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東京散歩Vol.13/こんにゃく閻魔

いま話題になっている東京のスポットやイベントに行き、リポートしていく不定期企画「東京散歩」。7月16日は、地獄の「賽日」といって、地獄の閻魔大王や鬼たちが亡者たちへの責め苦を止める、いわば地獄の休日です。この日、各地にある閻魔大王を祀る寺院では、閻魔堂のご開帳や行事などが開かれます。今回、「こんにゃく閻魔」の名で知られる「源覚寺」(東京都文京区)を訪ねてみました。

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絵馬に描かれている閻魔は老婆の目を治すために自身の右目を与えたので、右目がない/撮影:弓削ヒズミ

1月16日、7月16日は「地獄の休日」

旧暦1月16日、7月16日は、地獄の「賽日」であり、また、かつて商家などの奉公人たちが休暇をもらって実家に帰省する「薮入り」でもあります。昔から、この日に閻魔大王をお参りすれば、日頃の罪を許してもらえたり、厄除け、病気治癒など、ご利益があるともいわれ、江戸の頃には多くの参詣者で賑わったといいます。

東京には閻魔大王を祀る寺院が多く、江戸三大閻魔と呼ばれる華徳院(杉並区松ノ木3-32-11)、善養寺(豊島区西巣鴨4-8-25)、太宗寺(新宿区新宿2-9-2)、また日本最大の閻魔大王座像がある「深川えんま堂」こと法乗院(江東区深川2-16-3)などが有名です。そんななかで異彩を放つのが、今回ご紹介する「こんにゃく閻魔」と呼ばれる源覚寺(東京都文京区)です。

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源覚寺(東京都文京区)の閻魔堂。奥には、閻魔大王像が鎮座する/撮影:弓削ヒズミ

老婆に自分の右目を与えて治したこんにゃく閻魔

江戸時代後期、眼病を患った老婆が閻魔大王に祈願したところ、「私の両目の内、ひとつを貴方に差し上げよう」と、閻魔大王自らの右目を与え、老婆の目を治しました。老婆はお礼に自身の好物「こんにゃく」を供えたことから「こんにゃく閻魔」と呼ばれるようになったといいます。

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参拝者がお供えした、たくさんのこんにゃく/撮影:弓削ヒズミ

源覚寺の閻魔像の右目が割れて黄色く濁っているのは、そうした理由だそうです。いまでも眼病治癒の閻魔様として人々の信仰を集め、閻魔堂の前には、こんにゃくが供えられるようになりました。眼病で祈願したい人は、こんにゃくを持って参拝に行きましょう。

境内にある「塩地蔵尊」は、歯痛を抱える人が多く参拝することでも知られています。塩だらけで、よく見えないかもしれませんが、2体のお地蔵様の体に塩をつけてお祈りすると、体の同じ部分の病気が治るといわれています。ぜひ、閻魔様と一緒にお参りしたいものです。ちなみに、日本仏教では、閻魔大王と地蔵菩薩は同一の存在ともいわれています。

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眼病治癒の祈願が書かれた絵馬が多数。塩地蔵尊はお地蔵さまの顔が見えないほど塩が盛られていた/撮影:弓削ヒズミ

16日は、ぜひ、閻魔様めぐりに出かけてみてはいかがでしょうか。

文・写真=弓削ヒズミ(編集部)7月13日取材


常光山 源覚寺
場所=東京都文京区小石川2-23-14
交通=都営地下鉄大江戸線・三田線「春日」駅下車徒歩2分、東京メトロ丸の内線、南北線「後楽園」駅下車徒歩2分

※公共の電車・バスなどをご利用ください。

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