健康な体づくり

猛暑やコロナで急増中!
高齢者の「巣ごもり熱中症」を食い止める3つの知恵

コロナ渦の中、夏本番を迎え急増しているのが高齢者の「巣ごもり熱中症」です。熱中症は熱い日差しの下だけでなく、高温多湿の室内でも発症します。今回は「巣ごもり熱中症」対策と3つの知恵を解説します。

なぜ“巣ごもり熱中症”が増えているのか?

今年、消防庁が発表した 6 月の「熱中症による救急搬送人員状況」によれば、5,892 名が熱中症で病院に救急搬送されています。

これは昨年 6 月の 3,857 名に対して 1.5 倍!の数字です。しかも家の中での「巣ごもり熱中症」が増加しています。

出典:総務省消防庁 熱中症による緊急搬送人員状況

例年であれば、徐々に暑さに身体を慣らしながら日常生活を送る中で、暑さに対する抵抗力が向上し、上手に汗をかける身体ができていました。

しかし今年は新型コロナウイルスによる「巣ごもり」生活でそれができないまま夏を迎えました。そのため暑熱順化(暑さに身体を慣らす行動)の機会が得られず、例年以上に屋内外での熱中症のリスクが高くなっているのです。


高齢者の熱中症が急増中

高齢者の「巣ごもり熱中症」が増加中/無料写真素材 写真AC

高齢者は若い世代より皮膚温度センサーの感度が鈍く、発汗能力が弱いため、熱中症にかかるリスクが高まります。

高齢者の2020年6月22日~6月28日の熱中症搬送者数は、59.1%と他の世代と比べてダントツです。また昨年の52.5%に比べると6.6%増加しています。

高齢者は暑さやのどの渇きに気づきにくいうえ、体調の変化も我慢してしまうことが少なくありません。日差しのない屋内でも高温多湿・無風の環境においては熱中症のリスクは高まります。

自宅で過ごす高齢者の中には、電気代節約のために冷房器具の使用を最低限にされている方も少なくありません。一方、介護現場ではエアコンや除湿器・扇風機などを上手に活用しながら、常に涼しく風通りを良くしています。それほど気温や湿度の環境作りは体調に重要なのです。

出典:総務省消防庁 熱中症による救急搬送人員状況

<高齢者が熱中症にかかりやすい理由>

・体内の水分量が減少
・発汗量や皮膚血流量の増加の遅れ
・体温調節機能の鈍化

屋外の「いきなり暑さ」に注意しよう

出典:大塚製薬 「カラダと水分のはなし」より引用

身体が暑さに慣れていない場合は熱中症のリスクが高まります。極端な高温の日は避け、 少しずつ暑さの中での行動をするようにしましょう。

外出時は身体への負担が高まることに加え、汗で水分が失われやすいです。また日差しや熱の影響も受けやすいため短時間でも油断は禁物です。

服装の工夫や暑い時間を避け、水分や休憩を十分とって体を守りましょう。

室内の「うっかり暑さ」に気をつけよう

出典:大塚製薬 「カラダと水分のはなし」より引用

室内でも熱中症の危険があります。冷房をつけるなどして環境を整えることは例年通りですが、今年は定期的な換気が求められています。

具体的な対策としては、設定温度以上に室温が上昇する可能性があるので、実際の室温を 28°C程度に保つようにしましょう。

高齢になると熱を逃がす身体の反応が遅れがちになるので、気温・湿度計・熱中症計を活用して、室内環境の危険度をこまめにチェックするのもおすすめです。

室内でもマスクを着用していると熱がこもりやすくなったり、のどの渇きを感じにくくなると言われています。のどの渇きを感じる前からこまめな水分補給を心掛けましょう。

「巣ごもり熱中症」を食い止める3つの知恵

熱中症予防で夏を乗り切ろう/無料写真素材 写真AC

例年、梅雨明けの7月中旬から8月上旬に熱中症は多発する傾向にあります。いよいよ本格的な夏を迎え「巣ごもり熱中症」のリスクは高まっています。

巣ごもり熱中症の対策には「汗をかく習慣づくり」「水分+電解質の補給」「深部体温の冷却」の3つの対策が効果的だとされています。

知恵① 汗をかく習慣づくり

暑い環境下において運動トレーニングを繰り返し行うと、発汗能力をはじめとした耐暑性が高くなります。

暑熱順化(暑さに身体を慣らす行動)をすると、安静時や運動時の体温上昇や心拍数増加などの生理的ストレスを軽減することができます。

また循環血液量が増加し、汗をかき始める時間も早くなります。そのため汗の量も増え、より効果的な体温調節ができるようになります。

暑熱順化の方法として、やや暑い環境で、ややきついと感じる運動を1日30分間、1 週間行いましょう。高齢者は入浴時に安全に留意しながら汗をかくことも、ある程度有効です。

知恵② 「水分+電解質」をこまめに補給

汗は血液を材料として作られます。体温の上昇を抑えるために、汗をかくことで水分とともに血漿中に含まれるナトリウムを主としたイオン(電解質)が失われます。

特に最も多く含まれるナトリウムは体液量を保つ上で重要なため、失われた水分と同時にナトリウムを補給することが必要になります。

具体的には、汗の成分に近いイオン飲料を意識的に摂取しましょう。また塩分に加えて、糖質を含んだ飲料は疲労の予防だけでなく、腸管内での吸収スピードを速め、水分の体内保持率を高める事が期待できます。

飲料に含まれる糖質を気にして水で薄めた場合、本来の目的であるイオン(電解質)が摂取できない事が懸念されるので注意しましょう。

知恵③ 深部体温の冷却

暑い日の高体温や疲労などを防ぐには身体冷却が有効です。とくに発汗能力が弱い高齢者においては、深部体温を直接下げる「身体内部冷却」が効果的だと考えられています。

身体内部冷却とは冷たい飲料の摂取により身体の内側から冷却する方法です。冷風などの外部冷却に対し、より簡単に水分や栄養も同時に補給できます。

その中でも、より積極的な身体内部からの冷却方法として注目されているのが「アイススラリー」の摂取です。アイススラリーとは シャーベット状の氷飲料で、通常の氷に比べ結晶が小さく、冷却効果が高いとされています。

深部体温を下げるためにアイススラリーを用いると、冷やされた血液が脳にも影響を及ぼすため、脳の活性化や運動継続のためのモチベーションの低下を抑制する可能性もありそうです。

アイススラリーはこちらから購入できます。

ポカリスエット アイススラリー 通販サイト
https://www.otsuka-plus1.com/shop/r/r34/

出典:大塚製薬 「カラダと水分のはなし」より引用

例年であれば徐々に暑さに身体を慣らしながら、抵抗力をつけて熱中症に備えることができました。しかし今年は新型コロナウイルスによって「巣ごもり生活」を送っている方も多いです。

こうした環境下で増加している「巣ごもり熱中症」を防ぐためには、例年以上に慎重に「暑さに身体を慣らす行動」が必要です。

高齢者は自分の体調の変化に気づかないこともありますので、周囲の人々が注意深く見守ることも重要です。

取材・文=大屋覚

≪参考≫

大塚製薬「カラダと水分のはなし」(PDFファイル)

大塚製薬「熱中症からカラダを守ろう」(サイト)

■ Profile ■

大屋覚(介護福祉アナリスト/ライター)
高齢者、障がい者、子育ての現場に携わり問題解決サポートを展開中。テレビやWEBマガジン、書籍等で企画、取材、執筆を行う。早稲田大学・同大学院修了。

下へ続く
上へ戻る