社会の知識を学ぶ

免許返納後の車。絶対人に勧めたい活用方法とは

免許を返納したいけど、残った車の処理をどうしようか。査定をしてみたら意外と金額が低かった。そんな方にお勧めの方法をご紹介します。

車を手放した後も、人の役にたてる。

免許返納をした後の車をどうしたらいいか、悩む方もいると思います。人に譲る、買取してもらう、廃車にする、等の選択肢が考えられますが、譲れる人がいない場合は買取か廃車という選択になってきます。

査定で高い値がつく車でしたら買取してもらうのがいいでしょう。しかし買取で値がつかない、安い、となると廃車するしかありません。廃車となると、手間もお金もかかって、さらには長年愛してきた車も手放して、とあまりいいことがないように思えます。そこで、廃車を考えている人にお勧めしたいのが、「車の寄付」です。

2011年3月11日に発生した東日本大震災で約6万台の車が被災した石巻市。生活の足となる車を失った住民の方々は足元が悪い中を、被災地から自宅へ自らの足で行くしかありませんでした。そこで、そういった状況を少しでも改善しようと、立ち上がったのが 一般社団法人日本カーシェアリング協会です。石巻を拠点とし、車の寄付を集めながら、寄付車を活用した全国の被災地での車の無償貸出支援や、交通弱者の移動改善のためのカーシェアリングの取組を推進してきました。

車のシェアを通して支えあう地域づくり

寄付によって集まった車は、『コミュニティ・カーシェアリング』とよばれる、ご近所同士で車を一緒に活用し合う地域のサークル活動に利用されます。
毎月集まっておちゃっこしながら、利用状況の確認、ルール決め、次の旅行の予定を立てるなど、それぞれができる範囲で役割を担いながら運営しています。

コミュニティ・カーシェアリングで車を運転するのは地域に住むボランティアドライバーさんたち。空いている時間に、地域で免許返納した方の外出や、地域の皆のお出かけのお手伝いをします。カーシェアの仕組みで高齢の友人たちが買い物やお出かけをしているのを見ているからか、「免許返納してもカーシェアがあるから大丈夫だっぺ」なんてお話される方もいるそう。

今までに寄付で集まった活用前提の車は約480台、リサイクルの車は約100台 。 寄付された車は、コミュニティ・カーシェアリングで活用されるほか、全国の被災者や支援団体などに一定期間無料で貸し出しをされたり、石巻をおとずれた人や生活する方のためのリース用車両として活用されています。

※おちゃっこ:お茶を飲みながら、お菓子や漬物などを食べつつ、おしゃべりをする東北独自の文化であり方言。
寄付された車は被災地の地域活動等に活用されます /写真: © 2011 Japan Car Sharing Association
あなたの車に第二の人生を/図: © 2011 Japan Car Sharing Association

車検切れや動かない車でもリサイクル可

動かない車でも社会貢献できます/図: © 2011 Japan Car Sharing Association

日本カーシェアリング協会のソーシャルカーサポート事業部・事業部長の石渡さんに活動を始めた当初のお話を聞くと、
「車の寄付を集めるなかで、車検が切れていたり、不調があったりという理由で
寄付をお断りせざるを得ないことが多々ありました。『困っている人の役に立つなら』、と寄付の申し出をいただいたにもかかわらず、断ることで申出いただいた方のがっかりする様子が伝わってきて、非常に心苦しく思っていました。なんとか活用が難しい車も社会のために役立てる施策を作ろうとしていたところ、思いのある自動車リサイクル会社と出会うことができ、 車屋さんから価値がないと言われた車でも、資源として再利用し、 かつ協会の支援活動への寄付金とすることができる仕組みを作ることが出来ました。」
「それ以降はどんな状態の車でも受け付けることができるようになり、寄付いただいた方からは『ずっと大事にしていた車だったので、最後に誰かの役に立てて嬉しいです』『車とのお別れが寂しいものでなく、温かいものになりました』といった声をいただいています。」と語ります。

寄付のメリット

廃車でなく寄付にした場合のメリットも多いです。

1.免許返納の決め手となる

免許を返納しようかどうか迷っている、親に返納させたい、等と考えている方が躊躇している一つの理由として、返納後の車がもったいない、というのがあります。そういった場合、車を手放すことで誰かの役に立つ、と思えば惜しい気持ちも大分軽減されるのではないでしょうか。

2.引き取りの際の処分代行費用がかからない

車屋さんに廃車を依頼する際、廃車の代行手数料を取られる場合がありますが、この仕組みだと費用はかかりません。

3.自宅まで引き取りに来てくれる。

全国どこでも(離島を除く)ご自宅まで車を引取に来てもらえるので手間がかかりません。

4. 社会貢献が出来る

なによりも「誰かの役になった」と実感できるのが一番のポイントではないでしょうか。引き取り完了後には協会から感謝状が贈られます。

車を寄付するメリットも多いです/図: © 2011 Japan Car Sharing Association

石渡さん:現在、協会では令和2年7月豪雨(九州での災害)での被災地支援を行っています。 長い間動かしていない車や、車検切れの車でもご寄付いただくことができ、それを支援の力に変えることができます。使わなくなる車や、家・会社で眠っている車がありましたら、お車を私たちに託していただけたら嬉しいです。

日本カーシェアリング協会活動紹介 / © 2011 Japan Car Sharing Association

廃車を考えている方、買取査定で安く見積もられた方は是非「車の寄付」を検討してみてはいかがでしょうか。
8月1日~8月31日はリサイクルキャンペーン中につき、 キャンペーンロゴを入れたこの期間だけの感謝状がもらえるそうです。

文=編集部

<寄付のご連絡先>
一般社団法人 日本カーシェアリング協会
サイトから:https://www.japan-csa.org/
メールで:teikyou@japan-csa.org
お電話で:0225-22-1453

令和2年7月豪雨支援について
https://peraichi.com/landing_pages/view/saigaishien

© 2011 Japan Car Sharing Association
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