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「これコロナ?」味覚障害だけじゃない8つのサイン~風邪、インフルエンザ、ノロウィルスとの違いは?

新型コロナの初期症状は、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスと類似点が多いです。他の類似する症状と混同して、医療機関選びなど悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は新型コロナと風邪、インフルエンザ、ノロウイルスの症状から似ているところ、違うところを解説します。

イメージ/無料写真素材 写真AC

新型コロナウイルスの典型的な症状

「多くの症例で発熱、呼吸器症状、頭痛、倦怠感などがみられる」

「初期症状はインフルエンザや感冒と似ており、この時期にこれらとCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)を区別するのは困難である」

これらは厚労省の新型コロナウイルス感染症診療の手引き(2.2版)に記載されている文言です。このことからも風邪やインフルエンザなどの症状と新型コロナウイルスを見分けるのは難しいことが分かります。

しかし新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)と風邪、インフルエンザ、ノロウイルスの典型的な症状を見るとそれぞれの違いもあります。

まずは最もよくある症状から比較してみました。

①発熱

新型コロナの特徴のひとつが発熱です。

5月初旬まで厚生労働省は「37.5℃以上の発熱が4日以上続く方」としていましたが、現在は「高熱等の強い症状のいずれかがある場合」に変更しています。

新型コロナの潜伏期間は1~14日間ほどで、感染から発症するまでの平均期間は5~6日ほどとWHOは報告しています。

一方、風邪は微熱が続くのが特徴で通常42℃を超えることはありません。またウイルスの潜伏期間は2~5日程度と考えられています。

インフルエンザは比較的急速に発症します。38℃以上の高熱が3~4日間ほど続くのが特徴です。一方、ノロウイルスの発熱は約37〜38℃で、通常であれば1~2日で症状は治まります。

風邪やインフルエンザ、ノロウイルスが新型コロナのように1週間以上続くことは比較的稀なので、診断の目安にしましょう。

「37.5度以上の発熱が4日以上続く方」の基準は変わりました/無料写真素材 写真AC

②空咳

新型コロナの代表的な症状は咳や呼吸困難感です。咳が長く続く、少し動いただけで息が切れる、呼吸がしにくい、といった症状が現れたら注意が必要です。

風邪の場合も、咳の症状がみられることが多いです。軽度の場合は自然に治まりますが、2週間を過ぎても咳が治まらない場合や激しい咳が続く場合は、風邪以外の病気の可能性もあるので医療機関に問い合わせてみましょう。

インフルエンザでも風邪のような咳の症状は見られますが、高熱や頭痛、全身のだるさなどが比較的同時に現れる特徴があります。

③倦怠感

新型コロナは強いだるさ(倦怠感)を訴える方が多いことが特徴です。イタリアのジェメッリ大学病院の調査対象では倦怠感は53.1%に上っています。

また倦怠感は筋肉痛や発熱とセットで生じることも少なくありません。

風邪でも倦怠感は見られますが、インフルエンザの方が「悪寒、だるさ、頭痛」などの全身症状を生じる可能性が高いです。

④関節・筋肉痛

関節痛や筋肉痛や新型コロナの感染で見られる症状です。

新型コロナに感染するとウイルスと戦いやすくするため、筋肉が収縮や拡張を繰り返し体温を上げていきます。身体が意志に反して筋肉運動を行うため、筋肉痛や関節の痛みが起こると考えられます。

この関節痛や筋肉痛は、風邪をひいて熱が出るときに起こる悪寒と似ています。

インフルエンザの症状も風邪と似ています。しかし風邪の症状に加えて、38~40度の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの強い全身症状を伴うのがインフルエンザの特徴です。

一方、ノロウイルスでも腹痛や悪寒、筋肉痛、咽頭痛、倦怠感など風邪のような症状を伴う場合があります。

ほとんどの場合は1日から2日で軽快しますが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は脱水や嘔吐物での窒息に注意が必要です。

倦怠感や筋肉痛、発熱に注意しましょう/無料写真素材 写真AC

次に、新型コロナで時折みられる症状を比較してみました。

④のどの痛み

新型コロナの初期症状では、のどに痛みがある、痰が絡む感じがある、声がかれるといった症状がみられる場合もあります。

のどの痛みは、風邪やインフルエンザの症状でもよくみられます。新型コロナに比べて頻度は高いとされています。

ただし「息切れ」の症状は風邪やインフルエンザでは稀な症状なので新型コロナの可能性を疑うきっかけになるそうです。

新型コロナの初期症状では、のどの痛みも/無料写真素材 写真AC

⑤下痢

新型コロナの症状で、下痢などの消化器症状が大きく報じられることは少ないですが、2割弱の患者では最初の症状が下痢であったという報告もあります。

風邪の場合は下痢の症状は少ないとされています。しかし夏風邪では下痢や腹痛などの胃腸障害を引き起こすウイルスもいます。

インフルエンザの場合、B型に感染すると主に消化器系に症状が現れます。腹痛や下痢といった症状が代表的です。

一方、ノロウイルスの場合は下痢、嘔吐、腹痛、発熱が代表的な特徴です。吐き気が突発的に遅い、トイレにいく暇なく吐いてしまうことも少なくありません。

夏場ですと、食中毒の発生の可能性も多くなりますので、食中毒を疑う必要もあるでしょう。

新型コロナでも下痢の症状は報告されていますので、長く続く場合は医療機関に問い合わせた上で詳細な検査を受けるようにしましょう。

⑥頭痛・めまい

新型コロナでは頭痛を訴える人が多い/無料写真素材 写真AC

新型コロナでは頭痛も症状のひとつです。初期症状では発熱よりも、頭痛がみられた方もいるそうです。

アイドルグループAKB48のメンバーで感染した女性も、発熱や咳などの症状は見られないものの頭痛があったと報じられています。

風邪やインフルエンザに罹っても頭痛を訴える方は多いです。そのため新型コロナと風邪、インフルエンザとの区別がつきにくい場合もあります。

またノロウイルスでも高熱や頭痛などインフルエンザと似た症状が現れる人もいるので注意は必要です。

⑦味覚または臭覚の消失

新型コロナ感染者で多いのが、味覚障害や臭覚障害を訴える方です。味覚や臭覚の異常を感じて新型コロナ感染を疑う人も少なくありません。

しかし風邪の場合も副鼻腔炎などが原因で味覚や臭覚に異常が起きることもあります。

また、インフルエンザでも高熱や免疫力の低下によって味蕾に異変が生じて味を感じにくくなることがあります。

風邪の症状や熱もなく、最近のライフスタイルの変化など味覚障害になるような心当たりがないのに、味覚障害がある場合は新型コロナの可能性を疑った方いいかもしれません。

味覚・臭覚の消失は時折みられる症状/無料写真素材 写真AC

現時点では、「新型コロナ=味覚・臭覚の消失」という症状は断言できませんが、発熱や咳などが2週間以上続く場合はかかりつけ医や帰国者・接触相談センターに問い合わせてみましょう。

コロナウイルスは発熱や症状がなくても発症している例が多くみられます。外出する際はマスクの着用を心がけましょう。

今回の記事は公開日時点での状況・情報をもとに記載しています。新型コロナウイルス感染症については、日々状況が変化しています。新しくわかることも多いので、最新且つ正確な情報を優先してください。

文=編集部

≪参考ウェブサイト≫

感染症情報センター

国立がん研究センター東病院

熱中症ゼロへ

新型コロナウイルス感染症診療の手引き第2.2版

健康長寿ネット

忽那賢志

船橋駅前内科クリニック

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