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シニアのための“銭稼ぎのスゝメ”【第1回】介護界の新サービス「スケッターで稼ごう」~前半

新企画『銭稼ぎのスゝメ』では、アクティブなシニア世代にオススメの「お小遣い稼ぎ」情報をお届けします。第1回目は、シニア世代の登録者も増えているという介護業界の新しいサービス、「スケッター」です。社会貢献をしながら収入を得る方法を解説します。

イメージ /写真:無料写真素材 写真AC

好きを仕事に。介護業界で注目のスケッターとは?

 定年退職したシニアを取材すると「何か人の役に立てる仕事がしたい」「これまでのキャリアを活かしたい」などの本音をよく聞きます。そんな方にオススメしたいのが、介護系スキルシェアサービスのスケッターです。

 スケッターとは、「空いている時間に働きたい」「自分の得意なことを活用したい」という方々と介護施設を「お見合い(マッチング)」させる新しいサービスです。実は介護施設では、お話相手や食事の準備、レクリエーション、車の送り迎え、IT業務など専門的な介護の資格がなくても出来る「一般業務」も数多く存在しています。

介護系スキルケアサービスとして話題のスケッター/提供:株式会社プラスロボ

 スケッターは、こうした一般業務を助けてくれる方々と、人手を必要としている介護施設をつなぐサービスとして登場しました。テレビなどでも話題の「スケッター」ですがシニアでも働けるのでしょうか?サービスを提供している会社に詳しい話を聞いてみることにしました。

1時間から参加できる。趣味や特技を介護で活かす

 待ち合わせたのは、東京・六本木の喫茶店。

(イケイケのIT社長が現れるのかな?)

 と少々、ビビりながら向かうと、そこにいたのは、柔和な瞳が印象的な体格の良い男性。スケッターを運営する株式会社プラスロボ代表取締役の鈴木亮平さん(27歳)でした。

介護業界を「スケッター」で変える。鈴木亮平代表/撮影:大屋覚

 鈴木さんは高校野球の名門、仙台育英学園高等学校・野球部に所属していたそうです。

(どうりで体格がよいはずだ!)

 メディアベンチャーで編集長などを歴任した鈴木さん。その後、フリーライターをしながら資金を貯めて、2017年に起業。2018年に「スケッター」事業を立ち上げました。

鈴木:スケッターは、1時間から参加できる仕事もあります。介護現場では、食事、排泄、入浴介助といった専門性が求められる部分と、見守りや傾聴、レクリエーション、イベントの盛り上げなど、資格がなくてもできる仕事も数多く存在しています。資格がなくてもできる仕事をするのがスケッターなんです。

Q:現場で邪魔になったりしませんか?

鈴木:介護職の中には、レクリエーションは苦手といった方もいます。こうした業務を一芸に秀でたスケッターに依頼すれば、介護スタッフの負担を減らすことができますし、レクの質も高まります。

Q:実際に、どんな方が登録しているんですか?

鈴木:登録者には、マジシャン、デザイナー、美容師、漫才師、インストラクター、元介護職員、現介護職員さんなどがいます。介護に関心の高い若い人が多いですね。実際に現場で働いてみて、自分に向いているかどうか分かりたいとか。施設で働いて、感謝されて充実感を味わったという声も多く聞かれます。

 2025年には、介護職員が約38万人以上、不足すると推計されています。鈴木さんは慢性的な人手不足に悩む介護業界をスケッターによって変えたいと言います。

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Q:シニア世代の登録状況はどうなのでしょう??

鈴木:アクティブなシニアの方の登録は増えています。実は、スケッターとして働いていた60代の女性が施設からスカウトされて就業したケースもあるんです。シニアにとっては施設の雰囲気も分かっているのでスムーズに働けるし、施設側も知っている方なので雇いやすいようですね。

 働く意欲のあるシニアにとって、新しい仕事のチャンスにつながるスケッター。その仕事内容を知り、正直、ビックリしました。

大相撲観戦からお散歩、カフェの手伝いまで

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バラエティ豊かなスケッターのお仕事!/提供:株式会社プラスロボ

「ええッ!?」

 筆者がスケッターの仕事一覧を見て驚いたのはバラエティ豊かな内容でした。

 フロアの見守りやコミュニケーションという簡単な仕事から、中には、利用者さんと一緒に大相撲観戦してくれる人を募集していたり、麻雀、テーブルゲームのお相手を探している施設、お散歩同行やカフェのお手伝いなどもあります。

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 変わり種では、一緒に箱根に同行する仕事もありました。一緒に旅行しながら傾聴や見守り、車いすを押すなどのサポートをします。介助は同行する施設スタッフが行うのでプレッシャーはないそうです。

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介護の未経験者でもホントに大丈夫なの?

Q:趣味や特技を生かしながら人の役にも立てるスケッターですが、介護の未経験者でも迷惑をかけずに働けるのでしょうか?

鈴木:施設側も直接介助ではなく、あくまでも周辺業務のお手伝いだと理解して募集していますので無理な仕事を押し付けることはないです。利用者の見守りなど人手は多い方が良いですし、迷惑になることはないですよ(笑)。

Q:スケッターの登録では面白い現象も起きているとか?

鈴木:東京の世田谷や目黒では、慢性的に介護職が不足しているんです。ただスケッターの登録者は、世田谷や目黒区がダントツで多いんです。土地柄かもしれませんね。

 高級住宅地ではボランティア感覚で登録している方が多いのかも。それにしても今後、ますます深刻な状況となる介護業界の人手不足問題。スケッターとしての経験は、介護の知識を知る上でも損はなさそうです。

介護スキルシェアサービス「スケッター」を運営する鈴木亮平代表/撮影:大屋覚

スケッター体験!シニア“銭稼ぎ”のオススメ度は?

「さて、どれにしようかな」

スケッターの仕事一覧には、介護の資格がなくても出来る、興味深い仕事がたくさん並んでいます。清掃、傾聴ボランティア、送迎スタッフ、ヘルパーの記録入力……。その中でも目を引いたのが、目黒区にあるデイサービスです。

「おしゃれハイクラスのデイサービス!?」

 デイサービスとは、日帰りで施設に通いながら、食事や入浴・レクリエーションなどを受けられる介護サービスです。サービス内容は各事業者によっても異なります。

 ハイクラスのデイサービス。しかも人気のカフェの手伝いとは何をするのか?詳細欄を見てみるとマシントレーニング、音楽療法、スウェーデン式音楽療法、大人の学校等の脳トレ、外部歩行訓練などのサービスも行っているようです。

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目黒区のハイクラスデイサービスの募集内容/提供:株式会社プラスロボ

 カフェ店などで働いたことのない筆者ですが、案ずるより産むがやすし。

「よし、決めた!!」

 某日。高級住宅街にあるデイサービス施設に向かうと、新たな出会いと様々な発見がありました。その様子は「スケッターで稼ごう!~後半」で詳しくお届けします。

高級デイサービスではスケッター仲間との出会いも/撮影:大屋覚

文=大屋 覚


■ Profile ■
大屋 覚(放送作家・ライター)
テレビや書籍、Webマガジンを中心に活動中。医療・福祉・介護分野を中心に取材や執筆を行う。NHK、民放キー局の情報番組やスポーツ番組なども手がける。早稲田大学・同大学院修了。静岡生。

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