」に突き当たります。昔ながらの懐かしさ溢れる商店街には、さまざまなお店があり、この辺りで休憩というのもいいかもしれません。しかしながら、私たちは取材だったので、後ろ髪を引かれる思いで、谷中ぎんざを素通りして、毘沙門天を祀る天王寺へ向かいました。
※谷根千(やなせん) 谷中・根津・千駄木周辺地区を指す総称
谷中ぎんざ/撮影:弓削ヒズミ
天王寺は、谷中墓地の一角にある静寂で美しいお寺でした。元禄13年(1700)には、寺門維持のため幕府から富くじの興行を許され、目黒不動・湯島天神とともに「江戸の三富」に数えられて大いに賑わったそうです。また、かつて境内には、谷中五重塔があったのですが、昭和32年に焼失してしまいました。
天王寺(毘沙門天)/撮影:弓削ヒズミ
長安寺(寿老人)
天王寺から歩いて5分ほどにある長安寺。東京美術学校(現東京芸術大学美術学部)の創設に尽力した日本画家・狩野芳崖氏が、この地に眠っています。長安寺もお参りとご朱印は本堂の中なので、靴を脱ぎます。
ここから護国院までは、谷中霊園や古い木造建物が並ぶ通りを歩くので、ちょっとした東京散歩を楽しむことができます。取材中、七福神めぐりをしていたシニアのグループが、霊園内の公園でお弁当を広げながら、楽しそうにランチタイムをとっていました。
長安寺(寿老人)/撮影:弓削ヒズミ
護国院(大黒天)
長安寺からゆっくりと歩いて15分ほどで護国院に到着。3代将軍徳川家光より奉納された大黒天の画像は、護国院大黒天として信仰を集めたといいます。護国院から不忍池弁天堂までは、上野の山を下っていきます。長い下り坂と、距離も長いので、しっかりと体力を回復してから出発するのがいいと思います。
護国院(大黒天)/撮影:弓削ヒズミ
不忍池弁天堂(弁財天)
最後の巡礼地は上野公園にある不忍池弁天堂。参道には出店も出て、かなり賑やかなゴールとなりました。弁財天は、音楽・弁才・財福・知恵のご利益があるといわれ、近年、弁天堂は、金運アップのパワースポットとしても知られます。
不忍池弁天堂(弁財天)/撮影:弓削ヒズミ
とにかく、ゆっくり、のんびりと歩こう
江戸最古の七福神めぐりということで、認知度も高く、仕事初めの多い1月4日であっても、かなりの数の参拝客でした。その多くはシニア世代で、仲睦まじいご夫婦、お友達グループなど、皆さん、それぞれに楽しんでいました。巡礼中の60代のご夫婦にお話を聴いたところ、すでに両親が亡くなり、実家もないので、正月は、いろいろな七福神めぐりに参加しているそうです。
今回の取材で、すべてのご朱印を押印してもらった台紙
取材は、JR田端駅から歩いて3時間半で終えました。取材しながらの巡礼なので、写真撮影やメモを取る時間も含まれています。実際に歩いてみた感じでは、歩くことが好きなシニアであれば、ゆっくりと休憩を入れれば、充分に歩ける距離ではないでしょうか。ただ上野の不忍池弁天堂からスタートした場合、護国院までの坂道がきついかもしれません。そこさえクリアできれば、あとは平坦なコースです。
昨年の「新宿山ノ手七福神めぐり」ではなかったのですが、靴を脱いで参拝する寺院が3つあります。修性院、長安寺、護国院です。歩くからといって、トレッキング用のヒモ靴などで行くと、脱ぎ履きに手間取るかもしれませんので、その辺を考慮しながら靴選びをすることを、おすすめします。それと、ご朱印を押印してもらう台紙は、A3サイズより、やや大きめの和紙なので、丸めて持ち歩くのが不便です。賞状を入れるような筒なんかを持参するといいかもしれません。
谷中七福神めぐりで用意しておきたいもの ?お賽銭用の小銭 ?脱ぎ履きしやすい街歩き用の靴 ?台紙を丸めて収納できる筒
人気の「谷根千」エリアを歩きながら、運気がアップできる「谷中七福神めぐり」は、1月10日(水)まで開催です。この記事をお読みになった後でも参加可能です。また、ご朱印集めはできませんが、期間以外でも、参拝するだけでも運気が変わるかもしれませんよ。ぜひ、挑戦してみてください。
文・写真=弓削ヒズミ(編集部)2018年1月4日取材